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VRゲーム・アプリ 2024.12.18

正式版「進撃の巨人VR: Unbreakable」レビュー 立体機動の爽快さをVRで再現 歯ごたえのあるミッションに立ち向かえ!

筆者が十数年前、ふと書店に立ち寄ったときに買った漫画「進撃の巨人」。おぞましい巨人と、なすすべもなく食われていく人々、その恐怖に立ち向かう兵士たちの勇ましさは、大きな衝撃を与えました。その後、破竹の勢いで人気を獲得した本作に、心を踊らせたのは自分だけではないでしょう。

そんな進撃の巨人をVRゲーム化した作品が「進撃の巨人VR: Unbreakable」です。2024年夏にはアーリーアクセス版が発売されていましたが、Meta公式ストアの週間ランキングで1位になるなど、 VRでも大ヒットを記録しています。この度正式版がリリースされる本作では、進撃の巨人の魅力をどこまで再現できたのか、今回追加された新要素に触れつつ、本編全体の見どころを紹介します。

襲いかかる巨人に立体機動で挑め!

「進撃の巨人VR: Unbreakable」は、VR/MRヘッドセット「Meta Quest」シリーズにてリリースされたVRアクションゲームです。プレイヤーはいち兵士としてミッションに挑み、巨人と戦っていくこととなります。

進撃の巨人を語る上で外せないのが、人間を食う「巨人」とワイヤーで移動する「立体機動」の存在。人類の天敵となる巨人を倒すため、立体機動装置で縦横無尽に立ち回るも、あっけなく巨人に食われていく兵士たちの姿に唖然としたファンも多いでしょう。進撃の巨人VRでは、原作のキモとなるその2つの要素をしっかりと再現しています。

まずは立体機動の解説から。ゲーム中に両手のコントローラーで壁や巨人を狙うとターゲットが表示され、トリガーボタンを押すとワイヤーが射出されます。その状態で肘を引く動きをするとワイヤーが巻き取られ、ターゲットに向かって勢いよく近づけるのです。両手のターゲットを重ねれば、目標へ直進的に移動できる「フォーカス移動」も出来ます。


(公式提供資料より)

これが恐ろしく爽快で、猛スピードで街を駆け抜け、巨人の背後を取って斬りつける体験は、他のVRゲームではなかなか味わえません。タイミングよくボタンを離せば空中に飛ばされ、街を一望できるのも爽快。動きにはクセがありますが、慣れてくると空間にとらわれない自由な移動ができるようになります。

なお、この手の激しい動作で心配となるのが「VR酔い」ですが、本作は対策がしっかりしているのか、筆者の場合はあまり酔いを感じることはありませんでした。これまでにVRゲームを遊んできた方なら大丈夫かと思います。ちなみに、今ゲーム開発のUNIVRSは、過去に「リトルウィッチアカデミアVR ほうき星に願いを」で、“VR酔いしにくい空中飛行”を目指して制作したという実績があります。

そして、プレイヤーが挑むことになる巨人たち。原作同様どこか憎めない姿をしていますが、ゲームでも巨人に食われる恐怖はしっかりと再現しています。巨人たちは積極的にプレイヤーを攻撃し、手で掴んで捕縛し、頭からガブリ! 原作ファンにとっては一度は体験したいシーンではありますが、ゲーマー、もしくは人間の本能的にはあまり何度も食われたくないので、両手の刃で巨人の指を斬って脱出を図ることとなります。

巨人の攻撃範囲はかなり広く、例え上手くかわしたつもりでも、気づけば掴まれてしまったことがありました。特に複数体を相手していると、片方に気を取られるあまり、別の巨人に掴まれたという場面がよく起こります。また、巨人を斬りつけていると刃がボロボロになって交換が必要になるのですが、肝心なときに刃がなくて巨人に食われてしまうという、原作の絶望的な状況を追体験することになりました。

驚異的な強さを誇る巨人ですが、原作同様うなじが弱点なので、ここを狙って斬りつけるのが非常に重要となります。もしくは手足の部位を攻撃して行動を封じ込めることも可能。恐れ過ぎず、勇気を持って挑みましょう。

待ち構える高難易度のミッションを突破せよ!

