MyDearestが展開する小規模自社ゲームブランド「Bazooka Studio」が開発したVRゲーム「BEAST ARMS」 。動物をバディにして戦うVRゲームで、2026年6月にリリースされたばかりのタイトルです。
本記事では「BEAST ARMS」のプレイ体験を通して、VRゲームの現在がどうなっているのかを紐解いていきます。
Bazooka Studioの送る対戦アクションシューティング
「BEAST ARMS」は、プレイヤー対プレイヤー形式の対戦が楽しめるVRゲームです。ゲームを開始するとプレイヤーは3匹の動物キャラクター「バディ」を受け取り、そのバディを武器として駆使しながらバトルフィールドで戦っていきます。
例えばワニのようなバディはチャージショットを発射し、コウモリのようなバディは弧を描くビームを出すなど効果はさまざま。バディのレベルが上がるとより強力な武器となります。攻撃が当たると相手は吹っ飛び、勢いよくフィールドから落下することも。いかに相手にダメージを与え、自分はステージから落ちないかが勝利の鍵となります。
イメージとしては、立体空間でシューティングを駆使しながら戦う大乱闘スマッシュブラザーズのような印象です。また、同社の代表作「ブレイゼンブレイズ」をよりカジュアルにしたような内容となっています。無料で遊ぶことができ、1ゲームは数分、現在用意されているステージは2つと小規模な内容ですが、ポップなビジュアルや触り心地の良い操作性など、子どもたちでもすんなりと遊べそうな軽快さが魅力となっています。
なお、今後のアップデートでPvE(プレイヤーたちとCPUキャラクターの対戦)モードが追加されるそうです。
プレイ感触は良好、ゲーム中は子どもたちが遊ぶ声も響く
実際にゲームで遊んでみました。ロビーに入るとバディの選択から始まりますが、この時点で聞こえてくるのが、英語で話す子どもたちの声。日本国内だとハイティーンから成人向けとされているVRゲーム市場ですが、本作に触ってみるとそのギャップに驚かされます。
基本的に本作は戦闘で得た報酬を元にエサをゲットし、バディに食べさせて成長させる仕組みです。また、新たにバディを増やしたり、デイリーミッションをこなしたりすることもできます。
もちろん衣装やアバター自体も好きに変更可能。全体的にトゥーン調のポップな見た目となっており、自分なりに可愛らしく着飾ることができます。
まずは試しに編集部の方たちと一緒に対戦モードをプレイしました。VRの3D空間内で戦うと言うと敷居が高そうに思えますが、触ってみると直感的に遊べることが分かります。例えば弓の武器は片手で持ってもう片手で引いて撃つかたちですが、ギミック自体が分かりやすくて戦いやすい印象です。3D空間での戦いも酔いづらく、攻撃も当てやすく移動も遅すぎることもない絶妙な塩梅となっていました。
移動は複数の方式が利用できますが、ボタンメインの操作だとジャンプや空中ダッシュが分かりやすかったです。子ども向けとは言え、操作の快適性は期待以上でした。
一方で野良のオンラインマッチに参加してみると、対戦中も子どもたちの声が常に聞こえてきました。しっかりと強化してきたようで、1位のプレイヤーは見た目もバディも攻撃もかなり派手。初期バディだと戦闘力として心もとないですが、対戦を繰り返すことで報酬もゲットできます。むしろ強さよりもワイワイと楽しむこと自体が目的のように思えました。
「子どもたちだけの特別な遊び場」としてのVR空間
今作は、すでに評価数が7,488件で星4.8 、レビューが1,950件(7月15日時点)と大きな反響となっています。その評価の多くは英語圏によるものとなっていました。この評価は、VRゲームの最前線が北米のローティーン層にあることを意味していると言えます。
ゲームをひと通り遊んだ印象として気づいたのが、子どもたちはVRゲームを「公園」と同じ感覚で使っているのではないかということです。子どもたちが声高らかに叫びながら走っている姿は公園にいるときと全く一緒で、ロビー自体も広場のような役割になっているように感じました。
実際、岸上CEOとMoguLive編集長の対談では以下のような内容が語られています。
すんくぼ:それはすごいですね。北米のティーン層の熱量は高いですか?
岸上:非常に高いです。オンラインゲームプラットフォーム「Roblox」を遊ぶ層の中でも、より濃い体験を求める子供たちがVRに移行しています。彼らはとんでもない時間をプレイに費やします。
すんくぼ:NintendoSwitchの後継機なども話題ですが、VRから離れることはないのでしょうか?
岸上:むしろ増えていますね。アメリカの投資家と話した際、「MetaQuestはNintendoSwitch2の予想価格の半額程度だ」と言われました。Switchの新機種が450ドル程度と予想される中、Quest2や3Sは200〜300ドル台で購入できます。アメリカの子供たちにとって、最も安価に手に入るゲームハードの一つがMetaQuestなんです。
すんくぼ:なるほど、価格競争力があるんですね。
岸上:加えて、アメリカでは治安の問題もあり、放課後に子供たちが外で遊ぶ文化が薄れています。親御さんも家で遊ばせたがる。その中で、友達と集まれる場所としてVR空間が選ばれているんです。『GorillaTag』のようなゲームは、放課後の公園のような役割を果たしています。大人がいない、子供たちだけの「サンクチュアリ(聖域)」になっている点が、熱狂的な支持の理由だと思います。
MyDearest×Mogura経営統合を語る【Podcastもぐラジオ要約版】 より
対談では、Meta Questは北米市場で安く購入でき、かつ治安の問題で外で子どもを遊ばせる難しさを解消できるという面で重宝されるデバイスであることが明かされました。かつ、GorillaTagやチェインドエスケープと同じくVR空間が子どもたちにとって特別な場所として機能しているようです。
ただし、単純に公園のような空間を提供すれば必ずしもヒットするというわけでもないのが難しいところです。GorillaTagは腕で地面を押し出して進み、BEAST ARMSではぴょんぴょんと跳ねながら撃ち合うなど、子どもたちが夢中で楽しめるような身体的に心地よい動きが重要に思えました。
「BEAST ARMS」のヒットの兆しには北米市場の事情が大きく絡んでおり、本作の高評価はVRゲームの最前線が北米にあることを知れるという点で興味深いものとなっていました。ゲームの環境上、日本の大人が子どもたちと同じ視点で楽しむことは難しそうですが、ゲーム自体はよくできており、日本でもディスコードサーバーなどのゲームコミュニティを活用できれば楽しむことはできそうです。
Meta社がVRデバイスを取り扱うようになってから数年が立ち、同社の戦略も変化する中、VR市場も次世代のプレイヤーたちへとバトンタッチをし始めています。ここから新たなVRコンテンツが花開いていくのか注目していきたいところです。
BEAST ARMSの配信先はこちら(Meta Quest)。
https://www.meta.com/ja-jp/experiences/beast-arms/26809008098700102/








