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VTuber 2021.09.05

この動画がすごい!今週のおすすめVTuber動画(8月28日~9月3日)

日々クオリティの高い作品がアップされ続けている、VTuber(バーチャルユーチューバー)の動画。その中から独断と偏見で「この動画は是非見て欲しい」というものをご紹介。話題のものから個性派まで、要チェック!

今回紹介した動画のYouTube再生リストはこちら

幻の海のパンジャンドラムを3DCGで再現して検証してみた!【ナップのローラーボート】

レトロ日本の建造物や戦艦などを、3DCGでモデリングしたり3Dプリンターで立体化しつつ、解説を聴かせててくれるチャンネル、宮間めさの『テイコク立体』
今回は19世紀に設計された珍艦「ナップのローラーボート」を3Dモデルで作成。実際に存在していた奇妙さを、動画で再現しました。制作者は本来のイメージで、どういう速度と挙動を想定していたのか、バーチャルに再現しています。

最初の映像だけでもかなり珍妙なのですが、その後設計された幻の「ナップの兵員輸送ローラー船」をも再現。今までに制作した戦艦大和とのサイズ比較もされ、本気で作られようとしていた事実の強烈さを見せてくれます。

宮間めさのは3Dプリンタを使ったモデラーとして知られると同時に、3DCG制作技術の腕の高さで有名なVTuber。歴史的な物が多いので、資料を集めるだけでもすごい労力なのは一目瞭然。モデルを組みたてるのみならず、ぐるぐるあらゆる方向から撮影したり、サイズ比較で並べてみたり、宮間めさの自身が歩き回ったりする映像をたっぷり見せてくれます。歴史をバーチャルで感じて楽しめるチャンネルです。

バーチャルライブハウス「Club Adaptation」v0.02 新機能紹介

VR上でのライブ活動を精力的に行っている音楽ユニットmemexは、バーチャルライブハウス「Club Adaptation」の新機能解説動画をアップしました。これは共創進化型バーチャルライブプロジェクト「Serial live experiments」を元に運営されているもの。バーチャルSNS「cluster」を利用した取り組みです。

まずはライブを開催、次に生配信などで過去のライブの振り返りを行い、視聴者とのコミュニケーションで新規の機能開発を検討。次のライブに向けてライブハウスに機能を追加。これを一ヶ月くらいのローテーションで行うことで、「Club Adaptation」は進化し続けるVRライブハウスになります。

ライブでの「体験」を仕掛けてくるmemexならではの、既存の常識に囚われないライブ形態が常時更新されていく贅沢なプロジェクトです。ライブそのものはもちろん、次のライブでどう進化するんだろう、という成長自体が体験コンテンツになっています。
今までも多様なライブ設計をしてきたmemex。月イチ更新というフットワークの軽い、双方向型VRライブづくりの最先端として注目したい内容です。

リラリン・リラ、星になる

天体魔女おねーさんのリラリン・リラが星になりました。使い魔のパンケー子と共に、星に自分の名前をつけた、という現実の話です。
これは初山別村の「マイスターズシステム」を利用した企画で、名前のない星に名前を登録できるというもの(といっても学術的に認められるものではなく、初山別村で永遠に登録する、という思い出的なものです)。登録証を入手すると天文台に無料で入館でき、自身の星を見せてもらえるというシステムになっています。
ロマンあふれる「星になる」話自体、発想がとてもバーチャル的。動画を見て興味の湧いた方は、誰でも登録できるので試してみてはいかがでしょうか。

天体についての話題を中心に活動しているリラリン・リラ。「ウマ娘」に出てくるチーム名の星の解説をしたり、写真を元に天体豆知識を教えてくれたり、ゆかりのある人物を追ったりと、天文の興味をそそる動画を多数アップしています。天文動画は短い物が多く、BGMはしずかめ、声はゆったり優しく聴きやすいため、寝る前や仕事の合間にリラクゼーションタイムとして是非。

【判明】ASMRってメンタルに良いの?~ストレスを解消して孤独感を癒やす~

メンタルヘルスVTuberの雨音マモルがアップしたのは、ASMRが精神にどのような効果を及ぼすかを科学的に解析したもの。ASMRはVTuberの間でも披露している人の多い人気ジャンル。癒やされると評判ですが、果たして本当なのか?

実際の科学者の研究事例から考察を述べています。感覚が過敏で繊細な人ほど、ストレスも感じやすいし、ASMR動画を見るとしっかり反応が出るらしいとのこと。ASMRがどのような効果があるか具体的にわかるので、これを見てからASMR系動画・配信をチェックしてみると、意識が働いて効能がアップしそうです。

【にじさんじ】フレン・E・ルスタリオの3Dモデルつくる【グウェル・オス・ガール】

にじさんじライバーの3Dお披露目配信があると、それの前座のごとくサクッと動画アップや配信を行い、待機中のファンのテンションを温めつつ、お披露目先に誘導してくれることに定評があるグウェル・オス・ガール。今回はフレン・E・ルスタリオのお披露目配信の前に、この配信を行いました。3Dモデル簡単作成ツール「Vカツ」でフレンを作る、という内容です。

