没入型ストーリーテリング業界のベテラン2人がタッグを組んだスタートアップArtieが設立されました。ARでユーザーとインタラクションをとることのできる「インテリジェントアバター」を制作するツールの開発を行っています。
同社は、VR制作スタジオFelix & Paulの元コンテンツ部門最高責任者であるRyan Horrigan氏と、360度動画配信サービスMilk VR及びVR制作スタジオVRSE.worksのプロデューサー、Armando Kirwin氏によって共同設立されました。
ARアバターが作れるプラットフォーム
Artieは、インテリジェントアバターをどこにでも、というミッションを掲げ、インタラクティブに動くAIのARアバターを簡単に制作することが可能となるツール「Wonderfriend Engine」の開発に取り組んでいます。
https://vimeo.com/304718057
テスト動画の中では、「Moke」という名の小さなアバターが、撮影者の指示に従ってマカレナやYMCAダンス、ムーンウォークを踊ります。また、別の動画には小さなアシスタント「Winnie」が、ユーザーの周りに置かれている物体を検知して、何が見えているのかを教えてくれます。「Winnie」は、機械学習技術を使って、仕事机の上に置かれているジュースの缶や隣に座る同僚など、現実世界でリアルタイムに存在するものを認識します。
https://vimeo.com/304718877
Artieのディープラーニングインサイトや分析プラットフォームにより、クリエイターはリアルタイムで、ユーザーとアバターのエンゲージメントをモニタリングすることができます。また、プラットフォームはユーザーの行動を記憶し、継続的に自動学習が行われ、アバターのパフォーマンスが向上していきます。
「Wonderfriend」では、現在までに、顔認識システムによって7種類の基本的な感情表現を読み取れることが可能で、向こう数か月の間で、30種類に拡大する予定とのことです。また、小さなアシスタント「Winnie」は今までのところ80種類の物体を認識することができ、今後も増加していくことが予想されます。
Artie共同創設者のHorrigan氏は開発に至った経緯について次のようにコメントしています。
VRやARは、読み手が物語の一部となれる初めてのメディアといえるでしょう。しかし、未だに物語の登場人物達と話すことはできませんし、人間と同じような反応も得ることはできません。私たちはこのことをとても大きな問題として捉え、自社アバターを制作し、Google PlayやApp Storeでアプリを配信して終わりということではなく、解決するべき問題として取り組んでいます。
今までは、AR体験はアプリストアで配信されることに留まっていましたが、これからは拡散方法の方向性を考える必要があります。意味を持つような発見や共有性、処女性を見つけていかなければなりません。
Artieは、AIやAR、エンターテイメント業界からも注目を集め多方面からの資金を集めています。米ベンチャーキャピタルのFounders FundやThe Venture Reality Fund、WndrCo、オランダ投資会社M Ventures、Metaverse Ventures、YouTubeの共同創設者Chad Hurley氏、ARクラウドなどを開発するUbiquity6の共同創設者でCEOのAnjney Midha氏らが名を連ねています。
同社は、ハリウッドとメディアインフルエンサーをターゲットに設定し、ブランド戦略のためにAIアバターが活用されることを想定しているとのことです。「Wonderfriend Engine」のリリースは2019年第1四半期予定です。
(参考)Road to VR、VARIETY
Mogura VRはRoad to VRのパートナーメディアです。