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話題 2021.03.24

VR歩行の夢は実現するか? 話題の「Cybershoes」を試してみた

「バーチャル空間を自分の足で歩く」。それは多くのVRユーザーたちが持っている夢のひとつ。その夢の架け橋となる可能性のひとつとして注目されているのが「Cybershoes」です。

この「Cybershoes」は、スタンドアロン型VRヘッドセットの「Oculus Quest」と組み合わせ可能で、「バーチャル空間での歩行」を実現するとのこと。先日クラウドファンディングが開始され、目標の3倍を超える金額を得るほどの成功を納めました。

果たして、本当にVR空間の中を「歩く」ことができるのか? 実際の使用感をレビューします。

セットアップの流れ

早速開封してみると、Cybershoes対応の回転式のイスとマットが同梱されていました。イスは見かけ以上にしっかりとした造りになっていて、どっしりと腰を下ろして回転してみても、耐久面では不安感はありませんでした。

そしてこちらがCybershoesの本体。底面にはローラーが搭載されており、これが「歩く」という操作に大きく関わってきます。

このように履き物を上に重ねて装着する仕組みになっています。

足先を通してから、さらにベルトを締め、固定していきます。

ベルトにはレバーのようなパーツが備わっており、これを何度か押して調整すれば、限界まで足先を締められます。ただベルトまわりの構造が少しだけ特殊なので、装着には若干慣れが必要かなと感じました。

両足に完全に固定できたら装着完了。今回はスリッパで試しましたが、限界まで締めてもスリッパがズレてしまうことがあったので、スニーカーなどを履いた方がより快適に操作できそうでした。

そして、Oculus Questには専用のアダプタを装着します。接続はUSBケーブルで簡単に行えますが、ヘッドセット前面への装着は強力な両面テープを貼るという力技で固定する必要があります。ただ、付属のテープで剥がれることはありませんでした。

本体のスイッチを入れ、アダプタとペアリングを行えば、Cybershoesの準備は完了です。早速「歩いて」みましょう!

歩くだけでも慣れが必要!

Cybershoesに対応しているコンテンツはまだまだ少数。今回は「Arizona Sunshine」と「ソード・オブ・ガルガンティア」をプレイして、Cybershoesを体験しました。

「VR空間を歩く」のが売りであるCybershoesですが、この「歩く」という操作がなかなかのクセモノ。どのように歩けばいいのかが最初は全くピンとこず、うまく操作できませんでした。

Cybershoesを使う上でのコツはひとつ。本当に「歩く」ことです。どういうことかと言うと……。


(うまく歩けないパターン)


(うまく歩けるパターン)

そう、すり足では無く両脚を上げて歩くことがポイントです。「ローラーがついた靴」なので、すり足なのかと誤解してしまいますが、実際には歩く際に地面を蹴るためのローラーだったと言えるでしょう。

コツさえつかめれば「歩く」のはなかなかに楽しい。これまで両手のコントローラーのスティックを倒して移動していたゲームを、自分の両足を使って移動する体験はアクティブで、特に「走る」操作が快感です。

「ソード・オブ・ガルガンティア」では、剣を片手に敵へ向けて自分の足で駆けていく体験ができました。まるで「ソードアート・オンライン」!。このゲームを遊んでいて最ものめり込めたような心地です。

ただし「椅子に座って歩く」という操作感はかなり特殊で、当たり前ですが実際の歩行とはかなり勝手が異なります。具体的には、前進は違和感なく行いやすいものの、横や後ろなどへの移動はやや難しいと感じました。

また対応コンテンツもあまり多くはない上に、一番試したいところであるVRChatでは移動方向がなぜか横向きになるという挙動に見舞われました。Oculus Questで活用できる範囲が狭そうなのは大きな懸念点です。

まだまだ発展途上か

Cybershoesは「VR空間を自分の足で歩く」という夢をたしかに叶えてくれるデバイスですが、完璧には叶えられていない、というのが正直な所感です。対応コンテンツの狭さもあり、「自分が本当に好きなコンテンツが対応している」というケースに当てはまらないならば、現時点では実践はまだ見送っても良さそうです。

とはいえ、Oculus Questとの連携はシンプルで、準備が整えばサクサクと動作するのはなかなかに魅力的。VR歩行デバイスそのものがまだまだ発展途上の領域なので、今後のさらなる発展には期待できるかと思います。「VR空間を自分の足で歩く」という夢は、まだまだ遠そうですが、着実に歩み寄れているのかもしれません。

執筆:浅田カズラ


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