日本最大級のインディーゲームイベント「BitSummit PUNCH」が、2026年5月22日〜24日、京都・みやこめっせで開催されました。筆者はビジネスデーの22日と、一般公開初日の23日。2日間にわたって会場を訪れました。
会場には大小様々なブースが所狭しと並んでおり、初参加の筆者はその空気感にまず圧倒されました。そのなかでもひときわ目を引いたのが、会場のほぼ中央で緑色の大きなロゴを輝かせる「XR横丁」です。
G-SMASH株式会社がプロデュースするXR横丁は、その名の通りXRゲーム(XR:VRやARなどの総称)の専用エリア。ヘッドセットをかぶれば、現実の景色にバーチャルな物体が重なって見えたり、まったく別の世界へ飛び込めたり。ひと口にXRといっても、その体験は実にさまざまでした。
昨年に続いての出展となった今年は、世界6カ国から15社が集結し、全14ブースが並ぶ規模へと拡大しました。
今回は、実際に体験した各ブースの中で、著者の印象に残った感想をお伝えします。
■ 全力パンチで筋肉痛「Project Punch」「Sausage Batting」
G-SMASHが国内スタジオ2社と組んだブースには、2つのタイトルが並んでいました。
UNIVRSとの「Project Punch」は、音楽に合わせて飛んでくるサンドバッグを殴り、迫りくるフェンスをかわしていくゲーム。普段は運動不足の筆者も全力で動き回りました。音楽に乗りながら夢中で腕を振り回し、ラストにはボスをアッパーで倒す。とても気持ちの良いプレイ感でしたが、翌日はしっかり筋肉痛になっていました。
その硬いサンドバッグとは対照的だったのが、CharacterBankとの「Sausage Batting」。ふにゃふにゃのソーセージでボールを打つバッティングゲームです。スイングするとソーセージの軌跡が見えるのですが、とてもボールを打てそうにないヘロヘロの動きで、これには思わず笑ってしまいました。
そんなソーセージでも慣れてくるとホームラン級の一打が打てて、これがなんとも気持ち良かったです。
開発企業公式サイト:
https://g-smash.co.jp/
https://univrs.jp/
https://character-bank.com
■ まるでパシフィック・リムの主人公「Kaiju Battle Simulator」
Two Lives Leftが手がける「Kaiju Battle Simulator」は、巨大ロボットを操って怪獣と戦うゲームです。映画「パシフィック・リム」のように、自分が腕を動かすとロボットの腕もシンクロする操縦方法なので、直感的な操作が可能です。
ヘッドセットをかぶると、見渡す限りのビル群の中をロボットのパイロットとして動き回れます。そこへ怪獣がやってくるのでとにかく倒す! こちらへ迫ってくる巨大な大きな口が視界いっぱいに広がった瞬間には、思わず声が出るほどの臨場感がありました。
一方、「巨大ロボットに乗っている」という感覚は思ったより控えめで、もう少し街並みやロボットのアクションが細かく描写されるとスケール感が増しそうなので、こうした点は今後に期待したいところです。
公式サイト:Kaiju Battle Simulator
■ 無限に撫でてしまうバーチャルペット「Forever Pets」
VIRTUAL BEINGS SASの「Forever Pets」は、バーチャルな動物とふれあえるゲームです。ヘッドセットをつけると、目の前に猫や小さな鳥が現れます。
机をトントンと叩くと、離れた場所にいた猫がとことこと寄ってきてくれました。驚かせないようにそっと撫でてあげると、もう手が止まりません。背中も、喉も、撫でるたびに気持ちよさそうにしてくれる。猫好きにはたまらない体験です。バーチャルだと分かっていても、つい優しく優しく撫でまわして、すっかり堪能させてもらいました。
公式サイト:Forever Pets
■ まるでダンスフロアの中で遊ぶパズルゲーム「Lumines Arise」
Enhance Experience Inc.の「Lumines Arise」は、コンボが決まるたびに音楽と映像がどんどん盛り上がっていくパズルゲームです。
順番待ちでプレイ映像を眺めていたときは、正直「なぜわざわざVRでパズルゲームを?」と思っていました。
しかし、ヘッドセットをつけていざプレイしてみるとすぐに納得しました。コンボが決まるにつれ、音楽が四方から体を包み込み、映像の変化がそのまま伝わってきます。さながらダンスフロアにいるような感覚は、まさにVRでしか味わえないプレイ感でした。
公式サイト:Lumines Arise
■ 自分の手で世界を作り上げる「VOXL」
VOXL studiosの「VOXL」は、空間のなかにオブジェクトを自由に作れるクリエイティブゲーム。レゴやマインクラフトのような感覚で、新たにオブジェクトを生成したり、引き伸ばしたり、それを組み上げて自分だけのオブジェクトを作り上げていく楽しさがあります。
筆者はなかなか上手く作れませんでしたが、ブースの方は流石でした。器用に「BitSummit」の文字を組み上げて見せてくれました。慣れれば自分の手で世界を作り上げられる、創造力が試されるゲームです。
公式サイト:VOXL
■ サバンナで動物のお医者さんに——「WILDLIFE DOCTOR」
A440の「WILDLIFE DOCTOR」は、サバンナで野生動物を治療する、獣医さん体験ゲームです。まずは治療するために麻酔薬を撃って眠らせ、消毒・傷の縫合と、ひとつひとつ実際の手順に沿って手当てをする本格的な内容になっていました。
