Meta Questストアで配信中のVR動物アドベンチャーゲーム「Animal Company」が、海外で大きな注目を集めています。本作はマルチプレイヤー専用で、特に遊んでいると言われているのが、いわゆる英語圏の若年層のユーザー。ある程度の年齢層のプレイヤーが多い国内VR界隈と比較すると、一風変わったコミュニティが形成されています。その人気ぶりは絶大で、今年4月のアクティブユーザー数は100万人を突破。ストアの週間ランキングでも上位に位置しており、これまで人気トップだった「Gorilla Tag」を上回る勢いとなっています。
そんな「Animal Company」で、若年層がどんな風に遊んでいるのか。ゲーム内に“潜って”確かめてみました。
初対面同士でもボイスチャット機能で積極的に交流
「Animal Company」は、上半身だけの動物となりフィールドを自由に冒険したり、他プレイヤーと戦ったりできるゲーム。スティック操作などは存在せず、すべての動作を両手だけで行います。移動する場合も、両手で地面を前のめりに引っかいて動く必要があります。「Gorilla Tag」に近いシステムですが、「Animal Company」には銃やハンマーといった武器類が実装されているのが特徴。FPSに近いゲーム性を楽しめます。
本作は、ゲームを起動するといきなりゲームフィールドに降り立つシステム。チュートリアルは無く「手探りで学ぶ」ことが要求されます。筆者がワールドに入ってみると、早速10代と思しきユーザーたちが盛り上がっていました。
「Animal Company」のフィールドは、一種のオープンワールドに近いデザインになっているのですが、最近のアップデートで、デフォルト状態ではゾンビが大量発生中。筆者がパニックになっていると、他のゴリラたちが、なんと助けてくれたのです。
厳密には、他プレイヤーが撃ったロケットランチャーでゾンビが吹っ飛んだのですが、このおかげで開始後に即ダウンしてしまうという最悪の出だしは避けることができました。

(なんとかロケランを拾ったものの、撃てずにパニックになる筆者)
驚いたのが、すべてのプレイヤーが、ほぼ初対面という状況にも関わらず、ボイスチャットでのコミュニケーションが活発に行われている点。明らかに変声期前の幼げなボイスなのですが「(ゾンビが来たから)逃げろ!」や「〇〇した方がいい」といった、しっかりとしたアドバイスが飛び交っているのは印象的でした。筆者に直接英語で話しかけてくれるユーザーも何名か見られました。
個人的には「GTA(Grand Theft Auto)」のマルチプレイ(※プレイヤー同士の戦闘や犯罪行為が当たり前となっている)に近い雰囲気でありつつも、もう少し落ち着いた状況が形成されていると感じました。戦車やヘリコプターといった、大掛かりな飛び道具が少ないため、派手に暴れにくいという要因があるのかもしれません。
ちなみに、FF(※プレイヤー同士の対戦の無い環境)のワールドも用意されており、こちらはもっと平和的な雰囲気でした。ゾンビも発生しないので、広場では、経験者による“初心者案内”的な解説を見ることもできました。
ゲーム全体では、よりカオスな状況を楽しみたい人はデフォルトのゲームモードで遊び、のんびりとプレイしたい人はPVP無しを選ぶという棲み分けが進行している模様です。
また「Animal Company」には、チームバトルが楽しめるアリーナモードが実装されています。ルールは、敵を倒しつつマップ上で資源を集めるというもの。カオスな争いにならない、純粋な対戦だけを楽しみたい人のプレイを想定しているようで、こちらで遊んでいる人は、FPSプレイヤー寄りのようです。
(アリーナにはゲーム内に置かれているPCからアクセスできる)
具体的には、本格戦闘シミュレーションゲーム「Call of Duty(コール オブ デューティ)」シリーズを遊んでいるような雰囲気です。トークの内容も「一緒に攻めよう」や「1人になるな」といった言い回しが多く、真剣にゲームをプレイしている様子でした。
なお、いい意味での仲間同士のコミュニケーションも見られた一方で、どのモードでも暴言に近いワードを使っているプレイヤーが散見されました。正直なところ、若いプレイヤーが集まるゲームではよく見られる光景ではありますが、ゲームをきっかけにユーザー同士のトラブルに繋がる可能性があるため、「Animal Company」開発側による対策が望まれるところです。
基本無料のVRゲームが若年層向けのメタバースと化している
「Animal Company」の人気の背景には、本作が基本無料ゲームであることが、大きく影響していると思われます。また「Gorilla Tag」とは違って、銃のような武器戦闘を楽しめる点が、若年層の集まっている理由のひとつと言えます。「基本無料で、自由度が高く、他ユーザーと積極的にコミュニケーションをとれる」という点では、既存のメタバースプラットフォームサービスとも共通する魅力があると言えそうです。
ちなみに、人気メタバースプラットフォーム「VRChat」も、海外の若いユーザー層が多く見られますが、彼ら彼女らは日本アニメ系のアバターを使って遊んでいる姿をよく見かけます。もしかすると、日本のアニメやゲームコンテンツが好きなユーザーは「VRChat」をプレイし、そこに関心のない若年層は「Animal Company」を選んでいる……という棲み分けが発生しているのかもしれません。
6月現在「Animal Company」は精力的なアップデートが行われており「新しいコンテンツが出たから試そうかな……」という“ユーザーを飽きさせないループ”を、上手く形成しつつあるように見えます。勢いを維持できれば「フォートナイト」や「Roblox」のような、若年層の集まるプラットフォームとしての立場を確立する可能性も考えられます。
Meta社も、2024年の“総括”にてMeta Questの若年層ユーザーが増加していることを公表しています。「Animal Company」の躍進は、そのようなプレイヤー層のシフトを示す結果と言えそうです。
執筆:井文









