いつか実現したい夢のひとつといえば、アニメのように巨大ロボットを操縦すること。操縦席に乗り込み、出撃シークエンスを経て戦場に駆り出す体験はロマンでもあります。
VRゲームの領域でも、その夢を実現するべく様々な挑戦が行われてきました。「ALTDEUS: Beyond Chronos」や「機動戦士ガンダム: 銀灰の幻影」、「Mecha Force」や「BIG SHOTS」など、これまで巨大ロボットを題材にしたVR作品が続々と登場しましたが、これまでの国産作品に関してはストーリー上の操縦演出に特化している場合が多く、VR上で派手なメカアクションを楽しめる作品は少ない印象です。
そんな中、満を持して発表されたのが、Gugenkaとインフィニットループの2社が共同開発したVRロボットアクションゲーム「QuantanoID(クオンタノイド)」です。2024年に実施されたVRゲーム開発のためのクラウドファンディングでは、達成率310%を突破するなど、事前の期待度がとても高かったタイトルです。また、主題歌をヰ世界情緒さん、エンディングテーマをVALISが担当するなど、KAMITSUBAKI STUDIOのバーチャルシンガーが作品坂していることも注目を集めていました。
実際にプレイしてみると、自分の手で巨大ロボットを動かせるという魅力がある反面、VRロボットアクションとしての課題も感じました。今回はそんな本作をレビューします。
コックピットにて操縦する巨大ロボットのロマン
「QuantanoID」は、自我を持ったヒューマノイド「ルナー」である主人公が、10m強のロボット「クオンタノイド」に搭乗し、コックピット目線で戦うVRロボットアクションゲームです。ルナーを作った企業「ARQ(アーク)」のCEOが、ほぼ人間に近い彼らを危険視して廃棄を命じ、それに異を唱える博士がルナーとともに反旗を翻すストーリーとなっています。

(公式プレスリリースより)
本作において最大の注目ポイントとなるのが、やはり巨大人型ロボットを自ら操作できること。ロボットの操作と言っても難解なボタン操作があるわけではなく、スティックの移動と右手の武器による攻撃が基本となるシンプルなスタイルです。しかし、ダッシュや武器の切り替えなど、ロボットらしい臨機応変なアクションも可能となっています。
従来、VRゲームでロボットを操作する課題として「主観視点で操縦席に乗り込むと、肝心のロボットの姿が見えない」「操縦席の操作が本格的すぎると、プレイヤーが操作できない」「操縦席で握るレバーとロボットの手足のトラッキングを感じにくい」などがありました。
本作の場合、コックピットから主人公の体が視界に入りつつも、プレイヤーの動きが一致したクオンタノイドの腕も表示されているため、ロボットを操作している感覚を維持しつつ、操作も直感的なのが強みとなっています。また、操縦席の手前に、動きに連動したクオンタノイドのミニチュアがあり、ロボットを操作している実感を湧かせています。
発進シークエンスに相当な力が入っているのも、本作の売りのひとつ。コックピットが閉じる場面から始まり、機体の上昇、無線会話、そして個性的な演出の発進UIなど、本当に自分自身がロボットに乗っている気持ちにさせてくれました。発進画面も一見複雑ながら、感覚的に理解できる情報のみを表示させる配慮がなされていました。
なお、本作はコックピットに乗っている関係上、座ってのプレイが前提となっています。
アクションは難しめ?ひりつくロボット同士によるバトル
本作はステージミッション形式で、道中のザコ敵を掻い潜り、制限時間内に目標を撃破する必要がありますが、制限時間は短めで、手早くステージを進めなくてはいけません。
本作のアクションを難しくしている要因に、手動で照準を合わせる動作があります。早い動きをするクオンタノイドを操り、オートロックや追尾のない銃火器で狙いを定めるのは、慣れるまでなかなか手こずります。当然敵もこちらを狙ってくるので、回避をしなくてはいけませんが、そうするとさらに狙いを定めづらくなります。
そんな時重要なのが左手のシールドです。盾を構えている間はダメージを変わりに受けてくれるので、ガードしながら敵を撃ち落とすことができます。盾の耐久値は時間経過で回復しますが、耐久値が0になるとしばらく回復しないので、ちゃんとゲージを管理していくことが必須となります。
