9月26日から9月29日まで、ゲーム業界の最前線を知る総合展示会「東京ゲームショウ2024」が開催されました。
このイベントでは例年多くの団体が出展し、昨年は787団体でしたが、今年は985団体という過去最多の数となりました。しかし、VR/ARコーナーの出展数は、昨年は35団体で、今年は16団体。出展数が半分以下です。その背景には、Meta社のVR/AR開発者向けカンファレンス「Meta Connect」のスケジュールがTGS開催期間と被っていたり、PICOやHTCなど大手VRデバイス開発企業の新規発表会が、9月後半に集中していたりしたため、各VR業界関係社(特に海外)はそちらに集中せざるを得なかったという事情があります。
そのため、TGSの正直コーナーの規模感としては少し寂しいものがありました。ですが各ブースはとても熱気を帯びていたと感じます。筆者はビジネスデイの9月26日に参加し、現地取材を行いました。その中で気になったVR/ARデバイス、コンテンツをご紹介します。
自分だけの異世界メシをつくれる「ソード・ビストロVR」
株式会社VR IMAGINATORSが開発するVRアクションゲーム。飛んでくる食材をコントローラーで斬って、調理し、異世界モノの作品に出てくるような料理を作ります。調理にはAIの処理が入るため、一度きりの自分だけの料理になります。斬る食材の種類や数、コンボ数によって結果が変わるので、シンプルながら何度でも楽しめるゲームです。
コントローラーに剣の柄のようなパーツを取り付けており、剣を振るう感覚でプレイできます。この柄が握りやすくゲームの没入感が非常に上がりました。
(実際にプレイして作った豪華な異世界メシをプリントしてもらいました!)
また、今年のTGSは、全体的にインディーゲームの展示が熱く、協賛企業のサポートで、インディーゲーム開発者がインディーゲームコーナーに無料で出展できる「Selected Indie 80」枠がありました。VRゲームもいくつか選ばれており、今後台頭してくるタイトルもあるかもしれません。
タイトル:ソード・ビストロVR
ジャンル:AI異世界料理アクションVR
制作会社:株式会社VR IMAGINATORS
プレイ人数:1名
対応ハード:PCVR(Meta Quest 2, Meta Quest Pro, Meta Quest 3 など)
価格:500円(税込)
ストアページ:https://store.steampowered.com/app/3146050/VR/
公式X:https://x.com/sword_vri
指ぬきグローブでハンドトラッキングを体験!「StretchSense Studio Glove」
StretchSense社のモーションキャプチャー用グローブを体験できるブースもありました。。指ぬきグローブのような形状で、グローブの伸縮によって手の動きを検知する仕組みとなっています。価格は、126,500円。このような高価で体験する機会をなかなか得られないトラッキングデバイスに出会えるのも、現場へ行くメリットと言えそうです。
実際に試してみました。グローブの指に沿って取り付けられているゴムの伸縮で動きを認識しており、ぴっちりとした装着感は動きを認識するためです。サイズはS、M、Lとあり、画像の製品はMサイズでした。
キャリブレーション設定の方法は、画面に表示された手のポーズをいくつか行うのみで、非常に手軽でした。動きにラグはほとんどなく、体感としてはとても良かったです。若干親指の動きが怪しかったですが、キャリブレーションをもう少し丁寧にしていれば改善できたかと思います。バーチャル空間で、ピアノの演奏や手話など指の動きを重視するような動作を行いたい方は試していただきたいです。
対応するソフトは「VirtualMotionCapture」「Warudo」「Unity」「UnrealEngine」で、手の動きをリアルタイムで送信できます。いずれはVRChatへも導入したいと語っていました。
詳しいレビューについてはこちらから
タイトル:StretchSense Studio Glove
制作会社:StretchSense社
対応アプリ:VirtualMotionCapture、Warudo、Unity、Unreal Engine
価格:126,500円
公式X:https://x.com/StretchSense_JP
ロボットアニメの世界に没入!「QuantanoID(クオンタノイド)」
QuantanoIDは、アバターアプリ「Make Avatar」や、VRChatの一大イベント「SANRIO Virtual Festival」の企画制作などを行う株式会社Gugenkaが制作するVRロボットバトルゲームです。「クオンタノイド」と呼ばれるロボットを操作して、敵と戦います。
コックピットの搭乗シーンや出撃シーケンスが、ロマンある演出になっており、とてもワクワクできます。
展示ブースには、コックピットを模したシートが設置されていました。シートにはMeta Quest 3のコントローラーが、レバーのように取り付けられており、まるでアニメで見るようなロボットの操縦桿そのものです。
