7月17日秋葉原のAKIBA_SQUAREでUnity VR EXPO AKIBAが開催され、39のコンテンツが展示されました。
これだけのコンテンツが揃うと全てを体験するのは困難でした。筆者が体験できた31のコンテンツの中から注目のものを紹介していきます。
HTC Vive、Oculus、スマホを使ったものとがあり、特に目立ったのはHTC Viveを使うコンテンツで、クロマキー合成によってVR空間を体験している人と、VR空間の映像を重ねて見せていたブースです。
『CIRCLE of SAVIORS』株式会社PDトウキョウ
グッドコンテンツアワード1位、プレイヤーズチョイスアワード4位
HTC Viveを使用します。現実では緑色の布に覆われたブースにいますが、VRの空間はコロッセオの中央です。左手コントローラーで盾を掴み、右手コントローラーで長さ1m程の剣を掴むと、隣には大きな杖を持った魔法使いのユニティちゃんがいます。コロッセオの出入り口から二足歩行のモンスターが大きな斧を持ち360度の方向からわらわら向かってきます。
目の前で視界を覆うほどの巨大なモンスターが、筆者の身長サイズの斧を振り上げてきたのを盾で防ぐと「カアン」と斧を弾く音。右手の剣を横一閃に薙ぎ払うとモンスターが吹っ飛んでいきました。音と映像から本当は感じていないはずの盾の重さや、剣の長さを感じます。
真後ろなど死角からやってくるモンスターはユニティちゃんがファイアーボールで援護してくれます。もちろん周りにいるブースのスタッフさんも「後ろ!後ろから来てます!」とアドバイスがとびます。
子供の頃からの夢だった剣と盾でモンスターと闘える、しかも隣には美少女魔法使い。このプレイ中、今までならばコントローラーを持って振り回している人と、モニターでモンスターが襲ってくる体験者の視点の映像を見るだけでした。しかし、今回クロマキー合成のおかげでVR空間でどう戦っているのかまるで、体験者自身がゲーム内のキャラクターのように、周りの人達が見られるようになったことは体験者自身にも周囲のプレイヤーにとっても大きなポイントです。
これまで、「VRHMDをつけていると周りからは何をしているかわからないから、不気味に感じる、間抜けに見える」と言われることがありましたが、この方法により大きく変化します。このブースでは、実際にプレイが終わると見ている人達から拍手が起きることがありました。これからクロマキー合成を使うことでVRコンテンツでの実況プレイがエンターテイメントとして十分成立する可能性を感じました。
開発元:株式会社PDトウキョウ
『The Gunner of Dragon』サークルハイドレジャー
プレイヤーズチョイスアワードで1位、グッドコンテンツアワード2位受賞。右は製作者の野生の男氏
空飛ぶドラゴンの背に跨り、襲いかかる敵ドラゴンを空中で撃ち落とすシューティングゲームです。
HTD Viveと健康マシンのJOBAを組み合わせて、空を飛ぶドラゴンが上下に揺れるように、実際にJOBAに乗った体験者も揺れ、美しいCG背景と合わせて臨場感たっぷりなコンテンツです。美しい風景にみとれてしまいドラゴンを倒すことを忘れてしまいそうになりました。
何度か体験しているタイトルですが、展示するごとに改良が加わり初期のものとは別と言っても過言ではないくらいクオリティが上がっています。
開発元:野生の男氏
『ピナのフォトセッション』株式会社シーエスレポーターズ
ドスパラ/GALLERIAブースでも、HTC Viveとクロマキー合成で周りに見せるタイプの展示をしていました。展示内容は高校の敷地で女子高生ピナちゃんの撮影会をするものです。
次々に可愛いポーズを取るピナちゃんを360度あらゆる方向、近距離から遠距離までカメラで撮影していきます。
