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VTuber 2021.03.21

名取さながファンと育んだ絆の集大成「さなのばくたん。 -ていねいなお誕生日会- Powered by mouse」【オフィシャルライブレポート】

※本記事はオフィシャルレポートを元にした記事です。

2021年3月7日(日)、名取さなが初の単独イベント「さなのばくたん。-ていねいなお誕生日会- Powered by mouse」を川崎チネチッタで開催した。エンタテイメントの街「ラ チッタデッラ」内にある映画館チネチッタで、3スクリーンを使った圧巻のライブイベントを披露。

本来であれば2020年3月7日に開催される予定だった本イベントだが、新型コロナウイルスの影響で延期に。再び1年の充電期間を経て、去年できなかった悔しさを“リベンジ”ではなく最高のイベントを作り上げるという気持ちにフォーカスした初の単独イベント。せんせえ(視聴者)を巻き込んだ大喜利企画や、新曲『アマカミサマ』を含む7曲を披露し、一体感を意識したパフォーマンス、持ち前の鋭いトーク力、最高峰のステージングを存分に発揮した記念すべきライブのレポートをお届けする。


大迫力のカウントダウンで観客の高揚感を掻き立てる演出から、一瞬で静寂となったステージ上に名取さなが登場。そこから大画面のモニターに微笑む姿が浮かび上がると、「気合い入れていきますよー!」の言葉と同時に、水を得た魚のように無数のスポットライトがステージを暴れ始める。フルver.初披露となった「エッビーナースデイ」を開幕から披露するサプライズと、圧巻の演出で一気に観客の心を掴んだのが印象的だった。

「せんせえ疲れちゃダメですよ!」の文字通り、念願の初ライブ、目まぐるしい演出、それに加え目の前で歌って踊る名取さなという圧倒的情報量。それを処理しきれないまま2曲目「ファッとして桃源郷」を続けざまに披露された。アップテンポの楽曲に負けじと小刻みに、器用にリズムに乗りながら、煽りを満遍なく取り入れて会場を盛り上げていく。時折、手を大きく振って観客席の調子を伺うたびに、会場のペンライトが更に激しく揺れ動いていた。

続いて、一瞬時が止まったかのような静寂から「ギミー!レボリューション」の歌い出しの透き通る声が会場中に響き渡る。さっきまでのギャップを感じたかと思えば、手を大きく前に広げ、曲が盛り上がるのと同時にギアを上げていく切り替えに、会場のボルテージは反動で大きくなっていく。その様子を目の当たりにした名取さなも「盛り上がりバッチリです!」と特別な空間を全員で分かち合うような振る舞いを見せた。


「今日は来てくれて、見てくれて本当にありがとうございます!」の感謝の言葉から、名取さな自身がデザインしたというステージを紹介していくところから本日最初のMCが展開されていく。最初のライブを終えてホッとした様子からか、解き放たれたようにいつもの軽快なトークで場内を沸かせていた。そして今日はやってみたいことがあると、それぞれのライブ会場に対してのコールアンドレスポンスを展開。3スクリーンとネット配信の4つの会場に対して声を求めるという普段見かけない異例のコールアンドレスポンスは見ていて新鮮だった。

会場や配信を見ている人を巻き込んだ大喜利企画「せんせえと大喜利」がスタート。「二度と行きたくない誕生日会」というお題に対して「大喜利をさせられる」など、名取さなのツボをよくわかっているせんせえ達の回答の数々に、会場は笑いに包まれた。この大喜利企画は、ただ笑いを取る企画ではなくて、せんせえ達自身が名取さなと共に過ごした思い出やこれまでの印象を振り絞って出すような回答が多く見受けられた。ただ面白かったで終わるのではなくて、誕生日らしくこれまでの活動を振り返ることもできる、ファンとの関係性を活かした企画だなと感じた。

そして以前配信でみんなでデザインした誕生日ケーキが大スクリーンに映し出され、サイリウムの光をロウソクの火に見立てて、名取さなが息を吹きかけると同時にサイリウムの光と、ステージ上の照明が落とされた。

光が戻ったステージに王の姿になった名取さなが登場。そのタイミングで「Make it!」のイントロが流れ、再びライブパートがスタートする。キレのあるダンスに、感情のこもった歌が怒涛のように展開される。楽曲に対する愛情を噛み締めながら、やりたいことをやる名取さな。そのスタンスを暖かく見守るせんせえ達の眼差しが共にライブを作り上げているんだなと思わず納得してしまうほど、会場の一体感に衝撃を受けた。

更に衝撃を覚えたのは曲の中盤。プリパラをオマージュする「メイキングメモリー」の演出が突如として映し出された。過去の動画のサムネイルが並ぶ空間を名取さなが全力で駆け走り、「最高の誕生日にせんせえとできたね!」と曲の終盤に向けた最高の演出に魅了された。演出のクオリティだけに止まらず、細部まで作り上げられたこだわりから、作品への愛を体現することができた。

