フェイスブック傘下のOculus社が開発・販売を行っているVRヘッドセットOculus Go。他のヘッドセットと異なり、低価格で高品質なVR体験を実現できるデバイスとして注目が集まっています。VR向けの動画視聴や、VR内の大スクリーンでの映画鑑賞、友達とのライブやスポーツ観戦、VRゲームなどを手軽に体験できます。
本記事では、Oculus Goで何ができるのか、購入方法は?ほかのVR機器との比較は?など、気になる情報をまとめました。
1.Oculus Goの価格と購入方法
2.Oculus Goの性能(スペック)
3.何ができるのかー対応コンテンツ紹介
4.他の一体型VRヘッドセット(Mirage Solo)との比較
5.まとめ:圧倒的に手軽なOculus Go
6.補足:32GBモデルと64GBモデル どちらを選べばいい?
1.Oculus Goの価格と購入方法
Oculus Goは、ストレージの容量が32GBと64GBの2モデルが販売されています。日本を含む各国で販売されており、日本では32GBが23,800円、64GBが29,800円、いずれも送料、税込の価格です。
購入方法はOculusの公式サイトのみ、家電量販店やAmazon等での販売は行われていません。
公式サイトでは「購入する」から、モデルを選んで進んでいきます。
住所の入力は日本語で入力すると不着となるなどの事象も報告されており、ローマ字での入力が無難です。(2018/5/5追記)
決済手段はクレジットカードかPaypalのみとなっており、請求書払いなどには対応していない点にご注意ください。
2.Oculus Goの性能(スペック)
Oculus Goは、バッテリーやプロセッサを内蔵した「一体型」(スタンドアローン)のVRヘッドセットです。他の多くのヘッドセットと異なりPCやスマートフォンを必要としません。
高品質ながら技術の詰まった画質
Oculus Goは、両眼で2560×1440のWGHD液晶パネルを備えています。リフレッシュレートは60Hzか72Hzで動作。プロセッサにはVR対応したSnapdragon821を採用しています。Snapdragon821は、2016年のプロセッサですが、高品質な描画を低負荷で処理するために「Fixed Forbiated Rendering」という独自技術で補っています。
また、レンズにはOculusの次世代レンズを採用。より広がりのある、クリアな映像を見ることができます。
スピーカー内蔵でヘッドホンいらず
Oculus Goでは側面のストラップ付近にスピーカーが内蔵されています。そのため、ヘッドホンやイヤホンを使うことなく、没入感を高める立体音響を体験することができます。音質のレベルは必要最低限のため、イヤホンジャックに自身のヘッドホンやイヤホンを差し込んで使うことも可能です。
バッテリーの持続時間
Oculus Goのバッテリーの持続時間は、ゲームなどの高負荷なコンテンツを使用すると1時間半〜2時間、動画などの低負荷なコンテンツを再生すると2時間〜2時間半程度です。
充電は本体にあるマイクロUSBポート経由で行います。同梱のマイクロUSBーUSB2.0ケーブルを使い、ACアダプター(10W 5V 2A)で充電を行った場合、最大3時間で充電が完了します。
本体のサイズ
サイズは190mm×105mm×115mmと現行のVRヘッドセットの中では小型、重さは468gです。PC向けのOculus Riftが470gという重さと比較すると、Oculus Goはバッテリやプロセッサを搭載しても軽量に抑えている印象です。
ゆったりと快適な装着感
Oculus Goは、フェイスクッションにメッシュ状のニットとナイロンを使い、非常に肌触りの良い快適な装着感です。幅広で眼鏡も入りやすくなっていますが、さらに眼鏡とレンズの接触を防ぐための、補助パーツが同梱されています。
Oculus Goのスペック
ディスプレイ解像度 |
2560×1440 5.5インチWQHD液晶パネル、538ppi |
リフレッシュレート |
60Hz 、72Hz(コンテンツにより変化) |
プロセッサ |
Snapdragon 821 |
ストレージ |
32GB、64GB(2モデルが存在) |
ヘッドホン、マイク |
内蔵 |
トラッキング |
ヘッドトラッキングのみ(3DoF) |
バッテリー |
1時間半〜2時間(ゲームプレイ時) |
充電時間 |
3時間、10W(5V 2A)ACアダプター使用時 |
ボタン |
電源ボタン、音量調節ボタン |
USB端子 |
マイクロUSBポート |
本体サイズ |
190mm×105mm×115mm |
本体重量 |
468g |
同梱物 |
・VRヘッドセット ※米国用パッケージには電源アダプターが付属しますが、日本向けには付属しません。機器を充電する際には10W(5V 2A)のACアダプター(要別途購入)が必要となります。 |
保証期間 |
1年間 |
コントローラーのスペック
ボタン |
トラックパッド |
トラッキング |
回転のみ(3DoF) |
サイズ |
111mm×37mm×57mm |
重量 |
65g |
バッテリー |
単3電池1本(付属) |
トラッキング性能
どのVRヘッドセットにも備わっている頭を動かしたときのヘッドトラッキングはありますが、Oculus RiftやHTC Vive、PlayStation VR(PSVR)で実現している位置トラッキングは搭載されていません。
頭を動かして周りを見渡すことはできますが、歩き回ったり、身をかがめて目の前の人物に近づくといった行動はできません。また、手に持ったコントローラーを動かして現実の手と同じようにVRでも手を動かすハンドトラッキングの機能もありません。リモコン型のコントローラーが付属し、あくまでもレーザーポインタを動かすようにして操作を行います。
これまでのVRヘッドセットの中では、性能を考慮してもGear VRやDaydreamといったミドルレンジのVRヘッドセットと同等の機能を一体型でできる、と考えると分かりやすくなります。筆者が体験した限りではGear VRやDaydreamよりもやや上回る映像品質、装着感です。
VRヘッドセットの機能比較
