Home » 【VTuberのクリエイティブ戦略】VTuberは「さんぽ(Vlog)」をどう撮る?リアル×バーチャルならではの外ロケの魅せ方


VTuber 2026.03.26

【VTuberのクリエイティブ戦略】VTuberは「さんぽ(Vlog)」をどう撮る?リアル×バーチャルならではの外ロケの魅せ方

YouTubeにおいて定番となっているのが「散歩系Vlog」の動画コンテンツ。人通りの少ない路地を進んだら意外なお店があったり、有名な観光地のマイナーな部分が知れたりと、新しい発見が魅力のジャンルです。

こういった散歩動画は基本的に実写で投稿されているため、バーチャル空間で活動するVTuberたちとは一見すると相性が悪いと思われますが、中にはさまざまな工夫をこらした散歩動画が公開されてきました。今回はその中でも面白いものを投稿しているVTuberをピックアップして紹介します。

月ノ美兎

月ノ美兎さんはにじさんじを代表する人気VTuberながら、非常に革新的な動画を投稿し続けてきたクリエイターです。マルチに活動する印象がありますが、これまで、散歩動画もたくさん投稿しています。シンプルなVlogではなく、ひとつひとつの動画にテーマがあり、思いもよらぬアイデアや演出で毎回視聴者を驚かせています。

例えば「ひとり旅してたらカカシだらけの里に迷い込んだよ」という動画は、カカシが大量に置いてあるのに人気がほとんどない地域を巡る内容となっており、月ノ美兎さんがその様子を主観視点で撮影しながら実況。まるで、異世界に迷い込んだような空気が漂っており、切り口次第でこれほど非日常な雰囲気の漂う散歩道が作れるのかと驚かされます。

他にも、ボードゲームを活かした散歩や海外旅行などシチュエーションを凝らした内容を投稿しており、その一方でオーソドックスな散歩動画も投稿しています。こういった活動が継続していった結果、オリジナル楽曲「アルクユニバース」などにも重要なテーマとして取り入れられています。さらに、この楽曲をもとにしたオリジナルゲームでは「散歩する月ノ美兎を操作する」という内容になっており、プレイヤーに散歩を疑似体験させるという試みまで行われています。

また、熱心なファンの中には、月ノ美兎のたどった散歩道や観光スポットを聖地巡礼的に訪れる人も少なくなく、複数のファンが制作したオリジナル楽曲『みちくさイズム』MVなどでも、彼女の散歩道を辿る様子が収録されています。このように「さんぽ動画」が本人とファンの関係を繋ぐほど、大切なものとなっています。

なお、シーンの合間には、モバイルモーションキャプチャー「mocopi」で収録した動きを3Dモデルに反映させており、まるで月ノ美兎さんと一緒に居るような体験ができるのが魅力です。

不夜ロクヤ

個人VTuberの不夜ロクヤさんは、月ノ美兎さんの散歩動画をリスペクトした「自認月ノ美兎さんぽ」で話題となりました。タイトル通り月ノ美兎さんになりきって散歩コースを決める動画ですが、AIのChatGPTで目的地を出してもらう、町中で見つけた変なものにツッコミを入れるなど、端々にも月ノ美兎イズムを感じさせられる内容となっていました。声のトーンやシーンのカット割りなども、本家を思わせる構成となっています。

話題になった動画以前から散歩動画はよく投稿しており、街歩き好きが伺えます。「あえて観光地に行かない」「あえて地図を見ない」など、意図的に行き当たりばったりに挑戦するケースもあり、その道中で見つけた面白い話題を拾い上げるアドリブ力が垣間見えました。無軌道だからこそ、散歩中に何かを発見する楽しさが伝わる内容となっており、Vlogらしい魅力が詰まっています。

基本的にLive2Dモデルを映した画面となっていますが、散歩用に別途自撮り風のアニメーションやイラストを用意するなど、細部にも本人の実在感を高める演出が用意されていました。

敷島てとら

バーチャルシンガーの敷島てとらさんは散歩系Vlogを積極的に投稿しており、投稿頻度も高めです。主な周遊コースは東京周辺で、本人のお酒好きとも相まって、飲食を目的とした動画が多いのも特徴。行き先のチョイスが落ち着いた大人な散歩コースであるのが魅力です。向かう地域や食事に対する知識も豊富で、聞いてためになる知識も学べます。

全体としてダウナーな雰囲気ながら、それでいてジョークを挟むユーモアもあり、聞き心地の良さが大きな売りとなっています。口調や編集こそポップながらも、その街の持つレトロ感や物寂しさも丁寧に描写する作風となっており、特にサムネイルは退廃的な美学を感じられるものが多数あります。そういった表現と、彼女の人柄とのギャップが好きなファンも少なくないしょう。

基本的にVTuberの3Dモデルを映しながらの動画となっており、全体的に分かりやすく見やすい内容となっているため、これから散歩系Vlogを聞き始めたい人にもピッタリです。

