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VTuber 2019.10.05

「にじさんじMusic Festival」 女性ファンに聞く感動ポイントベスト5

2019年10月2日(水)、幕張メッセイベントホールにて「にじさんじ Music Festival~ Powered by DMM music~」が開催された。ライバー9組20名が出演する大型音楽イベントで、グループ単独としては過去最大規模である。

今や所属ライバー80名を数えるバーチャルライバーグループのにじさんじ。イベント開催にグッズ展開、ラジオ番組など、目覚ましい勢いで発展をし日々新しい世界をファンに届けている。果たして、今回は大舞台でどのような活躍を見せてくれるのか、ファンからの注目度は高かった。特に、叶&葛葉の「ChroNoiR(クロノワール)」や緑仙の3D初披露には、多くの女性ファンが期待していた。

そこで今回はイベント終了後に来場していた女性ファンを中心にインタビューを実施。イベントの内容はどう映ったのか、特にどの部分に心を大きく動かされたのか語っていただいた。その中でも感動ポイントを5つピックアップしたので、記者のレポートとともに紹介していこう。

ポイント1.【ファンはその場に泣き崩れた】叶・葛葉のChroNoiR(クロノワール)3D登場


女性ファンへの事前インタビューで特に期待値が高かったのが、にじさんじゲーマーズ出身の葛葉からなる男性コンビ「ChroNoiR(クロノワール)」のパフォーマンスだ。葛葉はド葛本社のイベントで3Dモデルを一度解禁していたものの、は今回が初の3Dモデルお披露目となった。

念願だった2名そろっての登場に、声援はヒートアップ。女性ファンはもちろん、男性ファンも多いクロノワール。「叶、愛してるぞ!」の歓声には力強い男性のものも混ざっていた。2人が披露した歌はHoneyWorksの「ロデオ」。信頼のおける相棒へ向け、お互いがいるならこの先も走り抜けていけるとの歌詞はまさにクロノワールを体現したような選曲だ。

歌唱中は各所に振付を入れていた2人だが、実はほとんどがアドリブだったそう。にも関わらず息の合ったパフォーマンスが見られ、1年以上相棒として歩んできたクロノワールの気心知れた関係性がうかがえる。その後ドーラ様本間ひまわりを交えてのトークでは、観客との掛け合いが行われた。

女性陣が「男子ー!」と観客に声をかけたあと、クロノワールは「俺たちのお姫様ー?」と女性ファンに最上級のファンサービスを提供。その言葉に、会場は割れんばかりの黄色い歓声で埋め尽くされた。

筆者後方にいた女性ファンは「アイドルChroNoiR」の一挙手一投足にやられ、膝から崩れ落ちた。しゃくり上げる声を背にしているうちに感動が伝染し、気づけば記者も涙がこぼれていた。普段のゲーム実況とはまた違った、アイドルとしての可能性を存分に見せてつけたパフォーマンスだった。

イベント終了後に声をかけると「生きててよかった、ファンでよかった」「ただただ素晴らしかった」と感極まって喋れない様子。

イベント後、女性ファンのひとりが話した「2人とも部屋着姿なのにね。最高にかっこいいユニットだった」という言葉も印象的だった。

ポイント2.【素敵なステージありがとう…】花畑チャイカ・緑仙の3D初お披露目

花畑チャイカ緑仙の2名も本イベントが初の3Dお披露目となった。事前インタビューでは男女問わず「この日をずっと夢見ていた」と、イベント開始を待ちわびるファンから期待の声を多く聞くことができた。

花畑チャイカは椎名唯華とのにじさんじレジスタンスとして登場。back numberの「輝き」を深みと安定感のある歌声でしっとりと歌い上げた。トークでは、観客への呼びかけで「銘柄はー?」と尋ねるなど、花畑チャイカらしい自由で突飛な発言が飛び出す場面もしばしば。自由に動ける体を活かし、ジャンプをしたり歩き回ったりする姿は普段とはまた違う“ありのままの花畑チャイカ”が見られた。

花畑チャイカの言葉には、大きな笑いが起こり、会場は隅々までペンライトの緑の光が輝いていた。その光のひとつひとつが観客のチャイカへの祝福の気持ちを表しているといっても過言ではないだろう。女性ファンのひとりは終演後、チャイカについて「歌声はかっこいいが、動いたらやっぱり花畑チャイカだった」「真面目に歌っているのに面白くて笑ってしまう」とコメント。とにかく楽しかったと朗らかに笑っていた。