ボスとなる敵クオンタノイドの戦いでは、ロボットバトルのスピード感を存分に体験できます。スピードが早いとまともに戦えないのではないかと思われがちですが、スライド式の移動によって正面の敵を目で捉えやすいため、慣れれば意外にも戦いやすい操作感となっています。
敵も同じ速度で動くため狙いを定めること自体は難しいですが、だからこそロボット同士によるバトルのひりつきが感じられました。こういったシチュエーションは、VRゲームに求めていた求めていたもののひとつでもあります。ただし武装が変わるもののボス機体は1種類のみだったので、そこは残念だった点でした。
ゲーム体験が損なわれやすい本作の弱点
ロボットの操作面に対して非常に高いポテンシャルを持つ本作ですが、コンテンツ面においてはボリューム不足や噛み合ってない部分が見受けられました。
本作で気になったのは、ステージ構成です。全体的にダクトのようなエリアが多いのですが、特に序盤は狭い空間内で戦うことが多く、せっかくのスピードあるロボットアクションがあまり活かされていません。ゲームクリア後のEXステージでは広い部屋に配置された複数の敵と戦えましたが、それと比べると本編は窮屈でもったいなく感じます。ミッション数自体もあまり多くなく、操作技術の向上の前に本編が終わってしまう印象でした。
また、クオンタノイドの旋回性能の低さも気になります。スピード感のある戦いが求められる本作において、VR酔い対策は非常に重要な要素で、正面を向きながらのスライド移動が酔いを軽減しています。一方で犠牲となっているのがクオンタノイドの旋回で、ゆったりとした方向転換により操作性を落としています。ボス戦においては敵の回り込みよりもカメラの回転が遅く、場面によっては非常に苦戦を強いられました。酔いが懸念される要素ではありますが、ある程度オプションに選択肢があってもよかったと思います。
ストーリーに関しては、自我に目覚めたヒューマノイドの少年少女たちと博士が企業と戦う内容ですが、キャラクターの背景が見えにくく、オープニングの長い博士の独白や置いてきぼりの会話など、いまいち感情移入できない部分がありました。また、スピード感のあるロボット操作を阻害している要素として、ステージ進行中に会話が挟まってゲームが止まる場面があり、テンポが悪く感じます。
その他、チェックポイントがなくリトライしにくい点、初期のBGMや効果音のボリュームバランスが合ってない(例えば、オープニングBGMが爆音、攻撃をヒットさせた音が小さすぎる)ことや、クオンタノイドの操作には問題ないものの、実際のコントローラーとキャラクターの手や操縦桿の位置のズレがあるなど、細かい部分が最適化できていないように感じられました。
まとめ:VRロボットアクションはこれから花開くか?
去年ガンダムのVR映像作品「機動戦士ガンダム: 銀灰の幻影」が配信され、注目されつつあるVRロボットコンテンツですが、「QuantanoID」はまさにロボットアニメのような体験が出来るようになっています。コックピット視点からの操作感覚は洗練されており、出撃シークエンスやUIまわりはツボをしっかりと抑えていました。特に巨大ロボット同士による高速バトルは、待ちに待っていた方も多いのではないでしょうか?
一方で、ステージ構成や物語演出がロボットアクションの面白い部分を阻害しているようにも感じ、ゲームとして小規模に収まっていて非常にもったいなく思いました。アクション面においては可能性を秘めているので、例えば広大な月面で戦うシチュエーションや、超大型兵器との戦い、複数のクオンタノイドと戦える場面などがあればもっと熱い内容だったかもしれません。
しかし、これまで多くのスタジオが尻込みしてきたVRロボットアクションに足を踏み出した挑戦は大きく、無料・有料での追加コンテンツや続編に期待せざるを得ません。「QuantanoID」だけでなく、さまざまなVRロボットアクションが発表されてくれることを願っています。
「QuantanoID」の配信先はこちら。
https://www.meta.com/ja-jp/experiences/quantanoid/24051722281108131/










