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VTuber 2020.02.09

富士葵、2年間の軌跡 名曲10選と彼女の魅力

VTuber富士葵さんが2017年12月8日にデビュー動画を投稿してから2年が経ちました。クラウドファンディングで約2000万円を達成して「羽化」。ユニバーサルミュージックよりメジャーデビューを果たし、1stソロライブ「OVERTURE -序曲-」を開催。オリジナル楽曲の1stフルアルバム「有機的パレットシンドローム」を発売。ラジオやテレビ・イベントなどにも積極的に出演し、活躍の幅を広げています。

一見すれば輝かしい実績ばかりを残している彼女ですが、その裏側では努力と試行錯誤を重ねながら自分の道を歩み続けています。今回はその軌跡と魅力について、歌と共に振り返ります。

目次

1. なんでもないや
2. ありがとう
3. ライオン
4. 希望という名の光
5. 【全部俺】ドンキーコング歌ってみた【多重録音】
6. 君のミライ
7. はじまりの音
8. ミルクティ
9. エールアンドエール
10. MY ONLY GRADATION

1.なんでもないや

初めての歌動画では、その歌唱力に多くの人が驚かされました。葵さんは当時『君の名は。』という映画の聖地巡礼をしており、その後も「スパークル」や「前前前世」など映画の楽曲を発表。中でも「なんでもないや」は思い入れの強い曲となっているようで、活動一周年記念生放送の最後に披露したのも「なんでもないや 2018 Cover」でした。

リクエストを踏まえた上で選曲されたカバーアルバム『声 〜Cover Ch.〜』にも収録されています。(既にyoutubeに上がっている楽曲もすべて撮り直しており、聴きどころは生放送にて解説されています)さらには1stソロライブ「OVERTURE -序曲-」でも歌われるなど、葵さんを代表する曲のひとつといっても過言ではないでしょう。優しくも力強い歌声は何度聴いてもよく、バージョンそれぞれに味わいがあります。

2.ありがとう

クラウドファンディング達成後の初の歌動画が「ありがとう」とは、粋な選曲だと思った方も多いのではないでしょうか? 葵さんの歌い方は、歌詞を噛みしめるように歌い上げるので、言葉の一つひとつが心に沁み込むようです。以前よりも表情や身振り手振りが豊かになっており、MVでは彼女の表現力の高さを感じさせます。「ありがとう」は、葵さんを応援してきた人へのメッセージだと思いますが、ファンにとっては彼女への感謝の気持ちが心から湧き上がる一曲になっているといえます。

3.ライオン

ときのそらさんとコラボ「そらあお」で歌ったのは「ライオン」。歌の上手い2人のコラボということで公開前から多くのファンに注目されていました。ときのそらさんのチャンネルでも「Snow halation」が同日に公開。2人とも非常に仲が良く、お絵描き配信したり体力測定したり、ときのそらさんのオリジナル楽曲「未練レコード」をカバーしたり、燦鳥ノムさんと3人で「檄!帝国華撃」を歌ったり、アズマリムさんと3人で北海道を旅行したりと、“てぇてぇ”絡みがよく見られます。

4.希望という名の光

国内での自然災害が多かった2018年、富士葵さんなりにできることを考え「支援募金について」という動画を投稿。募金の手段を案内するなど、積極的に支援活動を行っていました。2018年9月19日、VTuber53名が集合したチャリティーライブでは大トリをつとめ、上記の「希望という名の光」を歌いました。「葵の歌が皆様の希望の一助となれば幸いです」とコメントした姿に、多くの視聴者が感動しました。【キミの心の応援団長】と名乗るに相応しいほど、多くの人を前向きな気持ちにさせた歌声でした。

5.【全部俺】ドンキーコング歌ってみた【多重録音】

本来は歌などをアカペラだけで再現する多重録音というジャンルなのですが、富士葵さんは何故かドンキーコングというゲームを声だけで再現しました。ゲーム中の効果音まで再現していたり、ゲーム内の小ネタなどもイラストで再現していたりと芸が細やかです。おふざけ動画のようでハモりが綺麗で、音声作品としての完成度も高いのがポイント。歌っているパートごとに顔が映し出されているのもチャーミングです。(「Fukigen」という歌わずにしかめっ面してるだけのパートが見られます)多重録音は他にも「カントリーロード」「JUPITER」「Over The Rainbow」が上がっています。ハモリ部分はヘッドフォンなどで聴くことをオススメします。

6.君のミライ

初のオリジナル楽曲です。応援団長を続けてきた富士葵さんにピッタリの歌に仕上がっています。2018年8月17日から9日間行われた『食フェス×エンターテイメントバトル Fight!』というイベントの公式応援ソングにも採用されています。さらにこのイベントにてライブも行い、「じょいふる」などのカバー曲数曲と「君のミライ」を披露しました。当時の想いは動画にもまとめられており、葵歌劇団(ファンネーム)にとっても思い出深い楽曲になっているはず。1stアルバム『有機的パレットシンドローム』にも収録されています。まっすぐにミライに向かって頑張ろうという気持ちになれるでしょう。

