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「VRデビルマン展」は、作品の思想を空間で表現した恐るべき展示会だ

現在、「VRデビルマン展」が開催されている。期間は5月31日(月)まで。デスクトップ型PCでもVRヘッドセットでも鑑賞できる。

「デビルマン」はマンガが発表されてから50周年になる。ただ、今回の展覧会はその記念としてのもの、という雰囲気はあまりない。ファン向けに資料を並べるタイプの展覧会ではないし、50年を振り返る内容もない。作品の心理世界を表現する挑戦として行われている、VRでしかできない空間展覧会だ。

抽象的で感覚に訴えてくるような表現が多く、解説は最小限。作品世界のトラウマ体験会に徹底することで、展覧会全体が伝えたいメッセージは一貫したものになっている。

物語はわからなくていい

会場に入ると、まずサイコジェニーが登場して解説をはじめる。ファンならすぐわかる有名なキャラクターではあるものの、知らない人だとこの存在がなんなのか全くわからないまま進んでいく。

おそらく自己紹介などで説明を掘りさげなかったのは、わざとだろう。この展覧会は「デビルマンの物語・資料を紹介する」のが目的ではない。「デビルマンの世界に渦巻く感情を体感する」のが目的だ。

だからサイコジェニーがなんなのかはわからなくてもいい。なんか変なのがいて、水先案内人みたいに話しかけてくるんだけど、くらいの感覚で十分成立している。(ちなみにサイコジェニーは精神攻撃が得意な、悪魔の側近キャラ。心の展覧会の案内役としてはドンピシャだ)

サイコジェニーについていくと、4つのワールドを開けるようになる。どこから入ってもいい。物語的な順序はこの展覧会では一切重視されていないし、そこを気にかけなくても世界の混乱でどんな心理が生まれるかはしっかり体感できるからだ。

4つの心象世界

多くの人が最初に入るであろう「悪魔の心 -desire-」は、欲望が解放されて混沌と化したクラブ、サバトの様子を再現したものだ。狂乱する人間のシルエットの中を歩くと、ジンメンをはじめとした原作の悪魔のカットやアニメのインパクトあふれるシーンがわんさか出てくる。

ここもざっくりとした解説は入るが、何がどういうシーンなのかは細かく触れられていない。むしろ周囲が混沌としすぎていて、解説どころじゃない。VRで入った時にかきたてられる不安そのものが、このゾーンでの一番の展示物だ。

ワールドには様々なコマや画面が配置されていて、それを開くと目の前にアップになり、原作マンガ「デビルマン」と、アニメ「デビルマン」「デビルマンcry baby」から切り出された映像が流れる仕組みになっている。

入って一番最初の左側に、「本能(食欲)」の映像展示がある。それを開くと少年が犬を食べているシーンが再生される。「cry baby」のワンシーンなのだが、それが何のシーンかなんて細かいことは二の次。暴走する悪魔的な惨劇を感じることが最優先の作りになっている。

悪魔=残虐、という印象を持ったところで「悪魔の心 -emotion-」に入ると、見え方は一転する。悪魔側の心理を描いた世界なのだが、透明感あふれる真っ白な世界だ。原作での人気キャラクターのシレーヌカイムの姿が据えられており、立体的な空間をあちこちに移動しながら作品のシーンを見ることが出来る。

確かに悪魔は人間の心理につけ込んで混沌を生み出す存在かもしれない。けれども人間以上にまっすぐな思いがあることも「デビルマン」の世界では描かれていた。ぐちゃぐちゃに見えたサバトとは表裏のような関係のワールドは、高く高く上って浮遊感を味わいながら、見下ろすことが可能だ。

悪魔の二面性に対して、人間の二面性のワールドも作られている。「人間の心 -fear-」のワールドは、原作ファンのみならず知っているであろう、あの有名なトラウマシーンがワールドの基調になっている。

悪魔がいなくても邪悪になる人間の姿。グロテスクな地獄を模したようなこの世界は今回の展覧会でもかなり入り組んだ構造になっていて、「デビルマン」に描かれていたありとあらゆる人間の負の感情が詰まっている。かなり密度が高いため、歩いていて息の詰まる空間だ。

