にじさんじの動向を半月ごとに振り返る「にじさんじを追う!」9月後半分(9月16日~30日)。今回は大きな話題となった新人ライバーの加入を【後半のトピック】として紹介する。
また、ド葛本社with樋口楓が京都国際マンガ・アニメフェア(京まふ)に参加したり、樋口楓が「FAVRIC」に出演したりと、イベントづくしの月でもあった。そんな盛りだくさんの9月後半を見ていこう。
【後半のトピック】9月19日(木)~21日(土)にじさんじ新人ライバー3名デビュー
またも、にじさんじが新人を発表した。デビューしたのは、ナースの健屋花那、ロードレーサーの早瀬走、そして探偵のシェリン・バーガンディの3名。見た目の色がそれぞれ白色、黄色、赤色なことから「チューリップ組」と呼ばれることに。デビュー初日16時に解禁されるツイート(通称「産声」)は三者三様で、特に健屋花那の投稿は注目された。
ばぶぅ〜!!!!!!!!ばぶばぶ〜〜!!!!!!!!!!!!!!!!
— 健屋 花那(すこや かな)💉💘 (@sukosuko_sukoya) September 19, 2019
おめでとうございます、元気なにじさんじです。
— 健屋 花那(すこや かな)💉💘 (@sukosuko_sukoya) September 19, 2019
…元気な子がやってきたらしい。
さて、そんな3人のデビュー配信リレーが21日(土)に行われた。
https://www.youtube.com/watch?v=4pgLL4ROLqI
【初配信】はじめまして、健屋花那です!気軽にすこってください!!【健屋花那/にじさんじ】
健屋花那は配信前からナース・色白・八重歯などの属性が話題を呼んでいた。開始直後から現れる胃(「すとまっくん」)にリスナーはざわついていた。そして自己紹介から嘔吐フェチを告白すると、Twitterで「嘔吐フェチ」というワードがトレンド入りを果たした。こうしたパフォーマンスに心を掴まれたファンは少なくないだろう。筆者としては、ややハスキーで滑舌の良い声がとても聞きやすいように感じられた。
2回目配信ではナースという職業にふさわしく手術体験ゲーム「Surgeon Simulator」をプレイ。「腕時計したままなんて衛生的じゃない!」など、本職らしい発言を見せた。その後のラジオ企画「すこやか放送」では、漫画やアニメの知識を披露し、かつ60分きっちりでラジオを終わらせるという企画力・トーク力の高さを見せた。
https://www.youtube.com/watch?v=gnHnJEHa25c
【初配信】はじめまして!早瀬走です!【にじさんじ】
早瀬走はコスプレとロードバイクを趣味とする関西弁のライバー。とにかく明るく元気いっぱいの20代。また自身の身長(169.9cm)を16.9cmと言い間違える脊髄反射トークを繰り出した。関西人らしいノリツッコミや、自身の発言やコメントに対する豪快な笑いも魅力的なポイント。コスプレ趣味なことから、漫画やアニメが好きなことも分かった。
2回目以降の配信では、ホラゲーの「the House」や「Ib」をプレイ。彼女の叫び声があまりにも綺麗なことから「フリー音源のような悲鳴」と評されていた。プレイの一挙一動に叫び、語彙の豊富なツッコミが冴えるので、ぜひ見て欲しい。
リゼ・ヘルエスタ、アンジュ・カトリーナ、戌亥とこの3名による通称「さんばか」組デビュー以来、デビュー同期での企画は恒例になりつつある。「チューリップ組」では、お互いに企画配信のサムネイルを(独断で)作り合い、それに見合う内容の配信を1週間以内にすることに。
早瀬走には健屋花那から「ロリボイスで雑談」というテーマを与えられたが……マシュマロに対してキレのあるツッコミを入れたり、素っぽさを見せたりと、会心の配信に。本人いわく「2度とやりたくない」とのこと。
【初配信!】僕がシェリン・バーガンディです!
