日々クオリティの高い作品がアップされ続けている、VTuber(バーチャルユーチューバー)やバーチャルで活動しているタレントの動画。その中から独断と偏見で「この動画は是非見て欲しい」というものをご紹介。話題のものから個性派まで、要チェック！
【梅干し】跡地ができるまでの時間を僕たちはまだ知らない
世の中のちょっと気になるけどあんまりやらないであろうことを、富士葵とキクノジョーが立証してみせる！ 先日ニューシングル「クリティカルシンキング」をリリースしたばかりの富士葵が挑んだのは、梅干しの赤い色がご飯に移るまでにどのくらい時間がかかるのか。確かにコンビニ弁当などだとほとんどの場合白飯には赤い色の跡地がついていますが、果たして何分かかるのか…？
まだだめか、これでもか、もうちょっと…！という謎の緊張感とテンションが観ていて楽しい。富士葵が真剣な声でリアクションするため、思わず手に汗握る展開になっています。かつて『トリビアの泉』という番組内で、普段まずやらないことを立証して見る『トリビアの種』というコーナーをやっていましたが、そのマインドを受け継いでいるかのよう。実際この動画は「弁当の跡地できるまで○○分なんだよ！」と明日話題に使える無駄知識になった気がします。
今までは基本富士葵ひとりでチャンネル活動をしていたのですが、今は裏方だったキクノジョーが相方として正式に加入し、二人のかけあいで動画を制作しています。よりテンポ感がアップしたふたりがしばらく一緒に続けてきたこともあるので、構成台本だけ同じで別撮りをしても相手の呼吸を見極めて撮影成功できるんじゃないか、という無茶なチャレンジもしています。二人が、仲はいいけどほどほどな距離の「ブラザー」な関係だからこそできる動画でした。
悪党 子種潰乳子殴
VTuberのアウトサイダー、熱狂的ファンの多い子種潰乳子殴。今回アップしたのは、比較的ネタとしてはマイルドめだけど尖りはすごい、政見放送ネタです。何個か叶えてみてほしい気もするので困ります。
なおこの動画、「兄ちご」こと子種潰安屯からのアンサー（？）もあり、ラップバトルテイストです。政党名の「悪党」といい、言葉選びにセンスの良さがにじみます。
カルト的人気という表現は仰々しいし、かといって新たなカルチャーというのもなんだか間違っているような、抜群の躁鬱感と唯一無二な存在感が楽しい子種潰乳子殴。個性の強い言葉と映像は一度観ると忘れられないので、ぜひ様々な動画をチェックしてみてください。
【切り抜き】〆の告知が全部ヤバすぎたコラボ配信【大野姉妹/町田笑てん/流石もみじ #VTuber切り抜き 】
あるお絵かきゲームコラボ配信のラストの切り抜き動画。４人の参加者が告知を次々としていきます。その告知内容に一同騒然。全員の告知の内容が、ヤバすぎる！ 告知シーンはよく見るスタイルですが、その内容とは…？
以前も紹介した（実在しない）切り抜きチャンネルはありそうで実際はない、切り抜き動画文化の手法を用いた、ショートストーリー映像作品です。「横一列に並んでコラボ後の告知をする」という、VTuberの間では当たり前になった光景を利用し、笑っちゃうほどドデカい告知を連発します。
ただこの動画、ギャグでおさめようとはしていません。この（実在しない）切り抜きチャンネルのシリーズは「VTuberの切り抜き」ネタを利用して、VTuberを通じた人間・存在たちを、ちょっと明るく、ちょっとエモーショナルに描いています。今回の話題もほとんどあり得ないけれども、アバター文化が浸透しはじめようという今なら「１００％ない」とは言い切れないくらい、その手前なら叶うんじゃないかと思ってしまうくらい、世の中は変わってきたことに気付かされます。そこに「ちょっといいな」と余韻を感じさせてくれます。びっくりさせるオチの手法が、ポジティブです。
限りなくアクターの人間寄りなアバター型もいれば、限りなくバーチャルな存在の動画もあります。どのスタイルでも、未来は何かあるかもしれない、というワクワクに満ちている（実在しない）切り抜きチャンネルは、コメント欄でもその世界観に入りきっている人もいるようです。
なおそれぞれ本物のVTuberではないので、声優はきちんとクレジットされていますし、使用アバターも明記されています。かわいいと思う２Dアバターがあったらnizimaから全く同じものを買うことができます。
