1月下旬、女性の海外VTuber、Sarueiさんが、X(旧Twitter)などのSNSで大きな話題を呼びました。特に注目されたのが、そのフルトラッキングのクオリティの高さ。3Dキャラクターが本当に“生きている”ような動作が、多くの人に衝撃を与えました。
Sarueiさんは、これまで海外で人気を博していたVTuberですが、日本ではあまり知られていませんでした。ただ、今回SNSで注目を集めたことをきっかけに、国内での知名度も急速に伸ばしつつあります。そんなSarueiさんとは一体何者なのか。全身トラッキングに至るまでの来歴などを解説します。
Sarueiさんはフランス人のイラストレーターで、2016年にX(旧Twitter)アカウントを開設。創作活動を続けつつ、2021年よりVTuberとしての活動を開始しました。VTuberとしてのSarueiさんはタイムスリップしてきた遺伝子操作された人造人間です。主な活動は、動画プラットフォームTwitch上で実施しており、基本的には英語を使った配信を行っています。配信の内容は、ゲーム実況や雑談など。またYouTubeでは、踊ってみた動画や設定を説明する映像も公開されています。
Sarueiさんは当初、Live2Dを活用したVTuber活動を行っていましたが、今年の1月10日より新しい3Dモデル(3.0)の使用を開始。そのお披露目配信で公開された、非常に“追従度”の高いフルトラッキングを使用した配信の様子が国内外で大きな注目を集めた形です。
そもそもSarueiさんは、以前の3Dモデル(2.0)では上半身だけのトラッキングで配信していましたが、その段階で“よく動く”という評判が海外でありました。全身トラッキングの使用を本格的に検討し始めたのは2025年前半ごろで、自分の配信スタイル(座ってゲームなどをする)や、トラッカーやボディースーツといった機材の価格が“割に合うか”も含めて検討していることを配信で語っていました。
【 STREAM DEPLOYMENT IN 3 HOURS 】
1800 CET//1200 ET ➤ https://t.co/d2IfwW6IxKAll operatives, report to my office. We’ll keep morale and focus high 🫡 pic.twitter.com/CH1VzCU7tp
— Saruei 💥 (@saruei) January 15, 2026
記事執筆時点では、Sarueiさんは新3Dモデルで使用しているトラッキング機材の詳細を発表していませんが、アプリについては、Hakuya Labsの開発者であるTigerHixさんが、自身が開発に携わった「Warudo」が使用されていることをXにて説明しています。
「Warudo」は、Webカメラやトラッカー、モーションスーツといったトラッキング機器に対応したVTuber向けの配信ツール。YouTubeやTwtichといった配信プラットフォームに対応しており、用意した3D環境やアセットを導入することで、自分だけの配信環境を作ることができます。ただ、「Warudo」はあくまでソフトウェアであり、単体ではここまで精度の高い全身トラッキングでの配信は困難です。
現時点ではSarueiさんからの発表はありませんが、恐らく業務用のトラッキングスーツやキャプチャー用のカメラなどを用意して、「Warudo」と組み合わせることで、今回のような表現を実現したと推測できます。
なお、椅子を含めたトラッキングについては、バーチャルストリーマーのCodeMikoさんがやり方の一例を紹介しています。CodeMikoさんによると、まずスマートフォンを使って椅子を3Dスキャンし、そこにトラッカーを取り付けることで、3D空間に持ち込むことができるとのこと。Sarueiさんも、近い形式でトラッキングを実現したと考えられます。
How to Do Vtuber Spinny Chair Tracking 🪑 pic.twitter.com/Bx81iksvTW
— CodeMiko (@codemiko) January 12, 2026
3Dモデルをフルトラッキングで動かす方法はいくつかありますが、個人のVTuberや「VRChat」といった環境で全身トラッキングを行う場合、身体の各所にトラッキング用のデバイスを装着する方法が主流です。
現時点では、Sarueiさんのような業務用のトラッキングスーツと予想される機材を使う配信は、個人の場合、費用コストの高さや運用ノウハウの難しさといった“壁”があるのが実情です。ただ、こういった手法を使うVTuberが増えることで、クリエイターや企業が動き、将来的には、より広い範囲の利用者が安価に使用できる、高精度なトラッキングシステムが登場するかもしれません。


