【体験レポ】ボドゲデザイナーの提案するVRとボードゲームという新しい組み合わせ『Tower of Maze』

10月25日(土)、日本科学未来館にてOcuFesが行われました。OcuFesは、日本中の企業から個人、大学生までの様々なVR開発者達が集まって開発したコンテンツを展示するイベントです。Oculus Riftなどを使ってVRのコンテンツが体験できる展示を日本各地で行っています。その展示の中で最も印象的だった展示「Tower of Maze」について、紹介したいと思います。

『Tower of Maze』のPV

https://www.youtube.com/watch?v=pnbmAQwOTOI

筆者も今回、実際に体験してみました。プレイ時間は1回30分と長めです。1人が60秒間スマホ装着型のVRヘッドマウントディスプレイを被ります。その後、隣の人に渡すというルールでゲームを進めます。VRHMDを被っている人は、その中で見える場面について説明します。それを他のプレイヤーが聞き、耳から聞いた情報でうまく迷路を再現できるかどうか。伝達力が試されるゲームです。
HMDを被っていない人がそれを聞き、迷路をうまく組み立てられるかが勝負です。

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VRで体験している人の説明を聞き、たくさんあるパーツをみんなで組み合わせています。

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パーツも壷や扉、窓の位置に加えて「おもち」や「花」のようなオブジェクトなど様々なパーツがあります。1人がVRを体験する毎に1つの迷路が完成し、最終的に迷路同士を組み合わせていきます。

下の写真は、アルパカの人形を動かしてゴール判定をしている様子。音声に従って人形を動かし、壁に当たらずにうまくゴールできれば成功です。最後までたどり着いた時には、実際にプレイをせずに周りで見ていた観衆も声をあげて盛り上がりました。

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なお、一巡するので必ずVR役が回ってきます。複数人で行う協力型のゲームではしばしば活躍する人とそうではない人が分かれてしまいますが、それぞれが主体的になれる楽しいゲームです。筆者が体験したときも一緒にプレイしたのは、初めて会った人同士でしたが、最終的にハイタッチを決めるなどプレイヤー全員で「達成感」を味わうことができました。

VRとボードゲームという新しい組み合わせの提案

今回のOcufesでは展示に加え、様々な方面からのVRの知見を共有する「開発者会議」が3時間に渡り行われ、30名近くが登壇しました。

その中で、 この『Tower of Maze』の開発者、ボードゲームデザイナーの濱田隆史氏からVRとボードゲームという新しい組み合わせを提案する講演がありました。

そこでは、ボドゲVRに至った経緯やゲームシステムについて解説がありました。

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まず、濱田氏は、VRは一人が見ているものを回りの人が見ることができないという点に関して、「非対称性ゲームと似ている」とコメントしました。非対称性ゲームとは、プレイヤー毎に持っている情報量の差ができるゲームシステムのこと。Wii U Game Padが出た頃に話題となりました。非対称性ゲームの企画を考えていたところ、そのアイデアをVRに応用することができ、VRの特徴でもあり、そして弱点でもある部分を補うことができたとのことです。

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VRHMD内で見える場面。

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VR内で1人が見える風景では、歩くことはできずに止まったままです。また、迷路が複雑に交差しているため、1人が見る事のできる範囲が限られています。「同じ空間を全員が簡単に把握できてしまうと面白くなくなってしまうため、1人が見える範囲を区切るというゲーム方式を意識している」と濱田氏は語りました。

スマホ用ヘッドマウントディスプレイを取り入れたボードゲームデザイン。『Tower of Maze』は今後、このゲームデザインを元に世界観などを作りこんでいくとのこと。ボードゲームに同封されたHMDを使えるという手軽さも魅力です。来年3月に発売予定とのことですが、こういったVRへのアプローチが今後どんどんと広がっていくのではないでしょうか。

・開発元:ギフトテンインダストリ株式会社
http://gift10.net/

この記事を書いた人

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    先端技術好きなデザイナー。VRでは、MVコンセプトアート制作や360度カメラを使用した企画に関わる。多摩美術大中退、CI開発から書籍装丁等の様々なデザイン業務に従事。 THETA LOVERだゾ。

    Twitter:@sayamecci

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    http://www.moguravr.com/writers/