緑仙も初の3Dモデルでエルフのえるとともにステージに登場。持ち前の高い歌唱力を遺憾なく発揮し、観客は力強い2人の美声に酔いしれていた。緑仙は全身を使って観客に手を振ったり、にこやかな笑顔を向けたり、普段の配信で見せるクールな表情とは違った一面が垣間見られた。

デビュー当時「友達がいない」とこぼしていた緑仙。人と関わるのが得意でないと語りつつも、元にじさんじSEEDsメンバーをはじめ、グループ内外問わず交友を広めてきた約1年と4か月。「お前ら生きてるな」と確かめるようにファンへと放った一言は、孤独感の解放から発せられたものだったのだろうか…。

「何者でもなかった僕を何者かにしてくれてありがとう。」イベント終了後すぐに、感謝の想いをTwitterに投稿していた緑仙。ツイートに対し「こちらこそ素敵なステージを見せてくれてありがとう」と、会場で涙ぐむファンが確かにそこにいた。

ポイント3.【いつか推しをステージに…】ユニットオリジナル曲のフルがDJタイムで初公開



開演前の会場ではニコニコ生放送で行われていたイベント直前特番が大画面に投影され、その後ユニットオリジナル楽曲をリミックスしたDJ WILDPARTY氏(以下DJワイパ)によるパフォーマンスが見られた。

ド葛本社のオリジナルソング「Fam☆Fam☆Time!」をはじめ、†咎人†剣持刀也伏見ガク)とクロノワールのユニット、咎ノワールの「I’m gonna be OK」が次々と流された。YouTubeでは曲の前半部のみしか公開されていなかったが、今回まさかのフルサイズが披露され、観客からどよめきが起きると同時に喜びの歓声が上がっていた。

また、残念ながら今回出演しなかったユニットの曲を中心に流すDJタイムも行われた。推しの3D出演は叶わないものの、オリジナル楽曲が聴けるからと、イベント参戦を決めたファンも多くいたのが印象的だった。

「出演しなくとも幕張の舞台で歌声が聴けるかも」そう望みをかけて参加したファンは悲願叶って涙々の様子だった。DJワイパの手腕により、ライブに向けてアレンジされた魅力的な楽曲の数々は、開演間もない会場の熱を一気に高めていた。

なかでもNZMN夢追翔卯月コウ春崎エアル成瀬鳴)の「メラメラハート」はアップテンポでノリやすい楽曲で、会場も盛り上がっていた。ERRors夕陽リリ緑仙える)の「愛の存在証明」、月下美人竜胆尊赤羽葉子椎名唯華)の「純情色めく焔は揺れて」でも、積極的にコールを入れる観客の姿が見られた。

「今回は推しが3Dでは登場しなかったけど、ステージに立つ姿を見届けたい」

イベント後、そう未来に向けて力強く決意する熱心なファンの声もあった。

なおDJタイムで披露されたオリジナルユニットの楽曲はアルバム「にじさんじMusic MIX UP!!」に収録。11月27日(水)に発売が決定している。

ポイント4.【私も今度は送りたい】個性と愛あふれるフラスタの数々が並ぶ会場

観客を盛り上げていたのはライバーのパフォーマンスだけではない。ずらりと並べられたフラワースタンドも、幕張の会場内を彩っていた。それぞれのライバーのイメージカラーをふんだんに盛り込んだ生花はもちろん、ファンアートやライバーモチーフのアイテムを刺したものなど個性豊か。

愛がこもったフラワースタンドの数々に、多くの観客が足を止め、ひとつひとつをていねいに撮影していた。20名以上が参加した大がかりなものから、1名で推しにフラワースタンドを立てたファンまでさまざまな形で今回のイベント開催を心から祝っている。

その様子を見て「次はぜひ自分も参加したい」、「推しがイベントに参加することが決まったら絶対にフラスタの計画をしたい」と気合の入ったファンの声も聞くことができた。

そもそも、にじさんじライバーに魅せられたファンの中には、配信にコメントで参加する者をはじめ、ファンアートや楽曲制作などクリエイティブな形で愛を伝える者が少なくない。月ノ美兎のイメージソング「Moon‼」をはじめ、ファンが作ったものやアイデアがにじさんじのコンテンツとして定着し発展することもある。本イベントで多数寄せられたこだわりのフラワースタンドも、結びつきが強いにじさんじリスナーの魅力が発揮されていた。

