現在発売中のVITUREのスマートグラスのなかでフラグシップ機にあたる「VITURE Beast」。スマートフォンやPC、ゲーム機と接続して、映像と音楽を楽しめる映像特化のウェアラブルデバイスだ。
価格は税込82,880円と、現在展開中の「VITURE LUMA」(税込64,880円)や「VITURE Pro 2」(税込49,880円)と比べると、やや高め(※LUMAの上位版である「VITURE LUMA UlTRA」は税込89,880円)。
しかし、このグラスにしかない様々な特性があるため、最新モデルと比較して検討する価値はある。今回は、この機種を実際に触った感想をレポートしていく。
最も大きな違いは「3Dof対応」
まずは現行4機種のスペックを一覧表にして紹介する。
| 項目 | VITURE Luma | VITURE Luma Ultra | VITURE Pro 2 | VITURE Beast |
| 価格(税込) | 64,880円 | 89,880円 | 49,880円 | 82,880円 |
| 重さ | 77g | 83g | 63g | 88g |
| 視度調整(近視調整) | あり(0D〜-6.0D) | あり(0D〜-4.0D) | あり(0D〜-5.0D、左右独立) | なし |
| 解像度 | 最大1200p(片目1920×1200) | 最大1200p(片目1920×1200) | 最大1080p(片目1920×1080) | 最大1200p(片目1920×1200) |
| 視野角(FOV) | 50° | 52° | 50° | 58° |
| 最大輝度 | 1000ニト | 1500ニト | 1600ニト(体感ピーク輝度) | 1250ニト |
| 音響 | AAC System(空間オーディオ内蔵) | HARMAN AudioEFX(空間オーディオ内蔵) | AAC System(空間オーディオ内蔵) | HARMAN AudioEFX(空間オーディオ内蔵) |
| 空間トラッキング | — | 6DoF対応(別売のネックバンドが必要) | — | 3DoF内蔵 |
※数値はいずれもVITURE公式サイトの製品仕様より。空間トラッキングの「—」は公式仕様に記載なし
こうしてみると、58度という視野角の広さが、このデバイスの分かりやすい個性だ。視野角の広さはそのまま映像を大画面で見る際の幅の広さにつながる。
とはいえ、解像度や明るさを表すニット数には現行機とそれほど大きな違いはない。また視度調整ダイヤルが今回は削除されているため、これまでのVITUREの強みだった「(ある程度)近視であってもレンズを購入せずに使える」という魅力は無くなっている。また、これまでの機器と比べると重量がある点も気になる。
しかし、この機器の大きな魅力は「3Dof機能(アンカー機能)」がある点だ。3Dof機能があれば、ユーザーの頭部の位置に合わせて、特定の場所に映像を固定できる。これまでのVITUREは、自分が首を傾けてると、それに合わせて映像が傾く状態がデフォルトとなっており、特に大画面で映像を視聴したり、ゲームで遊んだりする際に、首の傾きにともなう映像のズレが気になることがあった。また、これまでのVITUREシリーズでは画面のカスタマイズを行うためには、PCやスマホに専用アプリのインストールの必要があったが、このデバイスではある程度単独で調整ができる点も強みだ。
実際に試して分かる真価
今回、本デバイスを実際に試してみた。
結論から言えば「映像を観賞する」という用途であれば、十分なクオリティだ。SONYのOLEDディスプレイを採用している影響で光のコントラストがはっきりしており、映像の色合いもハッキリしている。先述の「3Dof機能(アンカー機能)」があるため、ソファに座ったり、ベッドに寝転がっている状態でも、視聴中に映像がぶれにくいため観賞体験が快適だ。
細かい点だが、見逃せないのは「VITURE Beast」単体だけで、スクリーンサイズや目からスクリーンまでの距離なども調整できるところだ。この機能があることで、視野角的に入りづらい映像の調整などを自前である程度までコントロールできる。
また感動できるのは、音の部分だ。HARMANの空間オーディオシステムによって、音が立体的な広がりをもって聴こえるのだが、その性能が良い。さすがに、高級イヤホンのような空間に没入しているような感覚までには至らないものの、迫力のある音響効果のある映画や、スタジオでの音楽ライブ、ASMR動画など、立体感を得られることが重要なコンテンツでも、音の広がりを確かに感じられた。オープンイヤー型なので通勤中や静かなオフィス内などでの使用は遠慮した方がいいが、プライベート空間ではなるべく音を大きめにして視聴すると、いつものスマホで映像を見るのとは違う特別感があった。
ただし、残念な点もある。個人的に最もそれを感じたのは、視度調整機能の削除だろう、メガネユーザーとして、VITUREが他のスマートグラスブランドと違って最も嬉しかったのは、メガネを外した状態でそのまま映像を視聴できる体験だった。もちろん、専用のレンズを追加購入して装着したり、コンタクトを使用したりすれば解決する問題だが、その分手軽さは無くなった印象だ。
また、他のVITUREシリーズに比べると、重さも少し気になる。著者の場合、スマート蔵はノートPCにデバイスを繋いでオフィスワークに利用する用途が多かったのだが、今回のグラスは使っていると徐々にずり落ちてくる。長時間使用するなら、ソファやベッドに寝転がって、「3Dof機能(アンカー機能)」モードをオンにして遊ぶのが一番快適だろう。なので、仕事用途よりも映像視聴やゲーム視聴など、娯楽特化の使い方がおすすめだ。
他ブランドと比較したうえで、おすすめできるか?
競合製品との比較も気になるところだ。価格帯として比較できるとすれば、「XREAL One Pro」「RayNeo GT Max ARグラス」が候補になるだろう。
| 項目 | VITURE Beast | XREAL One Pro | RayNeo GT Max |
| 価格(税込) | 82,880円 | 84,980円 | 67,980円 |
| 3DoF対応 | あり(3DoF内蔵) | あり(ネイティブ3DoF。別売のXREAL Eyeで6DoFにも対応) | あり(ネイティブ3DoF) |
| 最大輝度 | 1250ニト | 700ニト | 1200ニト |
| 視野角(FOV) | 58° | 57° | 59° |
| 解像度 | 最大1200p(片目1920×1200) | 1080p | 1920×1080 |
| 音響 | HARMAN AudioEFX | Bose監修のチューニング | Bang & Olufsenと共同チューニングの4スピーカー |
※各社公式サイトの仕様より。RayNeo GT Maxの価格は通常価格、輝度は非固定モード時の値
比較してみると、とても悩ましい。いずれも3Dof機能があり、スペック的に大きな差が出ているとは言い難い。
XREALは2D映像をリアルタイムで立体視(3D)に変換する機能をデバイス単体で有しているので、そこに魅力を感じるのであれば「XREAL One Pro」に軍配が上がる(※VITUREの場合、類似した機能を使うには専用アプリが必要)。
しかし、映像のニット数や解像度の高さを考慮するなら「VITURE BEAST」も十分におすすめできる。「RayNeo GT Max ARグラス」も視野角の広さを何より優先するのであればアリだろう。ここまで来ると、もはやブランドへの愛着やデザインの良さなども決め手のポイントになってくる。セールや特典などのある期間に、あらためて比較しても良いのかもしれない。
繰り返しになるが、ベッドに寝そべって映画やゲームを存分に楽しみたいなら、「VITURE Beast」は現時点で、とても満足いくデバイスと言えるだろう。
購入サイトはこちら:https://www.viture.jp/product/viture-beast-xr-glasses




