日々クオリティの高い作品がアップされ続けている、VTuber(バーチャルユーチューバー)の動画。その中から独断と偏見で「この動画は是非見て欲しい」というものをご紹介。話題のものから個性派まで、要チェック!
ピスタチオの色合い問題
イ卜トイ(いうらとい)はミュージシャンでありつつ、2分くらいの超スピードトーク動画を出しているVTuber。今回はピスタチオの色についての問題(?)を、落語家のごとくユニークな語彙力と新しい切り口といい塩梅のナンセンスで、止まること無く語っています。語りの技術は芸の領域で、この人にかかったらなんでも面白くしてくれそう。オチの付け方もきれい。
他にも数多くの語り動画がアップされています。なぜそれを?というネタのイジりのうまさもさることながら、頭に残る言葉をいい声で語るスタイルは、かなりくせになります。配信も行っているのですが、テーマに沿った絶えることのないトークの軽快さは心地よさ抜群。
作っている曲はエモーショナルなものが多く、ジャンルは多彩。じっくり落ち着いて聴くのにぴったり。既に1stアルバムが発売されています。
掃除もVRでハックして楽しくできる説!【Vtuberなら】
最近多くの人の間で話題になったと思ったらイーロン・マスクに「いいね」されたVTuberになって多くの人を驚かせている三珠さくまる。バーチャルだからこそできる企画動画と、バーチャルでしかできない大道芸「V道芸」を行っているVTuberです。今回はバーチャルでお掃除を楽しむ方法です。
掃除機にVIVEトラッカーをつけてVRキャプチャーし、自宅空間を再現したVR空間で動かせば「スプラトゥーン」のように色塗り感覚で掃除できるのではないか、という発想です。どこを掃除したのかがひと目でわかるのがかなり便利。どんな結果になったかは見てみてください。
VRを仕えば面倒な掃除もゲームに早変わり。さらにARグラスが使えるようになれば、家事全般がゲームにできる可能性もありそう。三珠さくまるの柔軟な発想は、ジョークの域をこえた現実ハックになりつつあります。
【GRWM】美意識低い系男子のモーニングルーティーン【俺の姉が干物な件。】
「俺の姉が干物な件。」NANAKIがアップした、珍しい男子のモーニングルーティーン動画。「干物系の姉がいる」という弟属性に加えて、「しっかり者の大学生」「マイペース」「なんだかんだ姉の面倒を見ていて仲がいい」「ローテンションだが意外と日々は楽しそう」「周りの信頼は厚い」「でも本人は意識してない」「だいぶ天然」「Tシャツのセンスが壊滅的にダサい」という、客観的に見ると「かわいい」要素てんこ盛りの彼、この動画も意識していないとは思いますが、かなり「かわいい」男子ポイントがあふれた動画になっています。
YouTuber形式と物語形式が混ざったタイプのVTuberチャンネルです。癒やし型な彼の日常がメインなので、気楽に見られるのもポイントです。
3Dプリンターモデリング完全チュートリアル【3DCG MAYA】
宮間めさの『テイコク立体』 は3Dプリンタで建造物や軍艦等を自作し、その様子を解説してくれる技術型エンターテイナー。今回は3Dプリンタで作るための3Dモデル制作の様子をひとつひとつ説明する、貴重な動画になっています。作るのは1円玉サイズの震電。
制作ソフトはMAYAですが、3Dプリンタで作るための流れ自体はBlenderにも応用ができます。戦闘機の三面図からはじまり、3Dプリントのための調節まで、細かい調整の様子もよくわかります。
完成した3Dモデルでは風防やモールド部分がものすごく細かくプリントされています。現在家庭でも買えるレベルの3Dプリンターで、高いクオリティのものを作るにはどうすればいいのかがわかる動画になっています。
ホラーゲーム【夜詛~YASO~】制作中!