【ネイルイベント感想レポ会】コスメ系VTuber！2回目のお仕事行ってきました～！【EDGEU】【韓国ネイル】
星ノ樹コフレのコスメチャンネルはコスメの話題を中心とした解説動画や話題紹介配信を行っているVTuber。今回はEDGEUのネイルイベントに自身が参加し、会場で無料ネイル体験の紹介を行っていた様子を、自作イラストで話しています。
マイクを通じてバーチャルに会話できる形式です。「水仕事にも対応！」など実際にそのネイルのよさを一生懸命解説していたようで、当日はお客さんも「わぁすごい、話できるの？」「何かやってるよ！」と彼女に反応して、その場で会話していた様子。７歳の女の子が目をキラキラさせて話しかけてきた、なんていうワンシーンもイラストで紹介されています。
当日の様子を記録したイラストの枚数はとても多く、現場の様子がわかりやすい上に、ほっこりさせられるかわいさであふれています。ぜひ現場でのやりとりを見に行きたい、むしろやりとりしてみたい！ バーチャル販売員の可能性としても、明るい未来を感じるものになっています。
星ノ樹コフレはコスメ関連の情報をまとめた動画や配信をたくさんアップしています。必要な情報はすっきりとまとめつつ、実演しないと伝わらない肌への乗りや色味は実写の手に塗ることで見せる、というスタイルです。星ノ樹コフレのファッションやヘアスタイル自体もおしゃれで品が良く、化粧品紹介の方向性とぴったりマッチしています。画面作りや配信・動画全体の雰囲気づくりも全体的にガーリーで目に優しい。役立つ情報源であると共に、観ていて心が落ち着く素敵なチャンネルなので、何度も観たくなります。
【投稿企画】みんなのお家の特級呪物、集めてみました…🔥【#姫咲ゆずる／のりプロ所属】
姫咲ゆずるが行ったのは視聴者募集企画「みんなのお家の特急呪物」募集。呪物、といっても色々な捉え方がありますが、いずれも間違いなく恐ろしいもの。解釈の多様性も含めて観てください。
自身の感情がこもりすぎてしまって厄介なもの、捨てるに捨てられない不安なもの、黒歴史的な恥ずかしさでいっぱいのもの、誰が置いていったのかわからないもの。そして本当にヤバいものも。色んな意味でどれもこれも、手に余るものだらけでした。中には本気で危ない話題もありましたが、姫咲ゆずるはネタと本物のバランスのとり方がうまく、いずれも同等にまっすぐ興味を持って紹介しているので、安心して観られるエンタメとして昇華しているのが見事な配信でした。
【定期#17】ほよよよよ～【#水曜日の死生観ラジオ】
九頭龍るるが定期的に行っている「死生観ラジオ」、今回はホラー、オカルト、サブカルチャーが好きな玄武みちるがゲストでした。このシリーズは真っ向から、死についてその人の感覚を掘り下げていくスタイルのラジオ番組。ゲストの心理と価値観がむき出しになる興味深い内容です。
「死んだあと周りの人にどうしてほしい？」はかなり繊細な心理の質問ですが、今回この部分は玄武みちるならではの思想が見えて興味深いです。
玄武みちるは幼い外見に対して落ち着きのある声と言動の、12n歳のVTuber。このギャップの魅力は今回もしっかり出ており、玄武みちるならではの落ち着いた死生観を聴くことができます。九頭龍るる側が明るく盛り上げるので、ふたりの死の考え方の会話は、いいバランスのエンタメとして聴きやすくなっています。
このシリーズは創作者、シンガー、研究者など様々な活動スタイルのVTuberが呼ばれています。それでもやはり、ほぼ全員が初めて話すであろう話題なこともあり、どの回も真剣なものばかり。そしてVTuberとしてのスタンスが見えるものばかり。すべての回がオススメですので、リストにある好きな回から観てみてください。
【陸上部先生】足の遅い陸上部選手がなんとか大会に出た話【にじさんじフミ】
フミが「にじさんじ部活パロディボイス」の販売にあわせて行ったのは、学生時代の実際の部活動トーク。小学校の頃の話からスタート。クラシックバレエをメインに習いながら、中学校の部活では市内一位を目指すべく陸上部に入って頑張っていた話を、脱力系のオチが合間合間に入るフミ節全開のトークで語っています。
