イギリスに拠点を置くVRゲーム開発スタジオnDreamsのCEO、Patrick O’Luanaigh氏は、VR/ARカンファレンスのVRX Europe2018にて、VRヘッドセットのアクティブユーザー数は1カ月あたりおよそ1,500万人と発表しました。これはハイエンドのPC向けVRヘッドセットやモバイル向け、Cardboard等段ボール製ヘッドセット全てを含んだユーザー数の推定です。
同氏は講演にて、2025年に向けたVR市場に関する自身の予測を説明しました。
[ads]
10億人にVRを普及させるには
この講演は、フェイスブックCEOマーク・ザッカーバーグ氏が掲げる目標「世界で10億人にVRを普及させること」に関連したものです。O’Luanaigh氏は、2025年までにVRを10億人に普及させるには何が必要か、ディスカッションを行いました。
O’Luanaigh氏は「2025年には全てのVRヘッドセットは6DoF（上下前後左右の6軸自由度）のインサイドアウトトラッキング（外部センサーを使わない位置トラッキング方式）と、6DoFのコントローラーまたはLeap Motionのようなハンドトラッキングの技術を備えていると確信しています」と述べました。
同氏は「大半のヘッドセットは5G通信技術を用い、安価なヘッドセットやVR/ARグラスでもコンソールのような画質を実現できるでしょう。そして実際に手を動かしてからその画像を見るまでの遅延度は、10ミリ秒未満にまで低減します」とも話しています。
ヘッドセットのインストール台数
O’Luanaigh氏は、自身の予測は複数の分析や業界関係者らの会話をはじめとする、様々な情報源に基づくとしています。デバイスメーカーは販売台数について公式な発表をほとんど行っていないため、VR市場に関する明確な指標はあまり存在していません。また、コンテンツの売り上げに関するデータも同様です。
O’Luanaigh’s氏は、nDreams自身がこれまで様々なプラットフォーム向けにVRタイトルをリリースしてきた結果に基づき、興味深い予測を行っています。冒頭に述べた月ごとのアクティブユーザー数から、インストールベースではハイエンドVRヘッドセットが450万台、モバイルVRヘッドセットが900万台、カードボード型が1,200万台以上存在すると推測しています。この数字から、ヘッドセットの種類ごとのアクティブユーザーの割合といった予想もできています。
では、どのようなVRコンテンツが最も良く売れており、それはどのようなデバイスに起因するのでしょうか？
ハイエンドヘッドセットユーザーほどコンテンツにも投資？
「我々の売り上げや平均価格のデータから、一般的にハイエンドのVRヘッドセットユーザーは、モバイルVRヘッドセットユーザーよりもコンテンツにかける金額が多いと、強く感じています」とO’Luanaigh氏は話しました。
この傾向は、Oculus Rift、HTC Vive、PlayStation VR（プレイステーションVR・PSVR）といった、ハンドコントローラー付のハイエンドなVRヘッドセットから得られる没入感を考えると納得がいきます。
一方で、ポインター型の3DoF（回転のみを追従）コントローラーしかない、Mirage Solo、Oculus Goのような一体型のヘッドセットは今後成功するのか？ という疑問もわいてきます。ハンドトラッキング機能のあるコントローラーを備えた一体型のヘッドセットは、果たしていつごろ市場に登場するでしょうか？ OculusからはSanta Cruzという名前のプロトタイプが発表されていますが、動向についてはまだ注視が必要です。
一体型ヘッドセットのレビュー・体験レポートはこちらで紹介しています。
（参考）UploadVR
Mogura VRはUploadVRのパートナーメディアです。