ホラーゲーム「GOHOME」が有名になったバーチャル市松人形の市松寿ゞ謡の新作「夜詛~YASO~」のティザームービーが公開されました。「GOHOME」は現代日本のような信号機のある町並みが舞台の中心でしたが、今回はレトロな大正の世界が舞台。一人称視点のゲームで、今年の8月に公開予定とのことです。公式ホームページもありますので、興味がある方は是非チェックしてみてください。
リスナーからヤバそうな家具いっぱいもらいました【月ノ美兎/にじさんじ】
鬼才VTuberの元には鬼才リスナーが集まる。月ノ美兎は昨年から、空っぽの部屋のテンプレートだけ準備し、視聴者から部屋に置くものを募集しています。今回は2回目の募集で、家具のみならず、「部屋」という概念そのものをひっくり返すようなものも多数送られました。
テンプレの角度だけ守って、まるまる背景を全部描きおろした力作から、「カンちゃん」「罪」「某ゲームの拘束具」など配信や動画でのネタも多数登場。配置すると部屋がカオスになるのはまだしも、どこで使うのかわからない1発ネタまで、ハイクオリティに仕上げられています。第一回目で募集したものもあわせ、これらの中から今後月ノ美兎の配信画面の背景が作られるようです。
全く何も言っていないのに、視聴者の応募背景同士でのシナジーがうまれて、話し合って作ったかのようにぴったりはまるのにはびっくり。これもまた「月ノ美兎リスナー」ならではの出来事かも。
ゆるだる旅館にお泊り
宇津木沙和が行った配信は、温泉旅館へのバーチャル旅行。彼女と一緒に遠くに旅行にでかけ、日々を忘れてのんびりすごす体験ができます。旅館の広縁、食事、温泉、就寝とイベント事も満載。
ただ宇津木沙和のエンタメ精神はそれだけでは終わらない。あらゆるシーンに仕込みがなされており、変な写真の変な再現が多数繰り出され、配信のアクセントになっています。これのおかげでのんびり旅行配信のはずが、要所要所にメリハリがあって最後まで気を抜けない楽しい内容に。窓の外の終末の景色を眺めるところからのスタートなので、安心できない流れを安心して楽しめます。
【オリジナル曲MV】久檻夜くぅ / seeker【1st Single】
久檻夜くぅのファーストシングル「seeker」のMVが公開されました。歩きながら聴きたい早めのテンポのテクノポップが明るく奏でられる中、久檻夜くぅの歌声が響き渡ります。声はキュートなのですが、芯の通った意思の強さが感じられる歌になっており「この言葉がこの心が繋ぐリズム”今日”を忘れないように」と決意する歌詞を彩ります。
久檻夜くぅは日本語、英語、タイ語のトリリンガル。配信のチャット欄にはタイ語がかなり多く見られるのが特徴のひとつです。
夕葉倫 MV「Marble」
精力的にオリジナル曲制作とカバー曲MVをアップし続けている夕葉倫の15番目のシングルは、ラムネの瓶の中のビー玉を覗いて見える景色を歌うノスタルジックとエモーショナルの混じり合う作品。
夕葉倫の歌声は透き通った高音が魅力のひとつ。今回の歌ではその透明感が歌詞にシンクロして非常に美しい作品に仕上がりました。「無知な私は子どもみたいだ」「子どもみたいか?」と自問自答しながら、ビー玉を見つめ心の内側に入り込む繊細さが心を掴む作品です。サビにかけての音の変化にはハッとさせられるものも。
kamome sano feat. Marpril – キミエモーション
音とリズムがエグすぎて目が覚めそう。Marprilの新作オリジナル曲「キミエモーション」は特に入りの部分からのメロディー展開に圧倒され、そのままラストまで突き抜けていく、音楽に翻弄される気持ちよさを味わえる作品。曲はkamome sano。
隅から隅まで、どこをとっても歌うのが難しそうな作品を、爽やかに軽快に歌うMarprilの歌唱力とリズム感は必聴。2人が得意とするキレのいいダンスシーンは、実写映像にバーチャルなフロア、そしてデジタルなノイズに彩られてとてもきらびやか。浮遊感とスピード感が入り交じる映像の中、ふたりの姿はとても楽しそうで、見ていてテンションがぐいぐいあがります。是非クラブのフロアに大音量でかけたい、または深夜0時の部屋でヘッドホンをかけて聴きたい作品です。
【オリジナル曲】有限の孤独 / 小宵 【アガルタ・マカブラ】
小宵のチャンネルにアップされたのは、何度か紹介している「旧東京夜野田区遺文集『アガルタ・マカブラ』」シリーズの5作目。クリエイターグループAfterImageによる一連の作品群は物語性が非常に強く、叙事詩的な構造になっています。