はじまりは学校の中庭です。移動はコントローラーを行きたい方向に向けてボタンを押すワープ方式です。掲示板の前にカメラがあり、カメラをコントローラーで掴むとスタートです。「今日はよろしくお願いします」と背後からの可愛い声で振り向くと遠くにセーラー服姿の女子高生が待っています。ワープして近づき、ご挨拶されたらば、「こうですか?」「どうです?」「だんだん慣れてきましたー」とおしゃべりしながら次々とポーズを取っていきます。後ろに歩いて回りこむと首をまわしてこちらを目で追いかけてきます。どこにいても必ず目線と笑顔をカメラに向けてくれます。しゃがんでローアングルからの撮影も、10センチの近さに顔を近づけての撮影もできます。
中庭の離れたベンチにはイケメン男子高生も座ってスマホを見ているのですが、彼らに近づいて撮影もできます。残念ながら反応はしてくれませんでした。
約2分間の撮影会ですが、可愛らしいピナちゃんはいくら撮っても飽きません。思わず頭を撫でてしまいましたが、反応はありませんでした。
こちらもクロマキー合成で回りの人から女子高生のまわりを回っているのが全て見えています。TOKYO GAME SHOW 2016にも出展が決定しているとのこと、行かれる方は体験してみてはいかがでしょうか。
開発元:株式会社シーエスレポーターズ
『LABOTA』株式会社ViRD
グッドコンテンツアワード4位受賞
こちらは今回出展していた中でも特にユニークでした。VR空間ですることは「ミニ四駆を作ること」そして「プログラミングを体験すること」だからです。
HTC Viveを装着し、机の前に座ると、目の前にはボタン、押すとミニ四駆の部品が並んだ棚がおりてきます。シャーシをとり、乾電池を2本取り付けると勢いよく走り出していくので、2本目の乾電池をはめると同時にボディを上から被せます。一瞬にしてできあがったミニ四駆が机の上を走り去っていきました。
次は棚に入っているのは「ON/OFF」のスイッチがついた箱と、点いてる又は、消えている時間を変更できる箱。LEDライトがついた基盤です。
ミッションは上からライト、スイッチ、長さ変更、スイッチ、長さ変更の順番に箱を積み上げていくもの。コントローラーで箱を積むのは難しく、何回か崩壊させましたが、完成させると、ライトが点滅するようになります。長さを変更するゲージをいじると点滅のタイミングも変わります。これがまさにプログラミングの原理になっていました。VR空間でライトの点滅をプログラミングするという初めての体験でした。終わってHMDを外すと実際にVR空間で見たようなライトが置いてあります。このライトは先ほどまで作っていたプログラミング通りに点滅するようになっていました。
VR空間でプログラミングしたものを現実でも実際に見ることができるという、VRと現実が繋がるコンテンツです。エンターテイメントとしても面白いですが、教育コンテンツとしても実用的でもの作りに興味を持たせるものでした。自分が組んだ通りに光ったり消えたりするライトを見ると感動を覚えました。
開発元:のしぷ氏@noshipu
『介護訓練VRシステム』株式会社スリーディー 共同研究:豊橋技術科学大学 機械工学系 システム制御研究室
これもエンターテイメントではなく訓練用、Kinectという全身の動きをVR空間で再現できるものとOculus Rift CV1で一人では動け無いお年寄りを持ち上げ、車椅子に載せる介護体験です。
病院の一室、目の前のベッドにはお年寄りが寝ています。両腕を伸ばして肩の下と膝の下に入れ持ち上げます。CGなので重さがなくすんなり持ち上げられますがこれは訓練、行動は物理演算され、現実で不可能な速さで動かすとお年寄りが大暴れ、窓に頭から突っ込む自体に。やり直しボタンで無かったことにして再チャレンジ、ゆっくりやったつもりですが、まだ速かったようで気づけばお年寄りは床に投げ出されてしまいました。まだまだ練習が必要です。
今後は逆パワードスーツとでもいうような60kgの人を抱えた負荷がかかるようなスーツを開発して、より現実に近い訓練ができるようにするとのことでした。