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VRヘッドセット 2024.10.30

小型軽量と高画質を両立する国産VRデバイス「MeganeX Superlight 8K」レビュー 最終調整を控えるも、その品質に期待

10月10日、Shiftallとパナソニックは都内で発表会を開き、新型VRヘッドセット「MeganeX Superlight 8K」を発表した。

Shiftallは「MeganeX Superlight 8K」をソーシャルVRサービス「VRChat」を体験するために用途特化したデバイスと位置づけている。市場にあるVRヘッドセットが比較的様々な用途を想定し、そのために汎用的な特徴を優先している点を比較すると、本デバイスは逆の発想。つまり、性能や機能を思い切って取捨選択している。また、共同開発を行ったパナソニックは、法人向けにもトレーニングなど「MeganeX Superlight 8K」が最適な用途があるとしており、パナソニック自身が自動車業界など法人向けの展開を行う。

用途特化に設計された「MeganeX Superlight 8K」は、PC接続型のVRヘッドセット。Meta Questシリーズのような一体型VRではなく、バッテリーなどを搭載していないため小型・軽量を実現している。装着感や画質面にもこだわったデバイスとなっており、PC接続型のVRヘッドセットとしてはハイエンドのラインに新たな選択肢が加わったことになる。

本記事では、発表会の際に実機を触ることができたため、その体験レポートとともにShiftall・パナソニックの関係者のコメントを紹介していこう。なお、発表会のあった10月10日時点では、まだ最終製品版ではなく、その手前のものを体験することとなった。公式からも報告があったのだが、何箇所も今後の改善点があるため、本レポートではそちらも記載しておこう。そのため「変更点・改良点の出来栄えでまだ完成度は変わりうる」ことになる。2025年1、2月の出荷を目指して予約受付中ではあるが、最終製品版が11月中旬に出来上がるとのこと。評価はその時を待ちたいところだ。

軽さは正義

「MeganeX Superlight 8K」の魅力は何より、小型・軽量と高品質の両立だ。まずは小型・軽量について。顔面にデバイスを装着するVR体験において、デバイスは「軽ければ軽いほど良い」。その重量感は、プレイ中の疲労や不快感に繋がるし、せっかくの自然なVR体験の没入感の妨げにもなる。

185g未満という「MeganeX Superlight 8K」の軽さは、現存するVRヘッドセットの中ではヘッドセット単体で135gを謳う「Bigscreen Beyond」くらいしか対抗馬がない。

なお、「185g未満」という見慣れない重量で発表されたのは、今後「パーツの採用可否によって重さが変わるから」とのこと。実は発表会では179gだったのだが、最終的には180g前後で着地しそうだ。

体感としては確かに軽い。これまで体験したほとんど全てのVRヘッドセットと比べて軽いのだが、発表会の場では、個人的にはBigscreen Beyondを体験したときの「装着していることを忘れるほどの軽さ」を体感することはできなかった。

その理由は2つある。1つは総重量だ。「MeganeX Superlight 8K」の185g未満というのは、固定用のヘッドバンドをはずした状態での本体そのものの重さ。ヘッドバンドなどを込みにするとおよそ250gを超えている。一方、Bigscreen Beyondは個人差のあるフェイスクッションを除いて135gであり、フェイスクッションと純正のヘッドバンド込みで200gを切っている。

もう1つはケーブルの存在だ。Bigscreen Beyondでもシチュエーションによっては違和感があるのだが、ヘッドセット自体が軽量だと、PCと接続しているケーブルの存在感が相対的に大きくなりがちだ。さらにケーブル自体の重さや頭を動かしたときにケーブルが引っ張られる感じが強くなる。

デモ体験時はどうしても存在感があったが、「MeganeX Superlight 8K」では、ケーブルをさらに細いモデル(現在のMeganeX向けにオプション販売している専用の細いDisplayPortケーブル)に変更し、さらにヘッドバンドにケーブルをひっかけることができるようになるとのこと。また、立って体験する場合と座って体験する場合でケーブルの感覚はかなり変わる。座りながらの体験だとかなり改善するのではないかと考えられる。


(手前が実際に製品版で付属するケーブル。デモ体験会の場にあったケーブルよりも細く、しなやかで柔らかい)

軽さに関連して、装着感にも触れておこう。「MeganeX Superlight 8K」では、Meta Questシリーズなどでも採用されている「顔面にクッションをあてる」方式ではなく、おでことヘッドバンドで固定する方式「デコパッド方式」を採用している。これにより顔への密着感がなく、かなりライトに体験が可能だ。Bigscreen Beyondが個人の顔の形に合わせたフェイスクッションを付属し、極限まで没入感を高めようとしているのとは根本的に異なるアプローチになる。

固定にはヘッドバンドを使うが、前後の距離変更などの機構は小さい筐体に詰め込まれている。ヘッドセットを装着すると、周りの見えない中で手探りで調整機構を探すことになる。慣れるまで調整機構を使いこなすのは、少し時間がかかるかもしれない。