最も強いインパクトを与えたのは間違いなく彼だろう。某探偵アニメをオマージュしたロゴを出したり、クソダサパワポで自己紹介したりと、同期・先輩ライバーたちを爆笑の渦にたたき込んだ……。初ツイートでの動画投稿や待機サムネイルへのこだわりぶりからも、エンターテイナーな側面を持っていると分かる。
またツイッターのヘッダーの「名探偵」の左上に小さく「きっと」と書いてあったり、配信中の画面右上に時計を設置するなど、細やかな部分にも気を遣っている。
語り口はまさに“うさんくささ”そのもので、「わかった!(わかってない)」を地で行くようなしゃべり方をする。ノンストップなトークも彼の魅力のひとつだろう。早瀬走から彼に与えられた企画は「英語禁止配信」。横文字を言わせようとする視聴者と、なんとか日本語で説明しようとするシェリン・バーガンディとの勝負は必見である。
9月16日(月)椎名唯華、ASMRに触れる
【ASMR】パトラ先生とお勉強。囁き、耳かき、マッサージ。whispering/Ear Cleaning 【にじさんじ/椎名唯華】
Vtuberでも屈指の話題性を持つHoneyStrap・周防パトラがにじさんじ・椎名唯華にASMRを伝授させる企画。ASMRとは、耳ざわりの良い音や語りかけによってリスナーをリラックスさせるものだ。音を使うための技術や発声が必要となり、特にその「声質」は注目度が高い。
にじさんじでASMRといえば、若女将こと小野町春香や、ひなPこと飛鳥ひな、童田明治、ラトナ・プティなどが人気である。椎名唯華の場合、元々がウィスパーボイスに近い声質をしているため、ファンからは「ASMRが合うのではないか?」と言う話が度々出ていた。
そこで、ASMRの熟練者である周防パトラから教授してもらうことになった。配信では、さすが椎名唯華というか、真面目に周防パトラの指示に従うはずが、なぜか笑いを誘う展開に。ASMR独特のシチュエーションに対して「どういう状況なん?」とツッコんでしまうあたりが彼女らしい。
結局、彼女の言動をほほえましく見守るような雰囲気の配信となった。後日、椎名唯華単独のASMR動画が投稿。こちらは非常にASMRらしい仕上がりになっている。
他にも、9月18日(水)には童田明治と本間ひまわりのASMR企画が配信されたが、こちらもリラックスというよりは、仲の良い姉妹のかけあいを楽しむような雰囲気だった。7月の月ノ美兎主催の「ASMRになりたい女たち」でも同様だったが、ASMRをリラックスするためでなく、自らの芸風に合わせたネタにしてしまう点が、彼女らの魅力かもしれない。
9月18日(水)社築と飲み友たちの「オタク」な関係
皆の好きな性癖をランダムに組み合わせたら多分最高のキャラになる【社築のあの日に青春置いてきたラジオ。#3】
社築によるリスナー投稿型企画配信が行われた。彼のリスナー投稿型企画配信といえば「実録!企業であった怖い話」や「クイズ王選手権」など、ユニークでどこか世知辛いテーマを取り扱うものが多い。
「社築のあの日に青春置いてきたラジオ。」は彼の不定期ラジオ企画で、これまでに「幼なじみ属性が勝つ方法って何?」「授業中の妄想の中でぐらいは世界最強でいさせてくれ」が行われた。要するに「オタクの妄想を語る」のがコンセプト。「ひとり焼肉」「ひとりゲーセン」などのあるあるトークではじまり、後半に企画を差し込む構成である。
「車田ぶっ飛び」「草原白ワンピ」などの彼が使いがちなオタク用語も、リスナーを惹き付けるポイントだろう。開始15分ごろの「オタクネタの使い方」はおすすめである。
9月20日(金)ド葛本社、京都に参上
【#どくずほんしゃ】ド葛本社のドタバタ家族旅行in京都!直前配信!【にじさんじ ドーラ/葛葉/本間ひまわり/社築】(※本番の事前に行われた配信)
京まふの前日にロームシアター京都にて開催されたオフラインミーティングイベント「ド葛本社のドタバタ家族旅行in京都」。本間ひまわりが樋口楓とともに京まふの「おこしやす大使」として任命されたこともあり、ひときわ注目度が高かった。
