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6人で一緒にVRの恐竜世界を歩き回る『アバル:ダイナソー』体験レポ

2017年7月15日から8月27日にかけて、テレビ朝日・六本木ヒルズ全域を舞台とした大型イベント「テレビ朝日・六本木ヒルズ 夏祭り SUMMER STATION」が開催されています。このイベント会場では、空間移動型VR体験『ABAL:DINOSAUR(アバル:ダイナソー)』 を体験できます。

Gear VRと両手足のマーカーで、VR内での身軽な動きやコミュニケーションを実現

『アバル:ダイナソー』は、株式会社ABALが開発した、日本発の空間移動型VRシステム「ABAL」を使用したオリジナルコンテンツです。そのタイトルからわかるとおり、本作では6500万年前の恐竜世界へダイブするというストーリーを楽しめます。

『アバル:ダイナソー』では、最大6人での同時体験が可能です。観客はまずメイン会場の手前にある小部屋に入場して、ここで自分の両手・両足にトラッキングターゲットを装着し、ヘッドマウントディスプレイを身につけます。



HMDはGear VRを使用しています。HMDにもトラッキング用のマーカーが取り付けられています。

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会場内を取り囲むように配置されたモーションセンサーが、両手足のトラッキングターゲットを感知することで、体験者の位置と全身のアクションを認識できます。

体験者が身につけるのは、スタンドアロンで動作するGear VRと、ほとんど重さを感じないトラッキングターゲットだけなので、非常に身軽に動くことができます。またヘッドホンは装着せず、会場内に流れるコンテンツの音響を、自分の耳で直接聞く形となります。このように、体験者が身体の動きの自由をほとんど制限されない状態で、空間移動型のVRを体験できるというのが「ABALシステム」の大きな特徴です。

さらにABALシステムでは、体験者の手足の動きを感知しているため、VR内で体験者同士が物を受け渡したり、ハイタッチしたりといったことも可能です。装着後のガイダンスで、こうしたアクションを一通り体験したら、自分の足で隣の会場へと移動して、いよいよ6500万年前の恐竜世界へ出発です。

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恐竜の暮らす森で、ハプニングを乗り越えて目撃したのは……!?

目の前には、巨大な恐竜たちが暮らしている緑豊かな森が広がっており、その中を流れる川を、全員でイカダに乗って移動していくのですが……もちろん道中を無事に進んでいけるわけもなく、途中からは恐竜たちを避けて、自分の足で歩くことに。

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他の体験者の存在を確認しつつ、VRの中を歩くというのは、なかなか新鮮な感覚です。HMDを装着して自分の足で歩くとなると、どうしてもおっかなびっくりになりがちなのですが、本作では非常に身軽で動きやすいので、自然な感じで歩くことができます。

実際に体験してみて、ヘッドホンをせずに自分の耳で周囲の音を聞くことができるという点が、移動の際の不安感をかなり和らげてくれていると感じました。

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歩いている途中で足下の地面が急に崩れたり、目の前を覆うクモの巣をかき分けながら進んだりと、ドキドキするハプニングを味わいながら進んでいきます。最後には、6500万年前の大空に、巨大な彗星が長い尾を引いて輝くという壮大な光景を目にして、約15分ほどで体験は終了しました。

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HMDを外して驚いたのは、「この会場って、こんなに狭かったの!?」ということです。VRで描き出される広大な恐竜世界を眺めながら、自分の足で歩き回っていたために、もっと広い場所にいるような錯覚を味わっていたのです。

じつはこの体験会場は、ふだんはテレビ朝日の会議室なのだそうですが、そんな何の変哲もない室内を、まるでテーマパークのアトラクションのような変化に富んだ場所だと感じることができるのが、VRの持つ力だと改めて実感できました。

アイデアにあふれた運営の裏側を、開発スタッフに聞いてみた

『アバル:ダイナソー』を制作した株式会社ABALは、劇場映画などの映像制作で知られる株式会社ロボット(ROBOT)と、リアルタイムCG・VFX分野に強みを持つ株式会社wise、画像認識・位置測定・空間認識技術などを活用したソフトウエア、ハードウエアの企画・開発を行う株式会社A440の3社で設立された、ジョイントベンチャー企業です。

体験後に、株式会社ABALの高橋良昌取締役にお話を伺うことができました。

空間移動型のVRシステムを開発するにあたっては、PCを背負って移動するといった形も検討されたそうです。しかし高画質な映像を追求するよりも、装備を軽くして動きやすくするほうが、より没入感が高まるだろうと考えて、現在のシステムを選んだとのこと。

また、ヘッドホンを装着せずに会場に流れる音を直接耳で聞く形となっているのは、体験者同士で会話できるようにする意図があるそうです。これは、体験者同士が互いにリアクションして会話を行うことが、一番の共有体験になるはずだという考えに基づくものです。

上でも紹介したように、体験後にHMDを外して現実の会場を見てもらうというのは、VRと現実のギャップを楽しんでもらうために、あえてやっているのだとか。

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会場を見回してみると、地面が崩れる箇所には床に断熱材を敷いて、歩く際の感触を変えるといったことが行われています。

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また、扇風機で風を送ったり、芳香剤で森の香りを室内で漂わせたりといったことも。高橋さんは「ハイテクなように見えて、意外とアナログなお化け屋敷のようなこともやっています」と語っていました。

取材時には公開開始からすでに約半月ほど経過していましたが、毎回体験人数が全て埋まるほどの人気ぶりで、体験者の反応も非常にいいそうです。

なかでも驚いたのは、体験者の中でVR酔いを感じる人がほぼいないという点です。むしろ逆に「他のVRでは酔ったけどこれは大丈夫です」という人がいるのだとか。

高橋さんによると、その理由は表示の遅延を徹底的に減らしているため、体験者の動きと視界の間にズレが起きていないからだそうです。また、VRの中に1人だけでいると不安感が高まって、酔いにつながってしまうのに対して、本作では一緒に体験している他の人をVR内で確認できるため、その安心感によって酔いを払拭できるとのことです。

また今回の「テレビ朝日・六本木ヒルズ 夏祭り SUMMER STATION」は、夏休みのイベントということで、小学生の児童も多数来場しています。VRは通常、13歳以上という年齢制限が設けられることが多いのですが、『アバル:ダイナソー』は主催者であるテレビ朝日の判断によって、保護者の同意があれば8歳以上の児童でも体験できる形になっています。恐竜が題材となっているため、小学生の関心も非常に高いだけに、この英断には感謝していますと、高橋さんは語っていました。

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恐竜たちの暮らす世界を自分の足で移動できるという体験自体の面白さもさることながら、身軽な装備で空間移動型のVRを実現したABALシステムへの技術的興味、そして会議室サイズの室内でテーマパークのアトラクションに匹敵する体験を実現した運営面と、『アバル:ダイナソー』はVRに関心のある人にとって、非常に見どころの多いものとなっています。さまざまな体験型VR施設が割拠するこの2017年の夏の中でも、ぜひその魅力を味わってもらいたいコンテンツです。

この記事を書いた人

伊藤誠之介
いろんなところで、ゲームやアニメに関する記事を執筆しています。新たなエンターテインメントとしてのVRにも興味シンシンの、元マイコン少年です。 Twitter:@ito_seinosuke

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