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Meta Quest 2021.04.07

Oculus Quest 2を使ったときの「Oculus Link」の性能を検証してみた

2020年10月にフェイスブックから発売されたOculus Quest 2。同VRヘッドセットには、一定以上のスペックを有するPCに接続することで、PCVRゲームを遊べる「Oculus Link」機能があります。

Quest 2は前モデルの初代Questと比較して、描画能力の高いデバイスです。それでも高性能GPUを搭載するPCの描画能力と比べると、大きな隔たりがあることは否めません。

本記事では、筆者のゲーミングノートPC(RTX 2070/RAM32GB)を使用して、Quest 2で「Oculus Link」を使用した際の所見を述べていきます。

(初代Questでの「Oculus Link」レビュー(Rift Sと比較)。)

今回レビューに使用するのは、カヤックに乗って戦うVRFPS「ファントム: 特殊工作員」(以下ファントム)。

まずは、Quest2単体と「Oculus Link」接続時の画質の差を比べたあと、USBケーブルの種類によって「Oculus Link」の動作や画質に影響が出るのかを検証。そして最後に、Quest 2と“初代”Questで、「Oculus Link」に違いが発生するのかをチェックします。

「Oculus Link」でグラフィックは格段に美しくなる

Oculus Quest2単体で使用したときと「Oculus Link」を使用したときの最大の違いは、やはり映像の美しさ。「ファントム」は、リアル調のグラフィックが採用されているタイトルなので、「SUPER HOT VR」や「ピストルウィップ」といった、抽象的な“画風”の作品よりも、バージョンの違いによるグラフィック差がより顕著に出ます。

では、実際に比較してみると……。


(Quest2単体のとき)


(Quest 2でOculus Linkを使用したとき)

テクスチャーの質感のほか、光の表現やフィールドの木々の量などが、大きく違うことが確認できます。「Oculus Link」を使用したときの方が薄暗いステージでもハッキリとモノが見え、ゲームによりリアリティが出た印象でした。

ちなみにゲームのパフォーマンスは、PCのスペックによって大きく変わりますが、筆者の環境(RTX 2070/RAM32GB)では、グラフィック設定を高くしても、特に問題なく動作しました。

ケーブルによる違いは特になし

USBケーブルの比較には、Oculus公式で販売されている“純正”タイプと、ANKERのものを使用しました。グラフィックと比べて、違いをお伝えするのが難しいのですが、テストプレイをした限りでは、両ケーブルの違いは感じられず。遅延や画質違いなども、目につきませんでした


(Oculus純正USBケーブル)


(ANKRのUSBケーブル)

純正ケーブルの価格は、公式ストアで10,700円(税込)。ANKERのケーブルは、より割安です(AtoC:税込1199円)。通販サイトなどの在庫状況にもよりますが、Oculus公式ブランドにこだわりがない場合、ANKERのものを買えば十分でしょう。他のVRゲームを遊ぶことを考えると、ある程度の長いものを購入すると良いでしょう(参考:公式ケーブルは5m)。

ちなみに「Oculus Link」は、USB2.0のケーブルでも利用可能。ただOculusの公式PCアプリでは、2.0で接続すると、パフォーマンス面からUSB3.0を推奨する注意が表示されます。特段の事情がない限り、USB3.0ケーブルを使用するのがベターと思われます。

初代とQuest2でLinkの性能を比較してみると

Quest 2と初代Questの大きな違いのひとつが、ディスプレイ解像度(Quest2:1,832×1,920。初代:1,440×1,600(いずれも片目))。「Oculus Link」でのプレイにも、この差が出るハズなのですが……。


(Quest 2でのOculus Link)


(初代QuestでのOculus Link)

正直に言うと、確かにQuest 2の方が綺麗なものの、グラフィックに大きな違いは感じられません。初代は、最大リフレッシュレートが72Hz止まり(Quest 2は90Hz)ですが、首をブンブンしてみても、映像がブレたりする現象は起こりませんでした。

しかし、画像からも分かる通り、「ファントム」は暗い場所が主な舞台のタイトル。というワケで、念のため、別タイトルでも比較を実施しました。

使用したのは、名作「Half-Life: Alyx」。こちらのテストプレイでは、「ファントム」とは違い、Quest 2の方が格段に美しい印象を受けました。デバイス内で見える光景が、断然クッキリとしているのです。


(Quest 2でのOculus Link)


(初代QuestでのOculus Link)

印象の違いには、ステージの明るさが関係していると思われます。全ての作品を厳密に比較するのは困難ですが、明るい(昼間の)場所が多い作品では、基本的にQuest 2に軍配が上がると考えて良いでしょう。

まとめ:PCスペックが大丈夫なら、1度は体験を

ここまで3つの検証を行ってきましたが、結論としては(PCスペックに不足が無い限り)Oculus Quest 2を利用した「Oculus Link」体験は、単体だけで使用するよりも、“ほぼ”良いと思います。

“ほぼ”と言ったのは、激しく動き回るVRゲームでは、通常の無線状態の方が、快適に遊べる場合があるからです。「Beat Saber(ビートセイバー)」や「SUPER HOT VR」などは、その一例と言えるでしょう。

また初代Questは、使い心地の面でQuest 2に劣ります。今回、レビューのために久々に着用したのですが、比べると相当な重さ。ヘッドストラップも安定感に欠け、Quest 2のエリートストラップが、どれだけ優れているかを実感した次第です。

2020年3月現在、GPUなどの世代交代に伴い、VRゲームをプレイできるPCが、より安価になりつつあります。まだ「Oculus Link」を試していないという方は、これを機に検討してみても良いのではないでしょうか。

執筆:井文


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