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モンハンNOW 2024.10.20

「モンハンNOW」渋谷カーニバル中にインタビュー ゲームバランスの方針などを担当者に聞く

10月12日から10月13日にかけて「Monster Hunter Now (モンスターハンターNow、MHN)」で、初のリアルイベント「モンスターハンターNowカーニバル」が開催された。会場の渋谷一帯には多くの参加者が集まり、それぞれが「ひと狩り」に熱中していました。公式発表では2万人のハンターが集まったとのこと。

MoguraVR編集部は、NianticでMHNを担当するゲームディレクター菅野氏と、プロデューサーの麥谷氏にインタビューを実施。11月にゲーム内で開催されるイベントの“グローバル版”や、AR関連の今後といったトピックについて話を伺いました。

——今回のリアルイベントですが、渋谷という立地上、渋谷駅周辺や公園などは人の集まりもよく、あまり歩き回らなくても金レイア・銀レウスの討伐がテンポ良く進行する印象でした。開発側としては、今回プレイヤーにはどの程度の移動を求めようと考えていたのでしょうか?

菅野:
希少種はそうですね。ただ、古龍であるネルギガンテと戦うために進めなければいけないイベントクエストは、実は当初の予定では、より移動が必要なバランス設定でした。2時間ぐらい歩いて、ようやくクエストが完了という感じです。ただ「渋谷をあまり知らない人には(移動が)大変すぎる」という意見が出て、今のバランスにまとまりました。

具体的な仕様としては、「ネルギガンテ(古龍迎撃戦)」を見つけるための痕跡スポットの追跡に、かなり移動距離が生じるように設定していました。同じ場所で遊べるようにしつつも、(ネルギガンテと戦うためにイベントクエストを進めたい場合)かなり動く必要がある……という感じです。

古龍は「モンスターハンター」では、複数体を同時に出せないという設定があったりしますし、大量に出すわけにはいきません。

イベントを開催するにあたって、(渋谷周辺の)古龍迎撃戦スポットを2倍に増やしたのですが、それでもネルギガンテが出て以降、★8のネルギガンテを探そうと思うと歩く必要があるというバランスになっています。

――今回のイベントでは新たに3種類の大型モンスターが追加されました。リリース以降、ハイペースでモンスターの追加が行われている印象です。

菅野:
リリース当初からすると、かなりの数のモンスターが(短期間の間に)追加されました。

ーーモンスターの追加は、装備の増加にも繋がりますが、装備のバリエーション(差別化)や、性能のバランス設定は、どのようなスタンスで実施していますか?正直、バランス調整は大変そうです。

菅野:
装備については実際のところ、(プレイヤーから見て)魅力がない装備は、実装しても使ってもらえないという現実があります。同じ火属性装備でも、後から導入された装備の方が弱かったりすると、製作しないというプレイヤーの方々が多いと思っています。この辺りに対処するため、ある程度のインフレは許容している形です。

ただ、必ずしも強化一辺倒の調整だけではなく、武器による戦い方の幅、例えば「ヘビーボウガン」や「弓」のように、強さだけではなく、同じ武器種でもタイプや遊び味が変わるような要素にも注力しています。

モンスターが新しく出て、新スキルをモンスターに試す。その遊び幅の変化も「モンハンNOW」のすごく面白いポイントであると思っています。例えば、「タマミツネ」装備の“死中に活(状態異常で攻撃力UP)”については、ベテランプレイヤーの方から注目が集まっていますね。

スキルを組み合わせたりするのも、面白い部分だと思っています。今後、シーズンやモンスターごとに、“新しい遊び”を増やせていけたらいいですね。

――最近、スキル設定や「これが強い!」という武器が、人によって変わってきた(バラけている)印象を受けます。運営側として、バランス調整はどの程度うまくいっている印象でしょうか?

