海外の独立研究チームが、超音波を使って嗅覚を人工的に刺激するデバイスを開発しました。化学物質のカートリッジを使用しない点が大きな特徴です。
これまでVRにおける嗅覚再現は、液体カートリッジから香りを揮発させる方式が主流でした。2016年前後にはFeerrealやVaqsoといったスタートアップが参入しましたが、消耗品の継続購入が必要なこと、再現できるにおいの種類が限られること、規制上の問題などから、普及には至りませんでした。
今回の研究を手がけたのは、レフ・チジョフ氏、アルバート・ヤン=ファン氏、トーマス・リベイロ氏、アーユッシュ・グプタ氏の4名です。鼻ではなく脳の「嗅球」に対して、頭蓋骨越しに集束超音波を照射するアプローチを採用しています。研究チームによれば、この手法は動物実験を含めても前例がないとのことです。
デバイスは額に装着し、ゼリー状のパッドを介して超音波を下方向に照射します。300kHzの低周波数で頭蓋骨を透過させ、額から約39mmの深さにある嗅球に焦点を当てる仕組みです。
実験では、新鮮な空気、ゴミのにおい、オゾン臭、焚き火のにおいの再現に成功しました。研究チームは「においが鼻に局所的に感じられ、まるで発生源を探せそうなほどだった」と述べています。現在のデバイスは両手で支える必要があるものの、小型化は十分に見込めるとしています。
研究チームはVRへの応用にとどまらず、非侵襲的に脳へ信号を送るBCI(脳コンピューターインターフェース)への展開も示唆しています。
参考
https://www.uploadvr.com/researchers-induce-smells-with-ultrasound/
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