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VRChat 2022.11.14

【VRChat】本当に存在しないのか? “架空の美少女ゲーム”ファンワールドは、AIイラストへの空想が生んだ狂気と愛の世界

ソーシャルVR「VRChat」に、とあるギャルゲーをモチーフにしたワールド凸凸デコレーションǃǃが公開されました。作者はさらさ蓮華さん。現在パブリックで公開されており、誰でも入場できます。

ファングッズでいっぱいの部屋! しかし、このゲームは……

ワールドに入ると、「凸凸デコレーション!!」ファンの部屋といった様相の部屋が広がります。天井にはゲーム内CGを活用したポスターの数々。布団の上には両面カバーの抱きまくらがあります。


室内にはゲームのフルグラフィックTシャツや痛バックまで!  Tシャツの柄は全部異なっています。アクスタ、缶バッジ、ティーカップなど、所狭しと関連グッズが置かれています。隠しアイテム的なものもあるので、ぜひ隅々まで探してみてください。

オリジナルキーホルダーも、種類があまりにも多すぎて驚かされます。設定資料集も必ず見ておいたほうがいいです。「VRChat」ワールドではよく置かれているペンの構造や本棚の中の小ネタまで、隅々まで凝っています。

……と、一見普通の美少女ゲームファンワールドなのですが、実は「凸凸デコレーション!!」というゲームは存在していません。

ワールド内で使われている画像イメージは、画像生成AI「NovelAI Diffusion」で出力したもの。同じようなビジュアルのキャラクターイラストを大量生成し、それをもとに架空のギャルゲーをイメージ。作者曰く「空想が盛り上がってしまい、どんどん突き進んでしまった結果生まれた、”架空のギャルゲーを架空でなくした狂気のワールド”です」とのことです。

とはいえ、あまりにも作り込みが徹底されているため、本当に存在しているのでは?と感じさせられるレベルです。しかし、”本編”はここからです。

まさかフルボイス。架空のギャルゲーの世界へ

PC部屋に入ると「凸凸デコレーション!!」のゲームが起動できます。選択できるのは「Memory」、すなわちゲーム本編ではなくクリア後のイベントシーン回想だけですが、じっくり見ていくとすさまじいボリュームになっています。

ヒロインは声優・浅見ゆいさんによるフルボイス。架空のゲームをまるまる一本再現しているため、声を聞くだけでも十二分に楽しめます。しかもちゃんと主題歌までついています。

シーンセレクトをすると、それぞれのイラストにあわせた舞台が開き、大きなイベントシーン画面を見ながら動き回れるようになります。画面はギャルゲーそのもののUIがしっかり使えるようになっており、早送りやウインドウ消去も可能です。テキストも、ギャルゲー好きならニヤリとできるようなテイストに寄せられています。

物語は双子の恵瑠愛依のふたりと暮らすことになった主人公のドキドキラブコメディ。見た目そっくりな金髪おでこ女子との甘い日々を、あたかもその場にいたかのようにVR空間で体験できます。

青春疑似体験。憧れていた学校祭でのワンシーンを声付きで見ていると、もうすっかり自分は「凸凸デコレーション!!」のゲームの中にいるかのよう。

ギャルゲー定番、ドキドキシーンももちろんあります。このスタイルで見せるVRギャルゲーは今までほとんど存在していなかったのもあり、非常に斬新なシチュエーションです。特に寝室のシーンはVRでしかできない工夫が凝らされているので、ぜひご自身の目で確かめてみてください。

甘いシーンばかりではありません。シリアスな恋愛の場面もあります。ふたりのヒロインに挟まれている主人公なので、かなり心にズキッとくるシーンもあります。ワールドもしっかり空気感が表現されており、こだわりを感じさせられます。

ヒロインがふたりいるため、ちゃんとマルチエンディングになっています。両方を観るのは難しくないので、ぜひふたり分見てみてください。また実績解除など、ゲーム性もあるので隅々までチェックして攻略してみてください。

それぞれのシーンの中には隠しキャラがいて、それを集めると特別な扉が開く、というゲーム性もあります。うろうろ探索もできるので、とても楽しいです。

ただこちらはやらなくても問題ありません。逆にここで開くことのできる扉は、いわばここまでのクオリティの「架空のゲーム」を生むために発生してしまった犠牲の数々。夢の覚める場所です。

ワールドを体験していると、恵瑠と愛依のふたりは血の通ったキャラクターにしか見えてこなくなりますが、実際は「NovelAI Diffusion」が作ったランダム性の高い記号的イラストです。この作者のすごいところは、膨大な失敗作品(人間の目から見て人間的ではない記号イラスト)を乗り越えて洗練を繰り返し、選びぬかれた記号的イラストに名前をつけ、愛情をこめて物語を付与し、魂を与えた、ということです。ギャルゲ同様に表情差分まで作っています。

ここまできたら「凸凸デコレーション!!」は実在しているし、恵瑠と愛依は記号的イラストではなく生きたキャラクターとして愛されてもいいんじゃないか?と思うのですが、そこはこのワールドを一通り見た人それぞれの感想になるところでしょう。

AI生成イラストの新しい活用方法として、VR空間でギャルゲーを演出する技術として、ぜひチェックしてみてほしいワールドです。本当はVRで観るのをおすすめしたいのですが、デスクトップで入ることで「PC内PCのメタ視点ギャルゲー」という楽しみ方をするのも面白いと思います。

一定のゲーム要素をクリアすると、この架空ゲームが生み出される下地になっている美少女ゲーム愛を感じることもできるので、がんばって挑戦してみてください。

ワールドへのアクセスはこちら(Meta Quest 2、またはPC接続型VRヘッドセット、高スペックPCが必要です)。
https://vrch.at/8hy9qh8b

(参考)VRChat


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