
スパイ映画でレーザーが張り巡らされた通路を、主人公が体をくねらせてすり抜けていくシーン。誰もが一度はやってみたいと思ったことがあるんじゃないでしょうか? そんな憧れをまるごと叶えてくれるゲームに出会いました。
今年のBitSummit PUNCH「XR横丁」で数々の作品を体験してきた筆者ですが、いちばん心に残ったのがこの『Laser Dance』でした。今回、文句なしに一番のお気に入りだった今作をご紹介します。

■ 何もない空間が、一瞬で映画のワンシーンに
『Laser Dance』は、ベルギー・ブリュッセルを拠点とするクリエイター、Thomas Van Bouwel(トーマス・ヴァン・バウエル)氏が手がけるMR(複合現実)ゲームです。
現実世界にバーチャルな映像が重なる。つまりこのゲームの舞台は、いま自分が立っている場所そのものです。

実際にプレイしてみましたが、ヘッドセットをかぶると目の前に無数のレーザーが現れます。壁のように空間を隔てる光、振り子時計のように道を遮ってくる光、さっきまで何もなかった場所が一気に映画のワンシーンのように様変わりしました。もうこれだけでテンションは上がりっぱなしです!

■ ルールはシンプル。レーザーを避けてボタンを押せ!!

ルールは、ぱっと見ただけで何をすればいいのかすぐに分かるほどシンプルです。
部屋の両端にボタンがふたつ。いま自分がいる側がスタートで、反対側がゴールです。レーザーに当たらないように進んで、向こう側のゴールボタンを押すだけ。押すと、今度はそこが次のスタートに変わり、また反対側を目指す。こうして部屋を行き来しながらステージを攻略していきます。
「これなら簡単そう」と思うかもしれません。ところが、いざ遊んでみると思ったようにはいきません。
ステージが進むほどにレーザーは数を増し、配置もどんどん複雑になっていきます。低い光をくぐるために身をかがめ、高い光をまたぐために足を上げ、隙間を探して体をひねる。
やるべきことは分かっているのに、思ったとおりに体が動かせず、ついレーザーに当たってしまいます。レーザーに当たると自分のどの部分が当たったのか表示されるので、リプレイ時の参考になるのも気が利いています。

そして、レーザーが途切れるわずかな瞬間を狙って、ゴールへ手を伸ばす——押せたときには、思わず声と一緒にガッツポーズが出てしまいました。
■ 周囲から見れば不審者、でも本人は大真面目

正直に言うと、周りから眺めていると中々にシュールな光景です。何もない空間で、ひとり黙々としゃがんだり跳んだり、体をよじったり。事情を知らない人が見たら、完全に不審者の動きです。
しかし本人はいたって大真面目。目の前のレーザーに全神経を集中しているのでそんなことはお構いなしです。それだけゲームの世界にのめり込んでしまう。あの没入感こそが、このゲームのいちばんの魅力なんだと思います。
■ 場所が変わればコースも変わる
『Laser Dance』のすごいところは、ただレーザーを表示しているだけではない点にあります。

このゲームは、デバイスが周囲の空間を認識し、部屋のサイズや形に合わせてレーザーの配置を組み立ててくれます。収録されているのは18のレベルと、80種類以上ものレーザーパターン。それらが、遊ぶ場所に合わせて姿を変えるとのこと。
筆者が遊んだのは会場のブースという限られたスペースでしたが、それでもこれだけ楽しめました。だからこそ、もっと広い場所や、いつもの自分の部屋など、いろいろな環境で遊んでみたくなりました。場所が変わればコースも変わる。これこそが、このゲームの素晴らしいところだと感じました。
個人で開発しており、技術的にもとても大変なことだとは思うのですが、このこだわりが圧倒的に本作を魅力的にしている点
さらに、プレイヤーの動ける範囲に合わせて難しさを調整してくれる機能まであるそうで、大きくしゃがむのが難しい人でも、自分のペースで楽しめるように作られています。誰にとっても間口が広いのも、嬉しいところです。
■ 手がけたのは『Cubism』のクリエイター

この『Laser Dance』を手がけたBouwel氏は、VRパズルゲームの名作として知られる『Cubism』の作者でもあります。

『Cubism』は、空間に浮かぶブロックを組み合わせていくシンプルなパズルで、ハンドトラッキングを活かした直感的な操作で組み立てられます。角度をアレコレ変えながら差し込める場所を探すのですが、これがかなり難しく、気が付くとついついパズルに没頭してしまいます。
じっくり考える『Cubism』と、全身で動き回る『Laser Dance』。遊び方こそ正反対ですが、シンプルなルールを極限まで磨きあげ、説明なしで誰でもすぐ遊びに入っていける。そんな共通点にはしっかり同じ作家のこだわりが感じられます。
■ まとめ:ぱっと分かって、動き回って遊べる
数ある作品の中で『Laser Dance』が最も心に残った理由は、大きくふたつあります。
ひとつは、ぱっと見ただけで何をすればいいのかすぐに分かること。むずかしい操作も、覚えるべきルールもありません。ヘッドセットをかぶれば、その瞬間から老若男女問わず遊べてしまう、この間口の広さ。
そしてもうひとつは、なんといっても全身を動かして遊べる楽しさです。座って手元で操作するのではなくて、自分の体そのものを使ってレーザーをかいくぐる。この「動き回って遊ぶ」感覚がとにかく爽快でした。
また、普段の何気ない空間が、ヘッドセットをかぶった瞬間にあれほどスリリングなステージに変わる。日常でこんな体験ができることはそうそうありません。今回はブースの限られたスペースで遊びましたが、場所が変わればコースも変わるというこのゲーム、もっといろんな場所で遊んでみたくなりました。きっと更にワクワクさせてくれるに違いありません。
正式版のリリースも今から楽しみです!!
『Laser Dance』はMeta Quest 3/3s向けに、早期アクセス版が配信中です(価格1,600円)。ぜひあなたの部屋をレーザー迷路に変えて遊んでみてください。
公式サイト:laserdancegame.com
ソフトウェア概要
| タイトル | Laser Dance |
| 発売・開発元 | Thomas Van Bouwel |
| 対応ヘッドセット | Meta Quest 3/Meta Quest 3s |
| プレイ人数 | 1人 |
| 価格(税込) | 1,600円(Meta Questストア、Early Access版) |

