スポーツ、音楽、映画、観光、報道など、360度を見回すことのできる360度コンテンツがさまざまな分野で活用され始めています。
空間をそのまま撮影する360度コンテンツの作成は、表現手法などがこれまでの「枠で切り取る」写真やビデオと異なります。現在、世界中で360度動画をいかに使うか試行錯誤が続いています。
2017年3月7日から3月8日まで、日本テレビの研究チーム「日テレラボ」による体験イベント『CREATIVE TECHNOLOGY LAB』で展示された360度動画、撮影に関する展示を2つ紹介します。
「360度ライブ制作をより高画質に」
日本テレラボは、Rhizomatiks DESIGNと制作したコンテンツを展示。スマートフォン向けのパラレルVRドラマ『ゴースト刑事 日照(にってれ)荘殺人事件』です。
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同作品は、4Kカメラ4台で360度撮影されたマルチシナリオのドラマです。とあるアパートで起きた殺人事件の犯人を5分以内に見つけ出す推理物となっています。「パラレル」とついているように、短い体験時間にも展開が分岐していきます。
最終的には、360度ライブ配信を目指しているとのこと。ライブ配信を見据えて使用されたオリジナルのコントローラーも展示されていました。それが、ドラマの360度撮影にも使われた「カメラ調整用コントローラ」。鍵盤は使用せず、上部のツマミでカメラの切り替え、下のボタンでホワイトバランス等の調整をリアルタイムに行える仕組みを作ったとのこと。
同システムを使って撮影した360度ドラマ『ゴースト刑事 日照(にってれ)荘殺人事件』は、3月23日にスマートフォン向けにアプリにて配信予定です。ライブ配信の展開にも注目したいところです。
制作:日本テレビ
『大仙市花火アプリ』
『大仙市花火アプリ』は、打ち上げ花火で有名な秋田県大仙市の公募型プロポーザルで採用された、市への誘客を目的としたアプリ(Android)です。
夜間に行われる打ち上げ花火をスマホで綺麗に撮影するのは、タイミングや光の加減などを考慮しなければならず、至難の業。その難しさを解消するために作られたのが、打ち上げのタイミングを自動で合わせて撮影してくれる本スマホアプリです。
アプリ内には、花火を撮影する機会がなくても楽しめるように、花火師も近づかない打ち上げ場所での360度撮影や、花火が爆発する高さをドローンで撮影した360度映像も収録されています。現実に人間が近づけない場所での360度映像という、迫力のある映像を楽しめます。
制作:乃村工藝社
360度カメラでただ撮影するだけでは、なかなか面白い作品には仕上がらない360度コンテンツ。今後もその表現の幅を模索する取組が続きそうです。