今回は悠久の流れを感じさせるメロディと、サビにかかる超高音パートの力強さが印象的。途中物語を示す詩も入り、エンドロールも入った短編映画的な作りになっています。今までと今後の「アガルタ・マカブラ」シリーズとどう関わっていくかはまだわかりませんが、これだけでも一つの作品としてハイクオリティなので是非味わっていただきたい作品です。
【オリジナル曲】白音ゆき / フェーデ【1st Single】
キュートにしてダークネス。白音ゆきのの独自な世界を描いたファーストシングル「フェーデ」のMVがアップされました。いいさじ加減のダウナー感と、彼女の個性にあった耽美感が織り込まれた、キャラクター性の強い作品。普段からキュートな声の彼女が怪しげに力強く歌うことで、迫力がガツンと増しています。
「偉ぶった大人には理解できない 」に対しての「イきんなよ」、「明日のことは明日に任せて 『今日は楽しもうよ』」に対しての「逃がさないからね?」という皮肉に対しての皮肉のかぶせがユニーク、かつ闇を感じさせる作品。振り回す淡い病みをコケティッシュに聴かせてくれるのが白音ゆきのボーカルの味です。
【Original】終末アビス – 依音伽音
https://www.youtube.com/watch?v=hxmG0F-SqD4
project Little Lindoの依音と伽音によるファーストオリジナル曲「終末アビス」が公開されました。海の底のような低音強めのテクノポップのメロディにあわせ、ふたりの声が重なりあいます。
柔らかい歌声が印象的な依音の声と、軽やかな歌声が響く伽音の声の絡み合いで、ふたりが手を取り合って進んでいく様子が表現されています。「欲しいものは確かな音<声>と形<魂>だけ」「欲しいものは確かな愛<温もり>と心<想い>だけ」と歌う歌詞のコントラストは、彼女たちVTuber・VSingerという存在の意味と重ねて考えるとグッと来るものがあります。
オドループ (Oddloop) – フレデリック // covered by 長瀬有花
脱力感とローテンションなハッピーあふれる歌声、特殊な選曲とこだわりまくって不思議なことになっているMVで毎回驚かされる長瀬有花の新作は、中毒性が高く海外でもファンが多いJ-ROCKからのチョイス。原作MVのダンスを取り入れながらも、全然違う映像に仕上げられています。
長瀬有花版は言葉の響きと音を楽しんで歌っているようです。ものすごい笑顔とかではないのですが、エアギターをかきならすパートは原曲の「気に入らない」という歌詞の響きを、気に入っているかのように歌っているのが印象的。こういうテンションの上下のギャップは長瀬有花の歌の世界観の特徴で、「明るい」と「暗い」の中間くらいをふわふわと漂う感覚を視聴者に与えてくれます。
【踊ってみた】女の子になりたい feat.緑仙/弦月藤士郎 #こじハラ【相羽ういは/にじさんじ】
ボーカルは緑仙と弦月藤士郎、ダンスは相羽ういは。分離した珍しいスタイルの音楽動画です。相羽ういははアイドル活動として、ダンスを中心に頑張りたいという旨を以前から話しており、3D化してからのダンス動画の多さとクオリティの高さは目をみはるものがあります。今回もあくまでも「アイドルのダンス」をしているのが要所要所でわかるのでチェックしてみてください。
緑仙は「性別不詳」、弦月藤士郎は「性別=弦月藤士郎」。ふたりによるキュートな歌声が「女の子になりたい」という歌にマッチしすぎていて、ファンには刺さるものがあります。
弦月藤士郎は「Q」のカバーMVもアップしています。にじさんじでは有名なカバーMVが既にあり、「先輩と、原作と、作者様に最大限の敬意を込めて歌いました」と概要欄でリスペクトを述べています。「僕が今音楽を続けられている理由になった曲です」とも語っているこの作品、ラスサビにこめられた感情が烈風のようにびしびし伝わってくるはずです。
【歌ってみた】贖罪 / 傘村トータ【covered by ニコラ・アルディン】
ニコラ・アルディンがアップしたのは、祈りの気持ちがこもった名曲のカバーMV。原曲のボーカロイド曲で十二分に切なさがあったのですが、ニコラ・アルディンが情感豊かに歌い上げたことで痛みがぐっと強く伝わる作品になっています。中盤までのやりきれなさや申し訳無さ、哀しさを深く深く掘り下げつつ、ラストに向かって前向きな光が差し込んでいく様子を歌声で表現。「贖罪」の意味を噛み締め、ニコラ・アルディン流で感情を露わにし、心に直接訴えかけてくるようなMVに仕上げました。
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