7.はじまりの音

メジャーデビューシングルとして発表された曲は「はじまりの音」。新たなスタートへの一歩目という決意が感じられる楽曲で、ラストのサビの「どこからだって そう スタートなんだよ」という部分の歌い方には私も何度も勇気を貰いました。カップリング曲である「ユメ⇒キミ」はライブで「おーおーおおー!」とコールが盛り上がる曲です。(『有機的パレットシンドローム』に収録されている「ユメ⇒キミ⇒オヤスミ」では歌詞を囁きます)「人にやさしく」はコーラスの綺麗な楽曲で「がんばれ」と言ってもらえる曲になっているので、そちらも要チェックです。

8.ミルクティ

葵さんのオリジナル楽曲は、さまざまな音楽家さんと協力して作られたものですが、この「ミルクティー」は葵さん本人が作詞作曲を行っています。思わず目を閉じながら聴き浸っていたくなるほどに優しいメロディ。「大好きを詰めた ぼくの魔法瓶」といった可愛らしい表現など、作詞作曲のセンスが光る楽曲となっています。「きみ」と「ぼく」の切ないラブストーリーのような歌詞にも読み取れますが、色んな想像ができると思うので、MVを見ながら妄想を膨らませてください。

9.エールアンドエール

2ndシングルとして発表されたこの楽曲は「エイリアンエイリアン」などで有名なナユタン星人さんがプロデュース。「みんなと自分にエールを送る最強の応援歌!」というキャッチコピーがピッタリのアップテンポ曲で、コールも多くライブでも盛り上がります。この曲のポイントは等身大の富士葵さんの姿が浮きぼりになっている点です。「失敗するときもあるし、自信がないときもあるけれど、そういう気持ちをひっくるめても応援するぞ!」という歌になっており、彼女が前向きなのは多くのファンに支えられつつ、試行錯誤を繰り返してきた結果なのだと気付かされます。

10.MY ONLY GRADATION

1stソロライブ「OVERTURE -序曲-」で初公開された楽曲で、1stフルアルバム「有機的パレットシンドローム」の表題曲でもあります。今までのバラードやポップスとうってかわって、ロック系の楽曲となっていますが、「キミの心の応援団」という姿勢は変わっていません。「紅蓮華」の作曲としても有名な草野華余子さんが手掛け、作詞は草野華余子さんと葵さんの2人で行い、映像には2013年から3Dモデルを使って自主制作アニメを作ってきた吉武薫さんを起用するなど、キャスティングにも余念がありません。「日々の葛藤や悩み、過去の失敗、未来の不安。色んな想いを全部抱きしめて、胸を張って笑えますように。」という本人コメントもあるように「失敗も全然上等」という歌になっているので、凹んだときに聴くと、すごく勇気を貰えます。このMVはVtuber界隈や音楽界隈でも屈指のレベルだと思うので、チェックしてほしいです。

まとめ

結論からいうと10曲では魅力を伝えきれません。ユニバーサルミュージックさんのチャンネルに上がっている「KieR⌫N」(読み:キエナイ)や『花鈴のマウンド』という女子野球漫画のCMに採用された「オーバーライン」、奏MiMiさんによる曲の振り付け解説動画なども深く掘り下げたいところでした。また「なんでだっけ(葵の場合)」という楽曲では、多くのファンやVtuberさんが歌詞をアレンジして発表したということについても言及したかったです。(結局こうして触れていますが)

「歌ってみた」は50曲以上、オリジナル楽曲も10曲を超えているので、ファンの中には「この曲だって素晴らしい!」という思いもあるでしょう。そのときはSNSなどで周囲に広めてくだされば幸いです。

ちなみに、100万再生を超えているものとしては「I beg you」「月光」「Flamingo」「フリージア」などがあります。どれもリズムが難しく、音程をとるのが大変な歌。それを上手に歌い上げているのは流石としか言いようがありません。

今回は歌に焦点を当ててまとめましたが、彼女の魅力は歌だけではありません。妖怪惑星クラリスというヤバいソシャゲのガチャ50連してる頃から「あれ……?」と思っていましたが、公式自らMADを作り始めたり、本人監修で「富士葵がぶっとんだ思考の持ち主だと分かる動画」をあげたり、「富士葵の恋愛シミュレーションゲーム」という一見まともに感じた矢先に笑わせてくる動画をあげたり、ワンピース集めすぎたり素晴らしくかっこいいダンスをみせてくれるなど、一部で「歌動画で釣って、謎動画を見せつける系Vtuber」とコメントされるくらいおふざけが魅力的です。これでもまだ足りない方は詰め合わせをご覧ください。

あらためて「富士葵はずっと等身大の応援団長」な存在だと再確認できました。メジャーデビューするほどの歌唱力を持っていると、まるで雲の上のような存在に思えますが、多くの人と同様に失敗して凹んだり、おふざけして笑ったり、ポケモンで遊んだりしています。だからこそ富士葵さんからの応援から素直に元気をもらえるのだろうと思いました。これからも富士葵さんを応援し、富士葵さんからも応援されるという素敵なサイクルを続けていきたいと思います。

執筆:ひかげつきみ


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