ぽんぽこ、ピーナッツくん

甲賀流忍者ぽんぽこさんとピーナッツくんは、いち早くmocopiでの外ロケを実施したVTuberであり、街巡りや旅行系の動画も数多く公開しています。中でも唐突に企画を決行し、それぞれ分かれて1日を過ごして結果を報告する動画は定番となっています。「東京で24時間0円で過ごす」のような体当たり企画はもちろん、百均ショップや町中華、サウナなど、それぞれの趣味全開の動画も楽しめるのがコンビVTuberならではの魅力です。

日本全国や海外ロケも多く、目を見張るほどのバイタリティーで視聴者が楽しめる動画を作り続けてきました。また、どの動画を取ってみても実在性へのこだわりが感じられ、例えば食事シーンではちゃんと3Dアバターが食事を取っているような表現がされています。そういった場面ではカメラの距離も近く、Vlogとしての自然さに気を使っているように思えました。

動画の演出バリエーションも多く、mocopiを使った3Dモデル以外にも、本人たちのパペット、ピーナッツくんのイラストなど、常に遊び心満載の内容となっており、VTuberを知らなくても老若男女誰でも楽しめます。

アズマリム

アズマリムさんは、月ノ美兎さんやぽこピーのように長年活動してきたVTuberですが、近年はバイクに乗って各地を巡るツーリング動画で注目を集めています。スーパーカブに一目惚れした結果、免許を取ることを決意。初の公道での運転を経て、海へとツーリングする過程は、初めて何かに挑戦するときのドキドキ感を思い出させてくれました。バイク以外にも、街巡りやキャンプ、釣りなども動画化しています。

自動車税や大学の学費を払いに行くためバイクを運転する、バイクの壊れた部品を取り寄せるなど、アズマリムさんの日常をリアルに描写するシーンも多く、現在進行系の彼女の物語を追う側面もあります。また、ほんわかした喋りながらも、その中に自身の独特の考えや着眼点が垣間見えました。

なお、アズマリムさんのVlogでは3Dモデルでの出演を徹底しており、バイクもアズマリムさんの姿のままで運転しているなど、まるでVTuberが現実にいるように演出されているのが大きなポイント。車載カメラで映し出される景色など、他のVlogとは一線を画した魅力が光ります。

改リ

クリエイターの改リさんはVTuberではありませんが、VTuberカルチャーにも繋がるような革新的な手法の動画を投稿していたので、ここに掲載します。投稿していたのは深夜のお散歩動画ですが、実写の風景に女の子が散歩するアニメーションを重ねることで、架空の散歩Vlogを実現しています。

実在しないキャラクターながら、シーンの明るさに合わせて光の当て方を変える、地面に落ちていたチョコの袋を拾うなど、アニメと実写の境界をあいまいにする手法により、本当にこの子が散歩しているのではないかと思わせるほど高い写実性で表現しています。散歩中に取り上げる話題のチョイスも絶妙で、どことなくぎことなくて唐突なアマチュアの視点を再現していることで、よりVlogらしい内容となっています。

VTuberはどのようにして外の世界に向かうのか?

散歩系Vlogと聞くとゆるくて誰にでも参加しやすい動画と思われがちですが、VTuberの場合、バーチャルの存在を如何にして現実に落とし込むかの実験という側面もあり、これまでの例を見ても、非常に高度な演出が多数見受けられました。

こういった動画が増えた背景には、いままで技術的に表現しづらかったリアルとバーチャルの融合のハードルが年々下がっていることが挙げられます。特にmocopiの発売以降は、個人VTuberでも3Dアバターでの外ロケがしやすくなりました。直近では、リアルの姿の映像を3Dアバターに置き換える「Flow Studio」のようなソフトも登場しており、ARの発展がVTuberの動画に大きな影響を与えていることが伺えます。

興味深いことに、近年はSNSを中心にVTuberのファン側のお出かけブームもよく観測されるようになりました。これらはVTuberのぬいぐるみと一緒に撮影する「ぬい撮り」が流行した結果、ファンのお出かけがSNS等で視覚化されたからだと思われます。VTuberのリアルイベントも全国展開されてるようになり、VTuberもファンも外の世界へ向かう傾向が強まったのは注目すべき変化です。

YouTubeの画面の中から生まれたVTuberが、より外の世界へと向かっていることが分かる散歩Vlogというジャンル。技術の進歩や新たな表現によって、より充実していくことに期待しましょう。


VR/AR/VTuber専門メディア「Mogura」が今注目するキーワード

CONSULTING / DEVELOPMENT

コンサルティング・開発サービス

Moguraの知見を、あなたのプロジェクトに

mogura_next

Moguraの知見を、あなたのビジネスに
編集長の久保田を筆頭に、XR/メタバースなどバーチャル領域を知り尽くす専門チームが、リサーチからコンサルティング、企画、開発までを一貫支援。
Mogura VRで培った豊富な情報力と業界ネットワークを強みに、企業・行政機関の成果につながる最適な解決策をご提案します。