MetaはMeta Connect 2026で、EssilorLuxotticaとの協業によるAIグラス新製品「Ray-Ban Meta Audio」と「Ray-Ban Meta (Gen 3)」を発表しました。
Ray-Ban Meta (Gen 3)は日本で9月24日から7万8980円で販売開始。Ray-Ban Meta Audioはアメリカで10月13日に349ドルから出荷開始で、日本上陸は2027年を予定しています。
実は「一番使われている機能」から生まれた一台
Ray-Ban Meta Audioが誕生した理由は、拍子抜けするほどシンプルでした。Metaいわく、Ray-Ban Metaの発売以来、ユーザーが一番使い込んできた機能はカメラではなくオーディオでした。
耳をふさがないスピーカーで音楽やポッドキャストを聴き、家族や友人と通話し、Meta AIとおしゃべりする。だったら、その一番人気の使い方だけを極めた専用機を作ってしまおう。というのが約2年がかりの開発期間をかけて生まれたRay-Ban Meta Audioです。
フレームはClubmasterとBurbankの2種類、組み合わせは23通り。Clubmasterは上部リムが太いRay-Banの王道スタイル、Burbankはすっきりしたレクタングル型です。
軽くてバッテリー持ちが良い
Ray-Ban Meta Audioの重量は43g。Metaがこれまで出したAIグラスの中で、もっとも軽量で、最高にスリム。バッテリーは最大12時間、充電ケースを使えばさらに最大48時間まで使えます。
顔へのフィットにも抜かりなし。テンプルの先端は調整可能、ノーズパッドは調整しやすいうえに交換できますし、テンプルが通常より大きく外側に開くオーバーエクステンションヒンジまで備えています。フィッティングがしやすく、調整幅も広い。すなわち、多くの人にとってベストな装着ができるってことです。
そして肝心の試着です。Clubmasterを手に取り、音楽を再生した瞬間に口をついて出たのは「おお、音がいい」。普段からRay-Ban Metaを使っている身としても、十分に満足できるクオリティです。
説明によれば、音楽・ポッドキャスト・通話といった基本のオーディオ体験はRay-Ban Metaシリーズと変わらないとのこと。つまり、カメラを使わずメガネをイヤホン代わりにしていた人にとっては、使い方はそのまま、身にまとう重さだけがすっと軽くなる。そんなメリットを打ち出しています。
Gen 3はAviatorとZenaが仲間入り
カメラが必須という方にはこちら、Ray-Ban Meta (Gen 3)をご覧ください。ティアドロップなAviatorと、キャットアイフレームであるZenaが登場します。そしてWayfarerにはラージサイズも追加され、Black・Havana・季節限定色を含めた組み合わせは27通りとなります。
実際に掛けてみると、まず口から出たのは「なんか全体的に軽い気がする」でした。実際にフレームも薄い作りになっています。Ray-Ban Meta (Gen 3)最大の変更点は、まさにフォームファクターの見直し。内部部品を小型化してフレームを薄くしたとのことです。
それでいてバッテリーは最大9時間。Gen 2から1時間延長しました。このスペックアップは、ハードとソフト両面の改善によるものだそうです。テンプルの先端は同じく調整可能で、フィット感へのこだわりはRay-Ban Meta Audioと共通しています。
カメラセンサーは据え置き、でも撮影機能は進化
Ray-Ban Meta (Gen 3)のカメラは12MPで、3K Ultra HD動画に対応。この仕様自体はGen 2から変わっていません。実際、説明会でも「センサーやレンズは変わったのか」という質問が飛びましたが、担当者の答えは「カメラセンサーはGen 2と同じ」。大きく手を入れたのはあくまでフレーム側、という位置づけです。
その代わり撮影機能には「ダイナミックフォト」機能が追加されました。1回のシャッターで複数フレームを撮り、その中からベストショットを自動で選んでくれます。ランドスケープモードも新登場。撮影中は従来どおり、前面のキャプチャLEDが律儀に点灯。周囲に「撮っていますよ」と知らせてくれます。
Dolby Atmosで、映像に「その場の空気」まで録る
新たに6つのマイクを搭載(これまでは5つ)したのも改善点です。Metaいわく、バックグラウンドノイズを90%以上カット。風の強い屋外や人混みでの通話、音声コマンドでも威力を発揮しそう。さらにGen 2にはなかったカスタマイズ可能なアクションボタンも追加され、撮影用のキャプチャーボタンとは別に、Meta AI呼び出しなど好きな動作を割り当てられます。
さらに、2026年後半にDolby Atmosの空間音声収録に対応予定とのこと。映像と一緒に、その場の音の広がりをサラウンドで記録する機能で、Metaは「studio-grade spatial audio(スタジオ級の空間音声)」と胸を張っていました。撮った瞬間の空気感まで残せますよ。
カメラなしAIグラスは、もう一つの正解になるか
とはいえカメラ付きスマートグラスを取り巻く空気は、決して追い風ばかりではありません。海外ではプライバシーやセキュリティへの懸念から、使用を制限する動きも出てきています。オーストラリアでは政府施設での禁止が検討され、ノルウェー・オスロでは学校、イングランドとウェールズでは裁判所での利用制限が報じられています。
背景にあるのはメガネのまま写真・動画・音声を記録でき、しかも周囲から「撮影機器だ」と気付かれにくいことへの警戒感です。Meta自身も、ウェアラブルが本当に普及するには、着用者だけでなく周囲からの信頼が欠かせないと説明していました。利用ガイドラインでも、撮影時は周囲に一声かけること、プライバシーへの配慮が求められる場所では使用を控えることを案内しています。
もちろんメーカー側も手をこまねいているわけではありません。撮影中は前面のキャプチャLEDを点灯させる仕組みに加え、第2世代以降はLEDを塞がれるとカメラが無効化される仕組みを導入。2026年7月には、LEDが物理的に壊された場合にもカメラを無効化するアップデートを進めていると公表しています。
それでも、「カメラが存在すること」自体がハードルになる場所は残ります。だからこそ、Ray-Ban Meta Audioは面白い。音楽・通話・音声AIという“おいしいところ”はしっかり残しつつ、カメラをまるごと外してしまうという、ある意味思い切った答えです。
スマートグラスはまだまだ発展途上。カメラ、ディスプレイ、オーディオ、AI――どの組み合わせが日常の相棒として定着するのか、答えはまだ出ていません。Counterpoint Researchによれば、2025年下期の世界スマートグラス市場でMetaのシェアは82%。その最大手が、カメラ付きだけでなくカメラなしのAudioまで用意してきたことは、これからのスマートグラスの形を占ううえで見逃せない一手と言えそうです。