開催前まで、カウントダウンを兼ねてツイッターで短編動画が投稿され、一家のやりとりを始め樋口楓と葛葉のやりとりなどが見られた。そして前日(19日)の深夜では浮き足だった度葛本社による直前配信が行われ、何故か漫画「キングダム」語りになったり、オチのないボケをドーラがうまくまとめたりと、一家ののほほんとした空気感が醸し出されていた。
当日はドーラ・葛葉・社築の3人の3Dのお披露目から始まった。尻尾を揺らしながら優雅に立ち振る舞うドーラと、よく動く社築。ジェスチャーゲームでは、3Dならではの全身の動きが余すことなく見られた。
その後、ド葛本社による京都旅行報告会を経て、樋口楓を交えてのゲームパート。セクシーポーズのドーラや魔法少女化した葛葉などが披露され、会場も本人たちも終始盛り上がっていた。
カラオケパートでは樋口楓の「Don’t say, “Lazy”!」をはじめ、5人そろっての「新宝島」で多いに盛り上がり、最後にはド葛本社オリジナルソング「Fam☆Fam☆Time!」が発表された。アップテンポな曲調とサビでのかけ声も盛り込まれており、会場の一体感を味わうことができた。本間ひまわりの「家族で3Dイベントを行いたい」という夢が叶った時間でもあった。
また、21日、22日の京まふではにじさんじ「おこしやすカフェ」では、接客配信として樋口楓、本間ひまわり、戌亥とこ、御伽原江良、花畑チャイカ、ベルモンド・バンデラスによる「生マシュマロ」が現地で開催された。
9月20日(金)~28日(土)鷹宮リオン、夢をみる島にチャレンジ
【新作】ゼルダの伝説 夢をみる島 【にじさんじ/鷹宮リオン】
鷹宮リオンによるNintendo Switch新発売ソフト「ゼルダの伝説 夢をみる島」プレイ配信。「夢をみる島」は1993年にゲームボーイ用ソフトとして発売された「ゼルダの伝説」シリーズのひとつで、そのリメイク作品となる。
「ゼルダの伝説」と言えば、さまざまなアイテムを用いた難度の高い謎解きダンジョンが名物である。鷹宮リオンは以前にも【くそざこ】と題して「時のオカリナ」や「ムジュラの仮面」をクリアしている。調子に乗った後に失敗したり、文句をいったり。リスナーに記録を頼みながらも実直に何回もチャレンジする姿は、ある意味で鷹宮リオンらしさが現れている。
そして「夢をみる島」をクリアした後に始めるまさかの縛りプレイ「GAME OVER になったら最初からやる縛りゼルダ」を開始したが……? さすがである。
9月22日(日)さんばかの仲の良さ、お互いへの思い
【#さんばか】活動半年記念!いつもありがとう!【にじさんじ】
2019年3月にデビューしたリゼ・ヘルエスタ、アンジュ・カトリーナ、戌亥とこの3人組「さんばか」の半年記念配信が行われた。
抜群のトーク力とカリスマ性(?)で心を惹き付けるリゼ・ヘルエスタ、男子中学生も顔負けの下ネタトークを繰り出すアンジュ・カトリーナ、そして独特のしゃべり方とキレのあるツッコミを繰り出す戌亥とこ。
この3人が半年の間お互いに助け合い、楽しんで活動してきたことが感じられる配信だった。短い概要欄に込められた戌亥とこの気持ちを推し量らずにはいられない。
そして公開された「Virtual to LIVE(covered by さんばか)」。にじさんじの「歴史」を編み込んだこの歌を歌い上げた3人組の作っていく新しい「歴史」を、これからも応援したい。
9月24日(木)委員長、お誕生日おめでとうございます
月ノ美兎・爆誕スペシャル【ヨーロッパ企画実況・寿命公開・凸待ち】
9月24日は委員長、月ノ美兎の誕生日だった。誕生日を迎えるのはデビューして2回目だが、昨年は奇しくも「よみうりランド」イベントと重なり、JKL(月ノ美兎、樋口楓、静凛、える)と会場の参加者で祝うことになった。