2024年7月にリリースされたアーリーアクセス版では、キャンペーンモードの前半までを収録していました。今回新たにキャンペーン後半が追加販売され、原作でも強敵だった「鎧の巨人」との戦いも楽しめます。

キャンペーンモードは、街を立体機動で駆けて目的地に到達し、巨人の撃破などのミッションをこなしていく内容です。移動中は仲間の兵士も一緒に立体機動で駆け抜けてくれますが、戦闘中は基本的にひとりで巨人と戦わなくてはいけません。

本作は、VRゲームとして難しい部類に入ります。正面から巨人に立ち向かっても致命傷は与えられず、簡単に掴まれてしまいます。そのため、立体機動を使って上手く背後を取るか、足を斬ってダウンさせることが求められますが、立体機動や斬撃のコツを掴まないと、なかなか巨人に太刀打ちできません。しかもミッションが進むほど、一度に対峙しなくてはいけない巨人の数が増加します。

特に難しいのが、拠点防衛ミッション。一定時間拠点を巨人から守らなくてはいけませんが、何体もの巨人を行動不能、もしくは引き付けなくてはならず、かなり忙しいミッションとなっています。急いでいるとターゲットを目標に合わせるのがズレてしまい、時間をロスすることもしばしば。状況を把握するために頭も使う必要があり、プレイヤーへの大きな壁として立ちはだかります。

また、ミッション中に登場する奇行種は、原作通り予想のつかない動きをする厄介な存在。体力も多めに設定されており、中ボス的なポジションであるのにもかかわらず、ミッションによっては複数体同時に出現します。舐めてかかると間違いなく痛い目を見るでしょう。

そういったミッションで頼りになるのが、強力な武器の存在です。初期装備は原作でもお馴染みのスナップブレードですが、本作オリジナルのブレードがいくつも用意されており、それらを活用していくことで戦闘を有利に進めることができます。ミッションをクリアすれば武器ポイントが獲得できるので、ミッションに何度も挑んで手に入れましょう。また、今回のアップデートで巨人の動くスピードを遅くする「新兵モード」が追加されています。

ちなみに、武器をブンブンと振ることから、意外にも体力を使うゲームでもあります。集中力が減ってきたら、一度休んで再挑戦するのがおすすめです。運動のつもりで遊んでみるのも面白いかもしれません。

アップデートで遊びやすさや新モードが追加、ロードマップも公開

本作は正式版へのアップデートで、Tipsによる操作方法の確認ができたり、スムーズターンの速度調整が実装されたりと、遊びやすさが増しています。これまでのゲームのプレイ記録や称号も確認可能です。地味に、巨人の顔のバリエーションが増えているのがちょっと面白いところ。

また、本編クリア後には「サバイバルモード」も追加されました。100体現れる巨人にノーコンティニューで挑むといったもので、キャンペーンで鍛えた腕試しにちょうどいい内容です。

一方で本編をプレイして気になったのは、後半で追加されたキャンペーン数が少なめな点です。鎧の巨人と戦える大型ミッションが追加されましたが、このゲーム性でもっと多くのミッションを遊びたいと思ってしまいます。また、アップデート後もやや不安定に動作する場面が見られました。今後のロードマップも公開されているので、さらなる最適化や内容の充実に期待したいところです。


(すでに公開されているロードマップ)

人類の反撃はこれからだ!

ここまで本作の魅力を語ってきましたが、本作には協力して巨人に挑めるマルチプレイモードも用意されています。筆者はゲーム発売開始前にレビューをしているため、まだ人が集まらず遊べませんでしたが、このモードが後半の大きな目玉と言っても良いでしょう。グローバルチャレンジも予定されており、今から楽しみです。

進撃の巨人はこれまでもUSJの「XRライド」など、VRアトラクションを展開してきましたが、ついに家庭用VRでも巨人の迫力と立体機動の気持ちよさを体験できるようになりました。ぜひあなたも本作に触れて、心臓を捧げる兵士として巨人たちと死闘を繰り広げてみませんか?

「進撃の巨人VR: Unbreakable」の配信先はこちら。
https://www.meta.com/ja-jp/experiences/attack-on-titan-vr-unbreakable/6103719433003732/

©諫山創/講談社 ©︎ UNIVRS, Inc.


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