ソーシャルVR「VRChat」上で、京都考古資料館をフォトグラメトリ(※)で再現した有志ワールド「京都考古資料館(以下、VR京都考古資料館)が公開されました。
※:現実の建物などをさまざまな方向から撮影して、写真データをもとに3Dモデルに変換する技術。
「京都考古資料館」は実在する施設で、市内で発掘された土器や中国大陸との交易品、縄文時代の住居などが展示されています。大正時代に建築され、京都市の登録有形文化財にも登録されている“旧西陣織物館”で運営が行われています。
今回のワールドは京都発の3DCGクリエイター集団“Morpheus”が手掛けており、京都市文化財保護課の協力のもと、フォトグラメトリスキャンが行われました。普段は立ち入り禁止の3階貴賓室を含む、施設全体を散策できます。
入り口から入ると、まずは色鮮やかな着物が来場者をお出迎え。この服は1951年まで開催されていた「染織祭」の「女性時代風俗行列」で使用されていた衣装を復元したもの。“顔嵌めパネル”形式の撮影ブースも用意されています。
横を見てみると、スキャン当時に行われていた特別展「ファッションの考古学」の展示ブースがあります。
残念ながら展示物は見られませんが、壁に貼られた解説パネルから、縄文時代や飛鳥時代のファッションや、“服装図”など、当時の生活について知ることができます。
2階は、「土器変遷」や「時代別展示」「テーマ展示」などが行われているスペースです。
同農耕社会の始まりや中世の京都といった時代別の解説ペーパーが用意されており、いろいろな時代について深く学べます。また、縄文時代早期(紀元前6,500年~6,000年頃)のものとされる、竪穴式住居跡のレプリカが展示されています。
3階の貴賓室は、本ワールドの終着点とも言える場所。広い空間でリラックスできます。壁に設置されているボタンを押すと、「VR京都考古資料館」のミニチュアモデルも出現。館内を見回った後、フレンドと一緒にまったりするのに良さそうな空間となっています。
大正時代に建てられた建物を「VRChat」に“再誕”させた高品質なワールドです。こういった資料館や博物館では、実際だと写真撮影に少し気を遣いますが、ワールド内なら気兼ねなく、好きなように写真を撮れるのも嬉しいところ。
なお、実際の京都考古資料館では、「ファッションの考古学」以降も様々な企画展を実施しており、4月現在は食べ物をテーマにした「考古学からわかる食文化」を開催中(6月22日まで)。入館料は無料なので、京都を訪れた際には、一度行ってみてはどうでしょうか。
執筆:井文