一方で、薄型になった結果として眼鏡を装着しての利用はレンズとメガネが接触してしまうため、物理的に不可能だ。視力や瞳孔間距離(IPD)などの個人差に対応して、これらの調整機構も内蔵しているのは、特に複数人使う場合や「ちょっと友達や家族、職場の人に試してもらう」場合には優れたメリットとなる。視力は1からいわゆる-6(0.05程度)までをカバー。Apple Vision Proなどのようにオプションで個人の視力に合わせたレンズを購入する必要はない。なお、両目でそれぞれの調節は可能だが、さらなる近眼や乱視など個人のリクエストがあればオプションでレンズは購入可能で、簡単に装着できるようになるとのこと。


(IPD調整とピント調整はヘッドセット下部のダイヤルで行う。なおIPDはPC側にインストールするアプリでの設定も可能だ)

「字がクッキリ」はもはや比較項目ではない

気になる画質だが、これは素晴らしい出来だ。1枚のパネルで片目3552×3840という解像度に並ぶVRヘッドセットは、これまでApple Vision Pro(3800×3000)、Varjo XR-4(3840×3744)、Sony XR-HMD(3552×3840)くらいしかなかった。加えて、Metaの研究開発プロトタイプButterscotch Varifocalくらいだ。

これまで、筆者は解像度の高さを検証する際に「文字がはっきり表示されているか」を例に出すことが多かったが、Meta Quest 3(片目2064×2208)を超えた解像度になってくると、文字が読めるのが当たり前になり、「どの程度クッキリか」「小さい文字まで見えるか」という問題になるため、どちらかというと「グラフィックの輪郭などがぼやけることなく描画できているか」など、よりディテールの表現力に目が行くようになる。

色味については、HDRへのソフトウェア(SteamVR)の対応がこれからとのことだが、ディスプレイとしてHDRに対応している点も、そのこだわりには期待したいところだ。

明るさは体験時点では控えめ(暗め)で、こちらは実際の3Dモデルに忠実な再現をした場合こうなるとのこと。夜など暗めのシーンであれば問題ないが、晴れている屋外など明るいシーンでは顕著だ。3DCGのオブジェクトや環境をそのまま再現することが求められる法人向けと、一定程度の明度補正があったほうが快適に体験できるコンシューマー向けで、最終的には明度の設定を変えるとのこと。最終調整の結果が気になるところだ。

視野角は「フィット感などにもより、主観的な数値になりかねない」として公表しないスタンスだが、体験してみて他のVR/MRヘッドセットと比べて著しく狭いという印象はない。

最終製品版が楽しみな尖ったVRヘッドセット

体験会の場ではShiftall・パナソニックの担当者に質問もできたので、体験以外の情報を最後に記したいと思う。

まずVRヘッドセット以外に必要なものについて。「MeganeX Superlight 8K」はPCに有線接続を行うため、駆動させるためにゲーミングPCが必要だ。商品ページでは推奨環境としては、NVIDIA RTX2070以上との表記だが、こちらは動作確認がとれているものを記載しており、最低動作環境に近いものとのこと。片目4K近い描画を満足に行うために、この性能を活かせるコンテンツがあるとすれば、要求スペックはさらに高いものとなる。コンテンツ側がまだ追いついていない状況ではあるので、超高性能PCが必要というわけではないが、十分に動作させようと思ったら、GPUもこだわる必要がありそうだ。今後登場が噂されているNVIDIAの新たなGPUシリーズ、RTX 50シリーズにも期待したい。

そして、位置トラッキングのためにはベースステーションという外部デバイスを組み合わせて使用する必要がある。操作もコントローラーが必要になるので、このあたりの周辺機器も、これまで他のデバイスを持っていない人は揃える必要がある。ベースステーションはHTC及びValve製のものが国内では流通している。2023年には、これらが在庫切れとなる事態があった。この現状については「在庫状況は安定していると見ている」(Shiftall CEO岩佐氏)とのこと。基本的には他企業頼みではあるが、いざというときにはベースステーションの供給を検討すると意欲を示しており、ベースステーションを必要とするVRヘッドセット初心者でも安心して良さそうだ。

ベースステーションを必要とした主なVRヘッドセット
・HTC VIVE / VIVE Pro / VIVE Pro 2
・Valve Index
・Bigscreen Beyond
・Pimax製の各種PC向けVRヘッドセット
など

コンシューマー向けであればVRChatという用途に特化した「MeganeX Superlight 8K」。実際に体験してみると、その取捨選択が分かりやすい一方、用途以外の人でも気になってしまう出来栄えと言える。

特にこだわり抜いた画質について、描画力の高さは、主目的とされているVRChat 以外でも際立つ。MeganeXでは前世代機の頃から、デモコンテンツに必ず1つは実写映像を展開している。全天球で11Kの解像度で撮影された映像は、より美麗に見ることができる。

今後の最終調整を経て、どんな完成度になるのか、期待して待ちたいところだ。


(会場に置かれていた、基盤とセンサーが丸見えなスケルトン仕様のプロトタイプ。ギーク心をくすぐられる見た目で、限定品でも良いので欲しくなるデザインだ)


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