今年は、前日に樋口楓と器物を自由に破壊できるお店で遊んだり、アカウントが凍結されるアクシデントに見舞われたりした。(その後、アカウントは無事に復旧)。当日は配信タイトルの通り「ヨーロッパ企画(新作)」、「寿命公開」、「凸待ち」が盛り込まれた。
月ノ美兎はヨーロッパ企画制作の新作ゲーム、特にスタッフたちの宿舎を舞台にした「サカイギアソリッド」で悪戦苦闘。しかし、映像制作班が普段どんな場所で生活や撮影をしているのか、間取りを見ながら考察しており、彼女の視点の鋭さが垣間見られた。
「寿命公開」では遺伝子解析キットの結果から、罹りやすい病気や体質を公開。長生きはできるとの結果に素直に喜んでいた。
「凸待ち」では、にじさんじ1期生出身者をはじめ、企画で同席した夢追翔やお互いにファンと公言しているリゼ・ヘルエスタなどと、お互いの良い部分を語り合う時間となった。
9月後半は他にも雪城眞尋(26日)、エリー・コニファー(27日)、黛灰(28日)、アンジュ・カトリーナ(30日)が誕生日を迎え、思い思いに配信していた。
9月25日(金)夢追いかけて26年、活動1年での夢追翔のキセキ
【# 翔onAir】夢追い続けて27年、ようやく1歳になったシンガーソングライターの雑談【にじさんじ】
今ではすっかり名司会的な立ち位置となったシンガー・夢追翔。デビュー時には自作デ○ルマンMADを作ったほか、オリジナルソング「死にたくないから生きている」を投稿し、その後「弱きに寄り添う」といった、真っ直ぐな感情をぶつけるオリジナルソングを披露してきた。
彼自身、「もしも芥川龍之介版「桃太郎」の主人公達がラッパーだったら」や「別々の曲の伴奏と歌をごちゃ混ぜにする歌枠」、黒井しばとの「もやしばラジオ」など、自分の得意な音楽を用いて企画配信を行ってきたライバーのひとりである。
そして、にじさんじきっての企画屋・緑仙と組むことで「緑仙ラップ」やなどの名企画を生み出してきた。彼が場を仕切ることに長けていることが明らかとなり、にじさんじ1期生からSEEDs2期生出身までが参加した大規模企画「にじさんじ格付けチェック」では総合司会をこなすまでになった。この1年でさまざまなターニングポイントがあったことがうかがえる。
夢追翔は、元にじさんじSEEDsの2期生としてデビューしたライバーだ。彼の同期にはベルモンド・バンデラス、黒井しば、矢車りね、成瀬鳴がいる。SEEDsという枠組みはなくなったが、また来年も2周年を祝って欲しい。
【9月後半のまとめ】
紹介した以外にも、物述有栖の「辛辣相談お茶会」やギルザレンⅢ世が喋り続けた「Murderous Pursuitsコラボ」、女性ライバー(?)4人(三枝明那、夢月ロア、葉加瀬冬雪、アルス・アルマル)による和気あいあいとした「UNO」、緑仙企画による「私も入れてよって言わせるゲーム」などが開催された。また30日(月)には竜胆尊の3Dお披露目配信が行われた。さらに、花畑チャイカ&椎名唯華のにじさんじレジスタンスによる「にじさんじNEWS」も投稿され、直近のにじさんじの動向を知ることができる。
ニコニコチャンネルで、にじさんじの公式チャンネルが開設され、第1回目が24日に配信された(ライバー:鈴鹿詩子、竜胆尊)。
さらに、田中ヒメ・鈴木ヒナのライブで、シスタークレアや樋口楓らライバーがメッセージ動画を送っていたことも見逃せない。9月22・23日には幕張メッセで「DIVE XR FESTIVAL」が開催され、ドーラが東雲めぐらとステージに立つ一幕も。
9月29日(日)には幕張メッセでライブ・ファッションイベント「FAVRIC」が開催され、にじさんじからは樋口楓が「声援で変わる衣装」をまとって「Maple Dancer」「響鳴」を披露した。
そのほか、コンピレーションアルバム「Imagination vol.2」に戌亥とこ、御伽原江良、童田明治の参加が決定。10月から文化放送A&G;でのにじさんじ番組が放送されるという新たな動きもはじまった。これからもにじさんじの幅広い活動に目が離せない。
執筆:Aikawa Hasma