「デビルマン」は悪魔をモチーフにすることで人間の心のなかにある悪を描いているものの、すべてを断罪する作品ではない。「人間の心 -heart-」のワールドでは、苦悩し泣き続けるダークヒーロー・デビルマンである不動明や、世界に誠実さを訴え続けてきた幼馴染の牧村美樹、彼女に力を貸した人間の仲間たちなどの、良くありたい、人間でありたい、という思いがあふれ、展示されている。

このワールドはデジタル風になっており、インターネットのSNSを模している。そのため温かい言葉ばかりでなく嘲笑も飛び交う。攻撃も優しさも、全部含めて人間の言葉であり心だ。デジタルの世界に注ぎ込まれた大量の人間の心が、空間を利用して表現されている。

洗練された見せ方

会場内で操作しやすいのはポイントが高い。特にデスクトップPCでの閲覧時は、キー移動とワープ移動の両方が使えるため、観覧が非常に快適だ。マウスひとつだけで、ストレスなくすいすい見て回れる。

VR版の操作は直感的でわかりやすく、おそらくはじめてVRヘッドセットに触れる人でもさほど迷うことはないだろう。ワールドに入ると操作方法をひととおり、簡潔に説明してくれるのも親切な設計だ。

解説の音声が選択できるのもユニーク。普段はサイコジェニーの解説を聞きながらまわることになるのだが、550円のチケットを買うと声優の関智一潘めぐみの音声ガイドに切り替えることが出来る。こちらのふたりのトークは明るいので世界観に浸るには向かないが、二周目以降見て回る際、ファンであれば是非聞いておきたいサブ音声サービスだ。

ちなみに先程紹介した4ワールドの他に、3つの隠しワールドと、無料で入れるエリアが準備されている。無料の仲見世エリアだけでも作り込まれていて楽しめるので、興味がある方は試しに覗いてみてほしい。

隠しマップについては詳細の説明は避けるが、こちらは資料性が高め。「デビルマン」ファンにはたまらない内容になっている。鑑賞の方法がものすごく特殊でVR的なのも、ニヤリとさせられるところ。制作スタッフの遊び心も満載の、「デビルマン」テーマパークだ。

これだけ思い切った、思想性や哲学性を見せることに特化した展覧会ができた、というのは今後のイベントに大きな影響を与えそうだ。たとえば「悪魔の心 -emotion-」の場合、単純に巨大な空間がリアルでは準備できない。でもあの展示は、悪魔の心理を表現するために広大じゃなければいけない。空間の作りそのものが、作中の舞台の再現を超越した「作品感覚」の展示物だ。

何らかの新資料や新映像なんかは現実のイベントに任せるとして、作り手の思想が入った空間そのものを作品とした、このようなイベントはVRでどんどんやってほしい。すでにVRChatなどで挑んでいる人も多くいるが、これを有名作品をベースに企業が行った、というのは大きい。

不安な時代を表現する

「デビルマン」本編が描かれた1972年は、東西の冷戦が続いており、いつ世界が戦争で破滅してもおかしくないような緊張状態が続いていた。2021年は未曾有のウイルスのパンデミックで、世界中がストレスの中でひりついている。

人間の心理が圧迫されている時に生まれる感情を表現した「デビルマン」は、時代ごとの人間の姿を反映していく作品である、というのが今回の展覧会で強調されている。

たとえば「fear」で人々がストレスの中で同調圧力に飲まれて大騒ぎしていた展示を見ていると、実際に海外で社会の構造とウイルスの鬱憤で暴徒と化した人々で町が壊滅させたニュースや、インターネットで度を越えた罵詈雑言が飛び交っている様子が頭に浮かんできてしまう。

今年3月にはフランスのマルセイユで政府のコロナ対策にあえて逆らって、路上で炎を燃やしながら6000人が大規模パーティを開き、警察と対立する様子がニュースになっていた。まるでサバトだ。「デビルマン」世界と現実は、そんなに大差ないじゃないか。

今回の展覧会は、現実世界の会場では空間のサイズ的にも表現技法的にも、絶対に再現できない。曖昧な感覚のゆらぎを視覚聴覚で味わったり、異常な場所から俯瞰して世界を眺めたりするのは、VRにしかできないことだ。

だからこそ、「デビルマン」ファンだけでなく、VRに興味を持っていて「デビルマン」は知らない、という人も是非見てほしい。抽象的に心を表現できる世界がある、という発見があるはずだ。

「VRデビルマン展」
https://virtualutopia.jp/s/v01/?ima=0827

執筆:たまごまご


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