1時間かけず、意外とそれっぽくフレンもどきが誕生。実際にVR機器を使ってフレンもどきをグウェル・オス・ガールが動かす様子も見られます。
基本的にネタ配信なのですが、「Vカツ」の機能紹介と使い方の手順の動画として非常に優秀。完成したフレンもどきもそのまま配信に使えそうです。「Vカツ」を使いたい人はこれを見ながら真似してみるのも一つの手です。

八月の蛍 / HACHI 【Official MV】

バーチャルシンガーHACHIの6thシングルは、特に儚さの強い8月の終わりの情感を歌う作品。鍛え抜かれた歌唱力で、消えて失われていくものをたっぷりゆったりと歌い上げ、視聴者の心に感情の波を注ぎ込んできます。

「ねぇ、もっと縋ってくれても良いんだよ」「ねぇ、ちゃんと好きって言わないせいだよ」のパートの後悔感と喪失感、それを表現する歌声の広がりが強烈。後半、華やかに咲いて散る花火が美しくも寂しく歌を彩ります。夏の終りの今こそ、聞いておきたい作品です。

【original song】ぱぴぷぴぷぴぱ/ころねぽち

ころねぽちの初オリジナル曲は、「ぱぴぷぴぷぴぱ」とタイトルを読むだけでもすでに「ころねぽちらしさ」があふれる独自な作品。チップチューン的なピコピコ音とベース音がききまくったハッピーハードコアなメロディに、「ペパーミント」「ピスタチオ」と半濁音だらけの歌詞が飛び交います。
キュートで明るい彼女の声は、パステルカラーがぴったり。サビの異常なスピード感はかわいいだけじゃない、弾けだすエネルギーも感じられます。聴けば否が応でも元気になる作品です。

【オリジナル曲MV】ray of hope / #竜乃エナジー 【4th single】

竜乃エナジーは5月にデビューしてから、次々とクオリティの高いMVをアップし続けているVシンガー。今回の作品はすでに4作目のオリジナル曲で、デビュー時すでに6ヶ月連続MVリリースを宣言している、情熱のあるミュージシャンです。
「永久のような時間を 生きたってぼくらは あまりに無力で」という言葉を含む歌詞を作ったのは竜乃エナジー本人。歌いたくてドラゴンから人の姿になっているそうなので、もしかしたら自身についての物語なのでしょうか。

彼女の作品は、シンフォニックメタル調のギターうなるサウンド、そのメロディの上で踊るように華麗で力強い歌声が特徴的。声によって紡がれる物語性の強い楽曲になっています。歌声のパンチの強さと伸びのよさが、激しいロックサウンドを完全に自分のものにしているのは見事。現在すでにカクレゴなど他のVTuberミュージシャンとのコラボレーションもしており、今後アーティストとして高く羽ばたくのが楽しみな一人です。

【Vtuberオリジナル曲】 サマーホラーパーティナイト 【フルMV – 兎梟ヒバリ】

普段からMVでダークな空気やエモな情感を紡いできた兎梟ヒバリ。初のオリジナルソングは、ゴリゴリのテクノハードコアサウンドと、フロアを意識したリリックが魅力の重低音響く作品。ぶち上げ煽りがバシッと決まっており、サウンドの上り詰め方でテンションを否が応でも引き上げてきます。是非多くの人の集まるフェス会場でかかってほしい一曲です。

向日葵の君へ / 葉柳ちぐさ 【VTuber / オリジナル曲】

葉柳ちぐさがアップしたオリジナル曲は、片思いの切なさが凝縮された切ない作品。作曲はやまみー
爽やかで軽快ながらも、どこか寂しさもあるメロディが、歌詞をしっかり支えています。キュートな声を生かして少女の思いを表現しつつ、心の苦しさと溢れ出す激情を繊細に捉えて歌い上げています。

想いを伝える、ということはとても難しい。でも不完全でも伝えたい。そんな入り組んだ歯がゆい思いが語られる作品です。曲調と歌詞が考える余地を含んでいるので、聞いた時の心持ちによって受け取り方が変わる作品でもあります。なお最初と最後に出てくるロングヘアの女性は、葉柳ちぐさ本人とは別の、物語の語り手として登場する存在とのことです。

【MV】常夜鬼譚/竜胆尊【オリジナル曲】

竜胆尊がデビュー3周年を迎えました。彼女は鬼と人間のハーフで年齢は9900歳越え。今までの時間を考えると3年はわずかな時間です。とはいえ孤独だった今までとこの3年間は比にならないくらい濃厚。歌詞とムービーが、長きに渡り生きてきた彼女の視点での物語を表現しています。

和を感じさせるメロディに三拍子の、かなり変化球な作品。竜胆尊の普段の声は温和で安定感がありますが、いざ歌うと舞うような高音を奏でます。今回は悲しみをたたえてきた永遠とも思える時間を切なく、そして「幸福だと言える程、今この時が愛しい」とライバー生活の幸せを温かく歌っています。この物語を聴いたら、彼女との一瞬を過ごすために配信をリアタイしたくなること間違いなしの、日本人の情に刺さる昔話です。