菅野:
モンハンの面白さを生かすため、ゲーム内のビルドについては、「多様性をどういう風に出していくか」が重要なポイントであると認識していて、「(この装備の組み合わせは)面白いのか?」「遊び方が自分に合っているのか?」みたいな部分を感じてもらうことが、“軸”にあると感じています。

特に最近は、「爆発属性を使うと、こんなにダメージを出せる!」といった、個々の要素に注目してくれるプレイヤーが増えていて、とてもいい傾向だと思っています。

ーー初期は黒ディア弓だらけでしたもんね。

菅野:
“黒ディア弓”は相変わらず人気ですね(笑)。強さよりもコスパの良さ、この弓で各モンスターとオールマイティに戦えることが影響していると認識しています。


(汎用武器の定番としておなじみの黒ディア弓)

――11月、全世界のプレイヤーが参加できるグローバルイベントが開催されます。こちらの参加者は、リアルイベント体験者と(経験値など)同じぐらいの内容を得られるのでしょうか?

菅野:
はい、グローバルイベントの開催期間は(リアルイベントと比較して)長めとなりますので、こちらの方が体験するプレイヤーの方は多いのではないかと思います。

今回、リアルイベントの開催場所に渋谷を選んだのは、「現地で自分がハンターとして戦っている」という、一種のごっこ遊びのように感じてもらいたい意図がありました。

ネルギガンテ戦の背景が渋谷になっていたり、体力が残り50%を切ったあとの後半戦でモンハンファンなら分かる「英雄の証」の特別バージョンの曲が流れたりm一部の要素はリアルイベント限定ですが、その他のコンテンツについては、グローバルイベントでも体験できるようにしています。どちらにも、それぞれ面白い面はありますし、グローバルだけでもイベントの要素を楽しめるようにしたいと考えています。

――「モンハンNOW」は“重ね着”の拡充に力を入れていると思います。特に最近は、リアル系のファッション(アイテム)にも注力していますね。

麥谷:
重ね着は私の担当パートなのですが、ゲームのメイン要素(狩猟)とは異なる一方で、1番面白い要素であると自負しています。正直、質問してくださって嬉しかったです(笑)。

他のプレイヤーの重ね着姿をみると、その人なりの個性が垣間見えますよね。なので、捉え方としては、オンラインゲームのアバターに近い感じのものであると思っています。

「モンハンNOW」ならではの重ね着のコンセプトには、我々が現実的に着れるような服を導入するというのがあります。これまでの「モンスターハンター」シリーズでは、防具のデザインは各作品の世界観に沿っている必要がありました。それらも非常にかっこいいのですが、“現実世界の狩猟体験”がテーマの「モンハンNOW」では、我々が普段着ている服を使って楽しさを生み出していきたいと思っています。(実際の服装を)コーディネートするように、ゲーム内でも服のコーデを楽しんでほしいですね。

ーー(バットマン等でおなじみのDCコミックスの)ジョーカーっぽくしている人がちょこちょこいたり、マッチングの間の待ち時間はすることもないので、他のハンターの重ね着を見たり、楽しいですよね

菱谷:
ユーザーの方々の重ね着コーデについては、個人的にも非常に楽しませて頂いています。重ね着と防具を組み合わせてコーデしてる人もいて、そういった楽しみ方をしている人が多いことも嬉しく感じています。

――NianticはARのプラットフォーム会社でもあり、その実現を目指していますよね。とはいえ、MHNでは、現実にモンスターがいるように見せるAR機能については、まだあまり本格的に導入されていない印象です。今後どのような方向で取り組んでいく方針でしょうか?

菅野:
「モンスターハンター」の世界をARで表現する際、非常に難しいのが、モンスターのサイズ感ですね。例えば「クルルヤック」ほどの大きさでも、部屋の天井を突き抜けてしまうんです。小型のモンスターをテーブルの上に表示するといったことも可能ですが、モンスターの持つ“偉大さ”が損なわれてしまいます。そのため、AR機能については、これからもう少し議論が必要だと思っています。「毎日見られるARって何だろう?」 「ゲームとして遊んで面白いARって何だろう?」 というところを考えていく必要があると認識していますね。


(当日、メイン会場となった都立明治公園では「ARフォト」ブースが登場。モンスターと遭遇する動画と写真を記念撮影できた。ここぞというところでARを活用している印象だ。)


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