本体 |
頭の回転 |
位置 |
手の動き |
画質・描画性能 |
|
ハイエンドVR |
PCやPS4 |
◯ |
◯ |
◯ |
高 |
Oculus Go |
一体型 |
◯ |
☓ |
△ |
高 |
ミドルレンジVR |
スマートフォン |
◯ |
☓ |
△ |
高 |
ローエンドVR |
スマートフォン |
◯ |
☓ |
☓ |
低 |
3.何ができるのかー対応コンテンツ紹介
Oculus GoにはOculusが運営するストアで配信されている1000以上のアプリが対応しています。体験できるコンテンツは大きく分けるとVR内ホームシアター、360度動画、VRゲーム&アプリの3種類です。
また、友達などとVR内で一緒に色々なコンテンツを楽しめる“ソーシャルな”アプリが今後次々と登場する点も特徴的です。なお、海外から配信されているコンテンツは、説明等が英語のものが多いためご注意ください。
VR内シアター
VRの中で大画面に映画やドラマなどのコンテンツを映し出して見ることができます。一見、「VRなのに画面を見るの?」と思ってしまう人もいるかもしれませんが、目の前にはまるで映画館のように大きなスクリーンが広がります。VRヘッドセットを被るだけで設備いらずで映像を楽しめるのは大きな特長と言えます。
Oculus Go向けには、「Netflix」や「Hulu」といった配信プラットフォームがすでにアプリを配信しているほか、「Oculus TV」機能により、家庭で見ているTV番組などもVRで観ることができるようになる予定です。
360度動画
VRならではの360度動画は、まるで別の場所にいるかのような感覚になる臨場感満点の映像体験です。日本の「360 Channel」や海外の「Jaunt」や「Within」といった360度動画アプリやFacebookにアップロードされている友達の360動画、CNNやアルジャジーラなどが提供しているニュースアプリもOculus Goでは簡単に楽しむことができます。
Al Jazeera’s Contrast VR
Space Explorers
また、VRならではの動画には、人などにフォーカスした180度動画も多くあります。まるで奥行きがあるかのように立体感のあるVR体験が可能です。
VRゲーム&アプリ
VRの良さを最大限活かしたVRゲームやアプリはシューティングからボードゲーム、リラクゼーションまで様々な種類のものが配信されています。特に「カタンVR」などのボードゲームは友達と集まらずに実際にその場にいるかのように遊ぶことができます。なお、いずれもモバイル向けのVRゲーム&アプリなので、Oculus Rift向けの本格的なVRゲームなどを遊ぶことはできません。
カタンVR
Ocean Rift
République VR
4.他の一体型VRヘッドセット(Mirage Solo)との比較
上記でも他のVRヘッドセットとの比較を行っていますが、2018年5月に発売される一体型VRヘッドセットMirage Soloとの違いが気になるところです。
その最大の違いは、トラッキング性能にあります。Mirage Soloは位置トラッキングが搭載されており、外部センサーなしで動き回ることができます。コンテンツは今後登場しますが、キャラクターに近づいたりといったことが可能な点は大きな違いと言えます。
また、配信されているアプリ数はOculus Goの方が多いものの、360度の映像アプリの多くやNetflixやHuluなどのVR内シアターアプリはOculus GoにもMirage Soloにも対応しています。また、360度動画が多くアップロードされている「YouTube VR」は現時点ではMirage Soloにのみ対応しています。
価格は大きく異なるため、映像を中心に手軽にVRを体験したいという人はOculus Goを、動くコンテンツも含んだより没入感のある体験をしたい人にはMirage Soloをオススメします。
Oculus Go |
Mirage Solo |
|
本体 |
一体型 |
一体型 |
価格 |
32GBモデル:23,800円 |
56,268円(税込) |
頭の回転 |
◯ |
◯ |
位置 |
☓ |
◯ |
手の動き |
△(ポインタ) |
△(ポインタ) |
ディスプレイ解像度 |
2560×1440 5.5インチWQHD液晶パネル |
2560×1440 5.5インチQHD液晶パネル |
リフレッシュレート |
60Hz 、72Hz(コンテンツにより変化) |
75Hz |
プロセッサ |
Snapdragon 821 |
Snapdragon 835 |
ストレージ |
32GBと64GB 2モデル |
64GB |
ヘッドホン、マイク |
内蔵 |
ヘッドホン:外付け |
バッテリー持続時間 |
1時間半〜2時間(ゲームプレイ時) |
3時間 |
サイズ |
190mm×105mm×115mm |
204mmx270mmx180mm |
重量 |
468g |
645g |
対応プラットフォーム |
Oculus Store(モバイル向け、Oculus) |
Daydream(Google) |
5.まとめ:圧倒的に手軽なOculus Go
Oculus Goは、「VRのデバイスを持っていない」人にオススメのエントリーレベルの機器になります。
・動画視聴やVR内シアターなどを楽しみたい
・VRの中で友達と話したい(会いたい)
といった点に興味のある人には向いているデバイスと言えるでしょう。ゲームなど手を動かすような本格的なVR体験をするにはOculus RiftなどのハイエンドなVRデバイスをオススメします。
6.補足:32GBモデルと64GBモデル どちらを選べばいい?
最後に、Oculus Goで提供されている2つのモデルについて言及しておきましょう。VRのコンテンツは特にゲームに関しては容量が重くなりがちです。価格は6,000円異なりますので、どのような用途でVRを体験したいかによって選ぶことを薦めます。
・動画を中心にライトに使うのであれば32GBモデル
・ゲームもプレイしたり、色々なコンテンツを試してみたいのであれば64GBモデル
2018/5/5 12:00 住所の入力方法について追記