画面に置かれた本の見開きのようなテロップが、いい味を出しています。右ページが出来事、左ページがオチ、となっているので話の展開がテンポよくまとまっています。バレエ・陸上の二足のわらじ時代のギャップや、陸上部時代の陽キャな周囲と陰キャな自分の溝、一位になれると思った後の思わぬ展開など、右ページ・左ページが行き来するたびにオチがついて波乱万丈です。
下準備がしっかりしていることでよりアーカイブでみてもしっかり楽しめる、フミのトークエンタメ技術を味わうことができます。笑いとしょんぼりとエモとがぐるぐる入れ替わることで、聴いている時間が一瞬に感じられるようなトーク配信、ぜひ御覧ください。
memex – アンナベイラブル MV #M3春
ブラウン管ディスプレイのような映像のアニメーションが目を引くmemexの新MVが発表されました。memexサウンドらしいよく響くギターの音からはじまり、曲はサビに向かうほど高まっているのに憂鬱がのしかかる展開になります。この苦しさが歌詞と動画でしっかりシンクロ、観ている人それぞれの心理に触れてくるかのようです。
どうしようもない鬱屈からの、後半の解放感！ アニメーションパートの思い切りをぜひ観てください。歌詞にある感情をぎゅっと詰め込みつつも、こわばりのない熟練したボーカルとギタープレイで、曲に大きな広がりをもたせています。すっきりとした歌声だからこそ「夜が明ける また」のパートに強い説得力があります。
memexは２０２１年５月から今まで月１でライブを行い、その度にVRライブハウスを進化させていくという試みを行い続けてきました。その最終回としてSerial live experiments Finalが４月３０日にclusterで開催されます。これをもって『Club Adaptation』の開発は完了し、正式オープンとなるそうです。
幽夏レイ Kasuka Rei『プレイバック・ハイライト』Music Video
夏は魅力でいっぱい。でもサイダーの泡のように儚く不安定だ。そんな夏への感情を歌うVsingerの幽夏レイ。３ｒｄシングルでは花火のように咲いて、瞬く間に終わる美しい日々への郷愁がたっぷり詰まっています。「透明な僕らには怖いものなんてなかった」という歌詞を、クリアーな歌声とギターの音色で気持ちいいくらい爽やかに表現。過去を振り返る歌ではありますが「迷いも後悔も間違いなんかじゃなかった 」と力強く歌い、ポジティブな感情で過ぎ去った季節を愛し表現しています。眩しさ、侘しさ、と表現された感覚がストレートに伝わってくる作品です。
暑く気だるい８月を歌っている１ｓｔシングルを含む１ｓｔEPも発売されました。こちらにはYouTubeではまだ未公開の作品も収録されています。
【MV】夕葉倫「深化」
クリーンな歌声が魅力の夕葉倫の新曲は、自身の声の高音域をしっかり活かして聴かせてくれる作品。テクノサウンドに乗せて０と１の二進法を否定。海底のような場所で、透明な声ながらも複雑な、藍色のような重たい色味の歌を歌っています。「広がる藍と最小の太陽」「広がるアイは海溝の太陽」と、韻を踏みつついろいろな解釈のできそうな歌詞を、じっくりと深化させていくような歌い方は、聴く人によってかなり捉え方が変わりそうです。転調してから一旦戻すパートが入るのですが、そのメロディと歌のテクニックはかなり印象に残ります。
この前にアップされている「叫喚」は真逆で空で歌っており、とてもポップな曲調ながらも歌われているのは、直球の心の叫びで、喚き。曲の方向性は異なってはいますが、両方を聴くとそれぞれの曲の見え方がより多角的になりそうです。
sparkler – 拠鳥きまゆ
拠鳥きまゆが二曲連続でMVをリリースしました。いずれも１ｓｔEP「sparkler」に収録されているものです。
表題曲「sparkler」は疾走感抜群のロックチューン。前に進むための、魂の叫びのような曲です。飛び立ちたいと願いながらも「みんなが輝けるなんて綺麗事だ」と現実を見直し、その上で「扉を開ける勇気が 僕にはまだ足りなかっただけだ」と奮い立って踏み出す様子を激しく歌います。ファンとのつながりを大切にしつつも、進みゆく困難への覚悟を決める彼女の思いが、迫力のある声から伝わってくる作品です。
「Enchanted」はポジティブなメロディと爽やかな歌声が印象的な作品。こちらは拠鳥きまゆが聞き手に魔法をかけるような、エール的な楽曲です。先程の「sparkler」はファンが背中を押して勇気を得た彼女がぐんぐん進んでいく作品だとしたら、こちらは彼女が手を差し伸べて魅了し勇気を与える作品。活力の循環が生まれるのは、Vsingerとファンの幸福な関係です。