実際にプレイしましたが、コントローラーのトリガーを引いてショットを撃つところなど、まさにロボットバトルアニメの世界そのもの。また遠距離だけでなく近距離武器もあり、敵と間近で争う迫力のある接近戦も楽しむこともできます。敵機は回り込んで襲ってくるなど、予想外の攻撃を出してくることもあり、難易度的にも歯ごたえがありそうです。
現在、開発のためのクラウドファンディングを開催しています。この体験版からどのように進化するのか、期待が高まります。
クラウドファンディングはこちらから
タイトル:QuantanoID
ジャンル:VRロボットバトルゲーム
制作会社:株式会社Gugenka / 株式会社インフィニットループ
プレイ人数:1名
対応ハード:Meta Quest
価格:未定
発売日:2025年2月発売予定
公式サイト:https://quantanoid.com/
公式X:https://x.com/QuantanoID
可愛らしい世界観に癒される「ネフィ〜月明かりの迷宮〜」
「ネフィ〜月明かりの迷宮〜」は、株式会社トムクリエイトが制作するVRアクションパズルゲームです。プレイヤーは異世界から召喚された伝説の勇者です。封印された月の女神を救うため、見習い巫女のネフィと共に冒険に出ます。
3人称視点でネフィやステージの仕掛けを操作して、ステージを進んでいきます。同行するネフィは、猫と猫耳の女の子と2つの姿があり、どちらかの姿でしか突破できない仕掛けがあります。上手くネフィを導いてステージをクリアしていきましょう。
また、ステージ上でネフィと触れ合うこともでき、プレイヤーの上からの視点で、小さなネフィを撫でたりできるのはとても癒されました。
ネフィの声を担当したのは声優の井澤詩織さんです。チェンソーマンのポチタ役やメイドインアビスのナナチ役を務めた経歴があります。
タイトル:ネフィ~月灯りの迷宮~
ジャンル:VRアクションパズルゲーム
制作会社:株式会社トムクリエイト
プレイ人数:1名
対応ハード:Meta Questシリーズ
価格:未定
公式サイト:https://www.tomcreate.co.jp/neffy/
公式X:https://x.com/TOM_CREATE
おなじみのキャラクターが箱の中にいる!?「デジタルフィギュアボックス」
GateBox株式会社は、デジタルフィギュアボックスシリーズを展示していました。デジタルフィギュアボックスとは、3Dモデルのキャラクターの鑑賞ができるキットです。手持ちのスマートフォンで、ダウンロードカードを読み取り、デジタルフィギュアをダウンロード。そのままスマホを箱の中にセットすれば、自由にお部屋に飾ることができます。箱の中の3Dキャラクターには複数のモーションパターンがあり、箱の中で生活しているかのような仕草やコミカルなアクションを見せることも。「ONE PIECE」のルフィや、歌声合成ソフトでお馴染みのずんだもんなどのラインナップが販売されています。
注目はなんといっても「ONE PIECE」のルフィ版です。作者の尾田栄一郎先生がGateBoxを気に入ったことがきっかけで、実現した商品とのこと。制作にあたっては、尾田先生からルフィの動き方について、様々な要望があったようです。開発していた期間に、「ONE PIECE」本編では近未来的要素を含む話が進んでいたため、原作ファンの筆者としても、コラボのマッチング度は非常に高いと感じました。さらなるコラボや、他のキャラクターの実装もとても楽しみです。
タイトル:デジタルフィギュアボックス
制作会社:Gatebox株式会社
専用アプリ対応OS:iOS、android
価格:「デジタルアートボックス モンキー・D・ルフィ」8,800円
公式サイト:https://www.gatebox.ai/digitalfigurebox
公式X:https://x.com/gatebox
AIキャラクターが接客してくれるサービスが登場「AI売り子」
AI売り子は、生成AI「GPT-4o」を使用した接客サービスです。先述のデジタルフィギュアボックスと同じくGateBox株式会社が開発しています。
箱の前に立つと画面のずんだもんが商品の売り込みをします。前方にはカメラが付いており目の前の人の性別、年齢を判断して声をかけるようになっています。
カメラに映っている人が何を着てるかを判断するようになっており、筆者がジャケットを着ているのを確認して、「ジャケット似合ってる〜」とヨイショしてくれます。やり手のすんだもんです。
さらに、91カ国の言語に対応しており、変更したい言語の札を見せることで簡単に言語設定を変更できます。このサービスは小売店向けに展開していくとのことなので、近い将来、街先でずんだもんに呼び止められて、商品のアピールを聞くことになるかもしれません。
タイトル:AI売り子
制作会社:Gatebox株式会社
価格:未公開
公式サイト:https://www.gatebox.ai/aiuriko
公式X:https://x.com/gatebox