「VRChat」向けアバターなどを展開してきたU-Stella株式会社が、11月11日をもって新規プロジェクトの中止と事業縮小を行うことを発表しました。
公式サイトでは、具体的な動向が記されています。以下に列記します。
・「VRChat用3D Model カリカチュア「TWIN」(ツイン)」の制作中止
・「VRChat用3D Model CCD-0001[UNI]」の発売を未定へ延期
・10ヶ月連続リリース企画「プロジェクトソルシエル」は11月のリリースをもって中止
・事業縮小に伴い、従業員数の縮小、「VRChat」向け3Dアバター市場からの撤退、固定費の削減、固定資産の売却も実施
・「プロジェクトソルシエル」の価格改定にともなう返金対応は、10月付けで連絡したユーザーに対しては対応完了。ただし、11月以降の新規での返金対応は中止
・VRChat向け3Dアバター市場からの撤退に伴い、昨年より中断していたASMRバイノーラル音声作品の新規制作販売を再開
U-Stella株式会社は、「VRChat」向け3Dアバターを数多く展開してきました。2021年には「CCD-0500[FEE]」を、2022年7月からは「ソルシエルシリーズ」として、「レノン」「ノイ」「メロル」「シュウカ」の4体が発売されています。
価格は、「CCD-0500[FEE]」は44,000円、「ソルシエルシリーズ」も当初は18,000円。「VRChat」向けアバター市場では、ベースとなる価格は5,000円前後であることが多く、このため同社販売アバターはいわゆる「ハイエンド路線」に位置づけられていました。
ところが9月3日、「ソルシエルシリーズ」の「レノン」と「ノイ」が5,000円へ価格改定。以後発売された「メロル」「シュウカ」も同じ価格で発売されているほか、改定前の価格で購入した人への差額返金対応も実施していました。これにより、ユーザーにとって手に取りやすい商品となりました。
別にソルシエルすごい売れてなかった訳ではないしなんならフィーちゃんよりは販売数多かったんだけど、ソルシエル12人=フィーちゃん1人の絶対的な価格差には敵わなかった
単純にフィーちゃん300ならソルシエルは単体3600売れる必要があるもの
あと販売数増えるとお問合わせ数増えるのはやっぱり致命的— しらとりこよみ(ALO)手術中につき不在 (@ko_shiratori) November 10, 2022
大体販売数3件あたり1件はお問い合わせ対応が来るんだけど、お問合せ対応ってどんな内容でも返答するだけで3,000円くらいは工数かかるし修正するってなったら10,000〜100,000円くらいかかるのに対して
販売額5,000円は赤字必然なの。
人を雇って制作だと長期的な修正費用は確保する必要ある。— しらとりこよみ(ALO)手術中につき不在 (@ko_shiratori) November 9, 2022
価格を下げた事自体は多くのお客様の手に取ってもらえたと言う点で良かったと思ってる。
長期的なお問い合わせ対応やバグ修正等のアップデートに充てられる売上を確保出来なかったのは良くなかったと思ってる。
5年後にもアプデが必要とされるVRC製品において売上は多めにあるに越した事はないと思う。— しらとりこよみ(ALO)手術中につき不在 (@ko_shiratori) November 10, 2022
今回の事業縮小や「VRChat」向け3Dアバター市場撤退の理由は明言されていません。ただし、U-Stella株式会社・代表取締役CEOのしらとりこよみ(ALO)さんのツイートからは、販売価格改訂による売上確保の難化、それに伴うアップデート対応費用や問い合わせ対応工数の維持の困難さがうかがえます。
「VRChat」向けアバター市場には現在、ホビーメーカーのコトブキヤ、書籍やグッズの企画制作・出版・販売を行うツクルノモリ株式会社、アパレルブランドやECサイトなどを展開する株式会社アダストリアなど、様々な業種の法人が参入しています。そして、これらの企業でもU-Stellaと同様の問題が発生し得る、と言えるでしょう。
個人クリエイターが大きく活躍する「VRChat」向け市場、ひいてはメタバース市場において、法人がどのように立ち回るべきか。模索はこれからも続きそうです。
キャラクター名を文章に入れて、みんながユーステラのアバターやアイテムを使っている様子をTwitterに投稿してほしいな👻一人ひとりの力が大きな宣伝になるかも?みんなの投稿待ってるね〜!
— ユーレイちゃん👻「シュウカ」発売中!@U-Stella公式 (@U_StellaWeb) November 11, 2022
(参考)公式サイト