【MV】midnight love / 不破湊
この曲は、不破湊というホストでありVTuberである存在を、普段見せない深い部分で表現した作品。サムネイルや動画前半のイラストで主に描かれているのは不破湊ではないため、誰の視線かは曖昧にされています。
ムードあふれるメロディや不破湊の甘いボイスは愛を表現しているようにも聴こえますが、彼の声に静かな憂いが混じっているのに気付かされます。「口には出さないpromise」「でも心は偽れないや」という歌詞が、愛にブレーキを踏みます。ここで歌われているのは純粋な恋愛ではなく「偽りの愛で取り繕った男女のラブソング」とのこと。
中盤から歌詞にシンクロするイラストストーリーが入ります。ホストクラブから帰って来た女性と男性。幸福そうな瞬間、愛を育むかと思いきや、女性からは流れ落ちる涙。偽りきれない心に気づいてしまったあと、目覚めると手元には配信する不破湊が映るスマホが。
ここについては、ファンの間ですでに様々な考察がされています。どこまでが夢で、願望で、現実なのか。一緒にいた男性は不破湊なのか。女性はそもそもホストクラブに行っていたのか。偽りの愛を女性が抱いていたようにも見えるが、むしろこれは不破湊側からの届かない思いなんじゃないだろうか。あるいはもっとストレートに、不破湊のファンが抱く夢の儚さか。全ては動画と、不破湊の歌声が持つ機微から各々が受け取り、解釈するのみ。不破湊が口元で立てる指を今後見るたび、その意味を考えることになりそうです。
不破湊ファンならずとも、VTuberファンなら多くの人は、この「口には出さないpromise」に心当たりがあると思います。そこが切なくもあるのですが、だからこそ愛しく大切な感情でもあります。
なお誕生日配信は、一時間の間でケーキを食べたりゲームをしたりマシュマロを読んだり凸待ちをしたり歌枠をしたりする、というハチャメチャなもの。ファンからは見通し甘すぎだろと突っ込まれつつも、見事時間内に成し遂げる、というライバー力あふれるものになっています。特に凸待ち１０分以内というのは前代未聞かもしれません。
【歌ってみた】この素晴らしき世界は、僕のためにある【わんにゃんぴよTV】
いとり、ちねこ、犬崎の三人組わんにゃんぴよTVにアップされたのは、ワイワイ感がとっても楽しいカバー曲MV。高音域のいとり、中音域のちねこ、低音域の犬崎と三人の声のバランスが抜群によく、サビでそろうパートはお祭り感があり聴いていてテンションあがること間違いなし。各々のソロパートは個性がかなり出ているため、わんにゃんぴよTVの３人の個性を知る導入としてももってこいの作品になっています。
【オリジナルMV】ことばのおばけがまどからみている／海×みやの【歌ってみた】【cover】
海とみやのが歌ったこの作品は、ぜひヘッドホンで聴いてください。原曲通りふたりが左右で、別の歌詞を歌っている作品です。ぴったりと二人の歌声がシンクロしており、聴いていてかなり心地いいです。歌い方はあえて感情を入れないようにしており、淡々としているのがこれまたイラストとメロディと歌詞にマッチしています。ふたりの声のトーンがかなり高めでありつつ安定感があるので、より妖しさが増しているのも聞き所です。
甲斐田晴、毎日ワンコーラスMV投稿中
甲斐田晴が毎日、ワンコーラスの動画をアップし続けています。ワンコーラスとはいえ、しっかり歌詞入りイラスト付きで、きっちりとしたMIXもされた高クオリティなものばかり。すでに２０曲以上発表されているので、まとめられているリストから聴くのをおすすめします。
特に高音域の表現に定評がある甲斐田晴の、様々な歌唱力のバリエーションを楽しめます。切ない曲や優しい曲、かっこいい曲にキュートな曲と、普段から弾き語り枠を続けてきた彼ならではの表現の幅の広さは驚かされるばかり。それに加えて日々の配信、V最協出場、ROF-MAOの収録と、ハードなのに高クオリティな活動を続けている彼。毎日成長する姿をファンに観せてくれており、応援しないわけにはいきません。
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