フラワースタンドにライバーが感謝の気持ちを述べ、またファンがライバーに喜んでほしいとさまざまな企画を立て、盛り上がりが加速する。ライバーとファンお互いが日々進化し、新しいことに挑戦するコンテンツであることが肌で感じられた。

ポイント5.【ゴミ持って帰れよ】チャイカのその一言にファンは動いた

終演後のインタビューでもっとも印象的だったのは、ライバーのパフォーマンスの感想だけでなく、ファンの一体感とマナーの良さを褒める声が多く寄せられたことだった。

にじさんじは男女問わず多くのライバーが在籍している。グループ自体を推す、いわゆる「箱推し」のファンも多いのが特徴ではあるが、特定の推しがいるファンも少なからずいる。事前インタビューの中には「男性ファンが多いのでもしかしたら女性ファンの声援が届かないのでは…」と一抹の不安を語る者もいた。

しかしその不安は開演間もなく吹き飛ばされる結果になった。観客は出演者全員に熱い声援を送り、2時間全力でペンライトを振っていた。そこに男性ファン女性ファンの垣根はなく、楽曲や歌、パフォーマンスのすばらしさを称える観客ばかりだった。推しはもちろん「にじさんじ」というグループ自体が好きというファンの気持ちが痛いほど伝わる空間だった。

ルールを守ったファンの誠意ある行動も非常に印象的だった。さまざまなイベントに通い慣れている女性ファンが終演後に「開演前の着席もスムーズで、大きな混乱なくイベントがはじまったことが驚きだった」と語っていたが、その意見には大きく頷きたい。それだけ終演後のファンの引き際もそれは鮮やかなものだった。

トークで花畑チャイカが「ゴミ拾って帰れよ!」と呼びかけた影響も大きかっただろう。終演後見たのは、ほとんどゴミが落ちていない会場の様子だった。その場に残っていたファンが率先してゴミを回収する姿も見られた。終演後には会場内外、清潔で気持ちの良い景色が広がっていた。

イベントの楽しい気持ちだけをそのまま抱き、会場を後にできたことが一にじさんじファンとして誇らしかった。

ライバーとファンが創り上げるバーチャルの世界 そのステージは12月の両国国技館へと続く

最後に、記者のイベント全体への感想も添えておこう。当日の開演前は10月にも関わらず気温30度の快晴だった。だが開演数時間前から物販には数十メートルの長蛇の列が誕生していたことに驚かされた。会場も3階席まで客席が埋め尽くされていたことも印象に残った。

開演中に数千人もの観客がペンライトを掲げ、出演者の歌やトークに全身全霊でリアクションし光を届ける
姿はエネルギーの塊そのものだったといえる。体の芯まで響く重低音と振られるペンライトの動きに合わせ揺れる幕張メッセの地面。五感のすべてを刺激され、開演間もなく現実から思考は引き離され、バーチャルの世界へと深く呑み込まれていった。

ライバー20名が3Dで登場してからの、歌、トークと立て続けに披露するライブパフォーマンスは、感情の整理が追い付かなかった。またたく間に2時間のステージは怒涛のように過ぎ去っていた。

残されたのは清々しい充足感と次なるステージへの期待。満ち足りた表情で会場を後にするファンの姿は、本イベントの感想を何よりも物語っていたように思う。

本イベントのトリを務めたJK組(月ノ美兎静凛樋口楓)のオリジナルソング「Dive with me!!!」にも触れておこう。「バーチャルの世界へいっしょに飛び込もう」という想いから、静凛が曲名を考案したとトークで明かされていた。曲名に込められた想いのとおり、私たちリスナーもライブをただ「鑑賞」するのではなく、ライバーと同じ空間を共有し「参加」できる時代がやってきた。

「いつかにじさんじ全員がステージに立てたらいいですね」

イベントラストを締めくくるべく登場した月ノ美兎が語ったその一言。ステージでいつか実現する日が待ち遠しい。

ライブ最後には、12月に両国国技館で「Virtual to Live」の公演、さらに2019年1月に本イベントの模様を収録したBlu-ray発売が発表された。加速し続ける姿をこれからも追っていきたい、そんな深い感動と未来への期待を抱かずにはいられないイベントだった。

執筆:五十嵐アキト

(参考)にじさんじ公式TwitterにじさんじMusic Festivall~ Powered by DMM music~


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