想像してみてください。握った拳を前へ突き出すと、同時に光る「波動」が出現する様子を……そんな「想像上の超能力」でバトルができるとしたら、やってみたいですよね。
できます。それが、ARスポーツ「HADO」です。
「HADO」は2016年に株式会社meleapが発表したテクノスポーツ。頭部にヘッドセット、腕にアームセンサーを装着し、コート上でエナジーボールを放って対戦します。現在では世界39か国で累計600万人のプレーヤーが参加するなど、急拡大しています。
今回、その「HADO」から発表された「バーチャルキャラクター対戦システム」の体験レポートをお届けします。「バーチャルキャラクター対戦システム」とは、「HADO」の新規開発の第一弾として発表されたばかりの新機能です。
今回、MoguLive編集部から2人のVTuberが体験取材を行いました。それぞれ3Dモデルを活かした活動を行う、おむらいす食堂とけいろーです。バーチャルキャラクターの姿で「HADO」の対戦ができるということで、VTuber同士の対決がどのように実現するのか必見です。対戦の様子だけでなく、「バーチャルキャラクター対戦システム」の仕組みや取材場所の「HADO ARENA お台場店」も含めて体験をお伝えしていきます!
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体験時の映像をご覧あれ!
まずは、こちらの映像をご覧下さい。何を隠そう、「バーチャルキャラクター対戦システム」を知るには、映像を観ていただくのが一番です。詳細はこの後お伝えするとして、今回の取材で「一体どんな体験をしたのか」が映像からお分かりいただけるはずです。
一見、今ではさほど珍しくない3DキャラクターのAR映像……に見えなくもないですが、キャラクターの動作はリアルタイムでプレーヤーとリンクし、現実の動きそのままに対戦が行われています。プレーヤーの視点では、対戦相手のアバターが映し出され、まさに「バーチャルキャラクターと対戦」しています。このシステムを活用すれば、VTuber同士・VTuber対人間で「HADO」を楽しむことができるというわけです。
通常の「HADO」と何が違うの?
今回体験する「バーチャルキャラクター対戦システム」について、通常の「HADO」との違いや仕組みを簡単に紹介します。
端的に言えば、mocopiを活用したフルトラッキングシステムでプレーヤーの動きをリアルタイムに3Dモデルに反映することで、バーチャルキャラクターによるAR対戦を可能にしています。取材前の段階では、プレーヤーのトラッキングをどのようにして行うのか気になるポイントでしたが、mocopiを用いている点には納得の二文字です(手軽に全身のモーションキャプチャをするなら、mocopiですよね!)
プレーヤー画面に表示されているアイコンイラストは、なんとスタッフさん描き下ろし!
mocopiを装着する点以外においては、頭にヘッドマウントディスプレイ、腕にアームセンサーを装着する「HADO」の基本スタイルは変わりません。今回は、それぞれにスマホを利用していたため、1人あたりスマホを3台使っていました。
頭のHMD用・腕のセンサー用・mocopi用に3台のスマホを装着
こうして見ると、通常の「HADO」との大きな違いはmocopiのみ……mocopiの接続のためにプレーヤーはスマホをポケットなどに入れて身に着けておく必要がありますが、それほど大きなものではない為、通常と体験を損なうことなく「HADO」をプレイできます。
いざ試合開始!
機材の装着〜調整が完了したら、いざ試合開始! 事前に共有していたVRMデータ(VTuberやアバターの3Dモデルデータ)が反映されると、プレーヤーの目の前には対戦相手となるバーチャルキャラクターが出現します。
コートの壁がARマーカーになっている
現実世界のプレーヤーは、実際には向き合うことなく別々のコートにいます。「誰もいない」空間に向かって拳を突き出す動作は、客観的にはシュールかもしれませんが、プレーヤーの視点からは臨場感たっぷりです。
「HADO」の基本ルールは1試合80秒とのこと。80秒と言うと短いようですが、実際に動いてみると見た目以上にハード! 相手からの攻撃を避けつつ、エナジーボールとバリアを駆使して戦うには、身体だけでなく頭脳も働かせなくてはいけません。特に、エナジーボールは視線の先に飛んでいくということで、動き回る相手に照準を合わせるのも初心者にはなかなか大変です。
通常の「HADO」と変わらない楽しさの一方で、やはりアバター姿の相手と対戦できるのは新鮮な体験でした。バーチャルキャラクターから繰り出されるエナジーボールやバリアは視覚的な親和性が高く、まるでゲームの世界に入り込んだかのよう。
意外だったのは、「バーチャルキャラクターと対戦する違和感」がなかったことです。対戦相手のけいろーさんとはバーチャル空間でよく顔を合わせることから、「アバター姿のまま現実世界で遊んでいる」という状況が逆に不思議に思えるほど。今回の対戦相手がVR上で交流の深い間柄ということも理由のひとつですが、現実世界にアバターが溶け込む「バーチャルキャラクター対戦システム」の醍醐味だと感じました。
収録した映像では、試合中は見られない「アバター姿の自分」が対戦している様子も確認できます。試合そのものも白熱しましたが、試合後の映像を観ても大盛り上がり。バーチャルキャラクターが戦っている様子をリアルタイムで届けられるのも、「バーチャルキャラクター対戦システム」ならではの強みですね!
気になったら「HADO ARENA」へ!
今回の取材で体験した「バーチャルキャラクター対戦システム」は一般向けには公開されておらず、主にVTuberに向けた機能として今後の展開が期待されます。VTuber同士の試合を観戦したり、「推し」のVTuberと対戦したり……そんな「HADO」における新しい体験がそう遠くない未来で楽しめるかもしれません。
「バーチャルキャラクター対戦システム」でなくとも、通常の「HADO」をやってみたい! と思った方には、専用施設である「HADO ARENA」がオススメです。専門インストラクターが常駐するほか、様々な体験プランやレッスンが行われています。今回の取材で伺った「HADO ARENA お台場店」は、全国に7店舗ある「HADO ARENA」の中でも、グローバル旗艦店として充実した設備を備えています。
4つあるコートの中でも、施設中央の「グランドステージ」では観客席や実況・配信設備が完備され、ステージ上のコートではライブパフォーマンスも行えるとのこと。通常のスポーツとは異なる、エンターテイメント性のあるテクノスポーツならではの空間が広がっていました。
広い受付にはウェアなどのグッズが並び、無料ロッカーや更衣室も男女ともに備えています。シューズの貸し出しも行われ、一般的なスポーツとしてのサポートも充実しているようです。
ARスポーツ「HADO」は、発表から8年と、その年月の中で世界的な認知も含めて様々な広がりを見せています。公式大会の開催やタレントとのコラボレーション、さらには「HADO部」なる学生の部活動にも取り入れられています。使用するデバイスもスマホを活用できることから、身近な機材で始められることも魅力です。
日頃のVTuber活動では、YouTubeやVRChatのネット上での交流が主なだけに、今回の取材では「アバター姿のまま現実世界を動き回れる」という体験が本当に新鮮でした。プラットフォームから離れた現実世界で「自分の好きな姿」で遊べるのは、VTuberだけでなくアバターを持つ全ての人にとってワクワクする体験になること間違いありません。
今回の「バーチャルキャラクター対戦システム」の登場により、昨今のVTuber人気が追い風となることも予想されます。AR技術を駆使した「HADO」ならではの楽しみを、バーチャルキャラクターを通じてより多くの人に体験してもらいたいと思える取材でした! これからの「HADO」の展開も楽しみです!