Magia / Kalafina (Covered by 富士葵×ときのそら×燦鳥ノム)【歌ってみた】

VTuberの青の歌姫3人、富士葵ときのそら燦鳥ノムの新作は待ち焦がれていた人も多いはず。満を持してアップされたのは歌唱力がもろに問われる「Magia」のカバー。完璧にハーモニーをつむぎ、その貫禄を魅せました。

3人とも低音から高音まで情感豊かに歌いこなせる実力者なだけに、リードボーカル以外の部分での歌の重ね方も巧み。聴くたびに発見があります。それぞれ声の個性はしっかり出しているのに、各々の良さを潰さず引き立てているのが見事です。

夏空とコントレイル – ラテルネ feat. 初音ミク covered by 朝比奈こん

朝比奈こんがアップしたのは、晴天の元の風のごとく爽やかな作品「夏空とコントレイル」のカバー。限りない透明度が求められるこの曲を、繊細にかつ爽快に歌い上げました。サビの高音パートの、青空を突き抜けていく入道雲をイメージさせる空気感も見事に再現されています。

胡桃もよによるこの作品のMIX作業の様子が、そのまま配信アーカイブとして残されています。ハモリありで細かな音量と音質バランスが重要になるので、そこをどう調節しているのかがひと目でわかる興味深い内容。一部ではソフトの使い方も説明もしているので、波形を見ながらのMIX方を知るのにも役立つ内容です。

きみも悪い人でよかった covered by 卯月コウ 魔界ノりりむ

13歳のまま歳を取らず活動を続けている卯月コウ、10歳から13歳に年齢がワープした魔界ノりりむ。それぞれ普段は自分の好きなことをのびのびと活動しているふたり。「おりコウ」というユニットで活動すると、面白さだけではなく、言葉の端々から少年少女が持つ永遠と儚さがにじみ出はじめます。そのふたりがユニットとして初めて出したカバー曲がこちら。

13歳であることを大切にしているからこそ出せるふたりの言動は、他に類のない中学生時代でしか生むことができない詩のよう。だからこそ、みずみずしくちょっと苦いこの曲はふたりにぴったりです。

おりコウの独特な距離感と、青春期の誰もが経験した苦い部分の共感力は、ぜひとも配信で観てみてください。中学生マインドでのアンテナの高さは、意外なところで視聴者の胸の隙間をグサグサ刺してきます。

視聴者投稿による夏とエモの大特集

夏の終わりが来た今週の配信では、様々な視聴者募集企画が行われていました。その中からエモとおもしろと憧れがあふれているものを、いくつかご紹介。

中学生のエモの権化・卯月コウは毎年この時期に夏をイメージする写真企画を行っています。今回もテーマは夏。抽象的なイメージをどう写真で表現するか、視聴者の腕と想像力が問われます。

回を重ねるごとに写真のレベルがぐんぐんあがり美しい写真が増えています。同時に抽象的な夏を自分のイメージでまとめたもの、部屋の中で完結しているもの、物語を感じさせるものなど、多彩なのが特徴。採用基準は上手さだけではない、とも言えます。卯月コウの読解が極めて深め。彼のコメントは、写真内の夏を空想して解像度を上げるのみならず、そこから更に投稿者本人を見つめる視点まで切り込むことで、新たな発見を一枚一枚から生み出しています。

朽血ざあぢが行ったのは「なんかエモい写真王」という、参加者の感性とそれを読み取る配信者の技量が試されるもの。美しいエモを感じさせる写真から、あーこれってそういうこと?と個々のイメージを問うものまで集まりました。大事なのは「なんかわからんけど」の要素。

「エモい」とはいろいろな感情が入り混じり、答えのないもの。人がそう感じるのならそれは「なんかエモい」でいい、というのを前提として紹介しているあたりに、エモへのこだわりが感じられます。写真のエモもありますが、みんなでふわふわした「自分の『エモい』のものさしってなんだろう?」を考えるきっかけづくりが楽しい配信でもあります。

来栖夏芽は、視聴者が投稿した夏写真をみんなでじっくり味わい、夏を感じる配信を行いました。夏らしい一瞬をとことんまで美しく撮影したものが多く、写真技術が全体的にかなり高め。インスタにもそのままアップできそう。

写真を見ながら、投稿者のコメントと視聴者のコメント、そして来栖夏芽の感想で良さをじっくりと味わう、夏への憧憬あふれる内容。どの季節の時期に見ても「憧れの夏の景色」として楽しめる配信になっています。

燐夏・ライゼンバインが行ったのは、実際にあったわけじゃないけど捏造した夏の思い出を語りしみじみひたる、不思議ながらもテンションのあがる配信。捏造だと頭に入れた上で配信を見てみてください。

はちゃめちゃなもの、やりきれないもの、本当であってほしかったものもありつつ、夏の侘び寂びを掴んだうまい作品は膝を打ちながら楽しむことができます。燐夏・ライゼンバインの評も文芸的な評+想像の増幅で楽しさを盛り上げてくれます。捏造だからこそ、深読みでワクワクできる配信です。

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