そして続いては、「PINK,ALL,PINK!」を披露。軽やかな横ステップを刻みながらサビでは力強く腕を突き上げていく。はじめてのライブ披露となった本楽曲は、桃井はるこが“名取さな”をそのまま曲に落とし込んだかのような、可愛さやひたむきさが全面に感じ取れる楽曲だろう。とにかく2人のケミストリーが光る代表曲として、これからライブでもっと聞きたいと素直に感じることができた。

2曲を歌い上げた後は、「PINK,ALL,PINK!」を手がけた桃井はるこから、ライブでお客さんが声を出せない現状を汲み取って「キミの声をきかせて もっと」から「キミの愛をつたえて もっと」にしないかと直々に連絡が来たという裏話を泣きそうにながら披露する場面があった。

そしてその後は企画第2弾として、知ってそうで知らない名取さなの3択クイズ「名取さなをどれだけ理解しているか!解釈一致クイズ!!」が開催された。平均睡眠時間や所持しているPCモニターの数など、名取さなに関する様々な問題が出題され、こちらもただクイズをやるのではなくて、クイズと並行してこれまでの活動を振り返ることができる誕生日らしい企画だった。知らなかったことを知ることはファンにとっては嬉しいことであり、知っていることでもファンとして追いかけて来た思い出を振り返ることができる企画で、終始会場内は笑いに包まれていた。

初めて訪れた人もいたであろう、チネチッタという会場にすら、愛着が芽生えてしまうほどの居心地の良い空間。自分が時間の経過すら忘れてしまったのかもしれないと、彼女の「エンディング」という言葉でやっと気づかされる。青のスポットライトに包まれた名取さながアンコール前最後の楽曲に選んだのは、田中秀和作曲による、本日初披露の新曲「アマカミサマ」だった。今までの楽曲とは毛色が違うのはイントロの優しいメロディからすでに漂ってはいたが、ジャンルの話以前に感情が詰まったパフォーマンスに一気に引き込まれる。新たな名取さなの新境地を見れた感動と並行して、エンディングらしい楽曲と佇まいに寂しさを覚えてしまった。

アンコールで登場した名取さなは、いつもの衣装を身にまとい、いつもとは違う景色を見て、いつも見守ってくれるせんせえ達に向けて感謝を読み上げていく。

「人生で一番素敵な誕生日でした。ありがとうございました。」

その言葉からは、誕生日まで走り続けた名取さなの努力と、それを応援し続けたせんせえ達の深い絆が感じられた。ライブはお客さんを含めみんなで作り上げるとよく言うが、声を出せない状況でここまでそれを感じ取れるライブはなかなかないだろう。より一層名取さなを取り囲むコミュニティの芯の強さ、そして彼女が愛されていることを実感させられる。声は出せなくても、彼女を見つめるせんせえ達の眼差しからそれを汲み取るのは簡単だった。

最後に披露したのは、初のオリジナル楽曲であり、ファンメイドソングである「さなのおうた。」。初の単独ライブの最後を飾るに等しい本楽曲は、とにかく愛が詰め込まれた、せんせえ達に向けたラブソングだ。楽曲のほんわかとした雰囲気とは裏腹に、残りの力を全力で振り絞るような、それであって1つ1つの歌詞を丁寧に噛み締めながら歌い上げていく姿が印象的だった。

まさにフィナーレを演出するように、ライブ終盤では以前企画で募集したせんせえ達の誕生日メッセージがステージ上を横断する。最後のステージはせんせえ達と作り上げるという粋な演出と、最後の最後まで本当に練られたステージング、活動の軌跡をワンマンライブという大舞台で魅せていく姿は圧巻だった。

ライブ終了後に深くお辞儀をする姿が印象的で、来てくれた、観てくれていたせんせえ達に最後の最後まで感謝の気持ちを絶やさない。そしてこれからもそのスタンスは変わらないんだろうなと肌で感じることができた。なかなか十分なライブができない現状の中、ここまでのライブを披露できたのは、去年できなかった悔しさがバネになっている側面もあるのかもしれない。もしこれが100%の環境の中で、せんせえ達の声が聞けて、せんせえ達の声が返ってきて、そんなイベントが実現したらどんなイベントになっているんだろう。名取さなを取り囲む様々な人の愛を感じつつ、またいつかイベントをやってほしいと心の底から感じた。

(レポート / 森山ド・ロ)

「さなのばくたん。-ていねいなお誕生日会- Powered by mouse」概要

イベント名

さなのばくたん。-ていねいなお誕生日会- Powered by mouse

日時

2021年3月7日(日)
開場:16:30 / 開演:17:30

チケット

【配信チケット料金】:8,500円(税込)

受付期間

オンラインチケット期間
2/13(土) 10:00〜3/30(火) 21:00(※予定)

受付URL

https://eplus.jp/natorisana0307/st/

特設サイト

https://bakutan.natorisana.com/

主催

名取さな / 株式会社TRIBALCON.

協力

株式会社マウスコンピューター

©Sana Natori


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