スタッフの方によると、キリンのような大きな動物も、実際のスケール感で治療するのだとか。あの長い首を相手にするのは大変そうですが、想像するだけでもダイナミックな体験になりそうです。
また、治療を行うゲームということで、あえてリアルにしすぎないようにしたという配慮もあり、プレイヤーの幅を広げている点に好感がもてました。
公式サイト:WILDLIFE DOCTOR
■ 何もない空間がハラハラのステージに変わる「Laser Dance」
Thomas Van Bouwelによる「Laser Dance」は、今回一番気に入った作品です。何もない空間が、ヘッドセットをつけた瞬間、スパイ映画さながらのレーザートラップのステージに早変わりします。
デバイスが空間を認識し、適切なコースを作成するということで、遊ぶ場所によって色々なステージが遊べるようになっています。
ルールはシンプルで、レーザーに当たらないようにゴールのボタンを押すだけ。ところが難易度が上がるにつれ、しゃがんだり飛んだり、全身でタイミングを見極めながら動くことになります。じっと我慢しながらレーザーが途切れた一瞬の隙をついてボタンを押せたときの達成感は格別なものがありました。
公式サイト:Laser Dance
■ リアルな操作感の銃型デバイス「ProtubeVR」
ProtubeVRのブースに展示されていたのは、3Dプリンタで作られたリアルな銃型コントローラー。リロードやコッキング、ブローバックまで、実際の銃と同じ動作で操作できます。発射のたびに手へ伝わる反動には、確かな手応えがありました。ゲームへの没入感をぐっと高めてくれる、格好いい一品です。
公式サイト: ProtubeVR
■ バーチャルな海で魚釣り!「Real VR Fishing × DAVE THE DIVER」
Real VR FishingとDevs United Gamesのコラボ作品「Real VR Fishing × DAVE THE DIVER」は、美しい自然のなかで釣りをするゲームです。エサを投げ、魚の様子をうかがいながら糸を引く——簡単に釣れるかと思いきや意外と難易度が高く、何度も挑戦してようやく一匹を釣り上げたときの達成感はひとしおでした。
筆者はプレイ出来ませんでしたが、釣った魚で寿司を作るところまで遊べる要素満載の作品です。
公式サイト:Real VR Fishing
■ 次世代クリエイターの熱量「BitSummit Game Jam XR部門」
XR横丁に隣接するブースでは、今年新設された「BitSummit Game Jam XR部門」の展示も行われていました。学生や若手クリエイターがチームを組んで作り上げたゲームを、実際にプレイできる形で展示。プロの作品が並ぶなかで体験する彼らの挑戦には、確かな熱量がこもっていました。
いくつかご紹介します。
「TORIMA HEADBANG」
やることは単純明快。ヘッドセットを被りヘヴィメタルのようにヘドバンをすることでトリを爆速で進めるゲームです。振った勢いの風圧で進む、つまり後頭部が先頭になるので、振っている合間に見える景色がどんどん遠くへ流れていきます。ネタゲー的な要素は強いですが、ヘッドセットそのものをある意味コントローラーとして使用する発想には驚かされました。
公式サイト:TORIMA HEADBANG
「Make with Puppet」
人形遣いとなってハンドトラッキングで操り人形を操るゲームです。人形劇のストーリーに沿って指示されたポーズをとるのですが、これが中々難しく、普段しない指の形を苦労しながら挑戦していました。ハンドトラッキングの機能を目一杯使った意欲的な作品でした。
公式サイト:Make with Puppet
■ XRの「今」が詰まった場所
怪獣バトルに釣り、バーチャルペット、音楽パズル、脱出ゲーム。ジャンルも遊び方も、本当にさまざまな作品がXR横丁には揃っていました。
改めて振り返ると共通点もいくつか見えてきました。
まず印象的だったのは、身体を大きく動かすアクション性を持った作品が目立っていたこと。Project PunchやLaser Danceのように、全身を使って遊ぶタイトルが多く、自由に歩き回れる広さを活かしたゲームも目を引きました。座って遊ぶゲームから、立ち上がって走り回るゲームへ。XR体験の重心が少しずつ変わってきている印象がありました。
次に、「没入のさせ方」のアプローチが作品ごとに違っていたこと。Lumines Ariseのように音と映像で包み込んで体験を深めるタイプもあれば、Laser DanceのようにMRで目の前の現実そのものをゲームのステージに変えてしまうタイプもある。同じXRでも向かう方向はこんなにも幅広いのか、と驚かされました。
そして、Sausage Battingのような一癖あるタイトルが、しっかり記憶に残ったことも面白い発見でした。「ふにゃふにゃのソーセージで打つ」という笑えるタイトルですが、印象的な一本になりました。こういう尖った発想に出会えるのも、インディーイベントならではの魅力だと感じます。
最後に学生たちで行われたBitSummit Game Jam XR部門では学生ならではの自由な発想で様々な作品が作られており、これからのXR全体の広がりへの期待が持てました。
XRに特化したエリアとして、確かな存在感を放っていた今年のXR横丁。今のXR体験の幅広さをまるごと味わえる場所になっていたと思います。来年のXR横丁も、今から楽しみです!













