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Roblox 2026.05.07

「AIは仕事を奪うのではなく拡張ツール」 19歳のRobloxクリエイターが語るゲーム作りの今

昨今、日本でも子供を中心にRobloxのユーザーが急増している。
Robloxはゲームのプラットフォームとして語られることも多いが、単なるゲームを遊ぶだけの場ではない。 世界中のクリエイターが独自の経済圏を築く土壌である。
そんなRobloxはAIの活用を積極的に推進しているプラットフォームでもある。専用の開発ツールであるRoblox Studioの中でAIを使えるだけでなく、AIが話すNPC(ノンプレイヤーキャラクター)機能やゲームの中で3Dモデルを自然言語から生成できる機能など、AIを様々な側面で組み込んでいる。
Delus氏はそんなAI機能を活用したゲームを作ろうとしているクリエイターだ。 9歳からRobloxのユーザーになり、独学で開発スキルを習得した。 過去には有名バンド「メタリカ」との公式コラボも経験している。Neftlixの人気アニメ「KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ」の公式ワールドの製作にも携わっている。
現在彼は生成AIを活用した新作ゲームを開発中だ。 最新技術を自らの創造力を広げる武器としている。 次世代のクリエイターはAIとどのように向き合っているのか。
Mogura VRでは2026年3月にサンフランシスコで開催されたGDC2026にてDelus氏へのインタビューを行った。

9歳でRobloxに出会い独学でクリエイターへ

――いつ頃からRobloxのクリエイターになったのでしょうか。
Delus氏:私は9歳の時にRobloxをプレイし始めました。最初、Robloxの一人のプレイヤーとしてスタートし、自分が開発者になるなんて想像もしていませんでした。13歳の時に自分でもゲームを作ってみたいと思うようになったんです。
Roblox Studioを立ち上げ、ツールボックスにある木や建物などのオープンソースのアセットを配置するところから始めました。そうして自分のゲームを作り、最終的にXに自分の作品を投稿するようになりました。
作品を見た人から仕事の依頼が来るようになり、スキルも向上していきました。自分で3Dモデルを作る方法も学び、最終的にお金を稼げるレベルに達したんです。
学校で専門的な教育を受ける必要がなく、すべて独学で身につけられたのは素晴らしいことだと思います。学位がなくても、自分の作品さえあれば仕事を任せてもらえました。
――大学には進学しなかったのですね。
Delus氏:進学していません。行く予定はあったのですが、Robloxでのゲーム制作やブランドコラボの仕事で忙しくなってしまいました。私の初めてのブランドコラボは、ヘヴィメタルバンドのメタリカとのプロジェクトでした。こんな昔からある有名なバンドを、私たちのような若い世代のプラットフォームに持ち込める素晴らしい経験でした。
――初めてのコラボがメタリカ!いきなり有名アーティストとのコラボですね。
Delus氏:当時、「ピギー」という大人気ゲームを作っているMinitoonという開発者のチームで働いていました。Roblox公式から彼に対して、メタリカとのコラボレーションの打診があったんです。
私はチームの一員として、このコラボレーションに使用されるすべてのアイテムの制作を担当しました。その後もRoblox側に私のアーティストとしての実力を認めてもらい、ラッパーのデストロイ・ロンリーなどの他のアーティストとも仕事ができるようになりました。

――現在は新たなエクスペリエンスを制作しているのですね
Delus氏:私のチームでは、マリオカートのようなゴーカートレーシングゲーム「Dream Racers」を制作しています。昨年の9月にRobloxがAIを使った新しい機能「Cube AI」(※1)のアップデートを発表しており、面白いゲームに活かせないかと考えました。
※1 Cube Ai:ワールドの中でプロンプトを打つと3Dモデルを生成できるRobloxのAI機能
マリオカートが大好きなので、プレイヤーがレースを始める前にAIを使って自分だけのオリジナルカートを生成できるシステムを作ったんです。
プレイヤーはゲーム内で「爆弾」「カニ」「フルーツ」「雪の結晶」といった単語を購入し、それらを組み合わせます。自分の好きな単語を入力することも可能で、例えば「雪の結晶」「カニ」「ロケット」を選んで生成ボタンを押します。
AIがこれらの単語を解釈し、独自の3Dモデルを作成してペイントやテクスチャリングまで行います。この場合なら、雪の結晶のカラーリング、カニのボディ、ロケットの形を取り入れたカートが生成されます。
プレイヤー全員がそれぞれのカートを生成してレースに臨みます。マリオカートから強いインスピレーションを受けており、コース上に落ちているルートクレート(アイテムボックス)を拾って他のプレイヤーに使うこともできます。
マップも非常に独創的で、空飛ぶヒトデがいたりします。夢や創造性をテーマにしており、このゲームでは基本的にどんなことでも実現可能です。
――開発期間はどのくらいですか?
Delus氏:実は、開発を始めたのは2026年に入ってからです。非常に短い期間ですが、すでにかなり完成度の高い状態まで仕上がっています。(※2)
※2 インタビュー実施時点では開発を始めてから2か月半が経過

RobloxのコンテンツづくりにAIを活用するメリットとは

――3Dモデルの制作や調整はゲームを作るクリエイターにとって最も大変な作業の一つですが、AIのおかげでだいぶ楽になったのではないでしょうか。
Delus氏:まさにそう感じています。僕らが工数をかけているのは、主に車の操作感やゲームプレイの部分です。また、新しいコースの追加も進めています。
どんな単語を選んでカートを生成しても、誰もがレースで勝てるチャンスがあるようにバランス調整を行っています。選んだ単語によってカートのパラメータが変わる仕組みになっているんです。
例えば「ロケット」を選べばスピードが上がり、「カニ」を選べば甲羅があるため耐久力が上がるといった具合です。どんな言葉を選んでも、公平に勝てるチャンスを持てるようにしています。
――たった2ヶ月半でそこまで作れるとは驚きですが、ゲームプレイにAIシステムを導入することについてDelusさんはどう感じていますか?
Delus氏:AIに対して「自分の仕事が奪われる」と恐れている人は多いと思います。しかし私は、AIはあくまで「人間の能力を拡張するツール」だと捉えています。
今回のようにAIを活用することで、開発者である私たちが大量のユニークなカートを一つ一つ手作業で作る必要がなくなりました。その分、プレイヤーの手に創造性を委ねることができるようになったので、お互いにとってメリットがあります。
――開発チームは何人体制ですか?
Delus氏:チームは私を含めて3人だけです。私がマップ制作などのクリエイティブ全般を担当し、JuanとSalという2人のプログラマーと一緒に開発しています。SalとはRobloxのプラットフォーム上で出会いました。彼らはクリエイティブな背景を持っていませんが、非常に技術的な能力が高いエンジニアで、逆に私はプログラミングが全くできません。
お互いの強みを活かして協力しています。エンジニアの2人もプログラミングの補助ツールとしてAIを活用しており、AIが彼らの開発スピードをさらに後押ししてくれています。
――リリースに向けて、どのように仕上げていくのでしょうか?
Delus氏:Aiがカートを生成するのに20〜30秒ほどかかるので、待っている間にロビーで遊べるミニゲームを追加しようと考えているところです。
生成されたクレイジーなカートは、TikTokやYouTubeでも見栄えが良いと思います。今後はドリフト機能やジャンプ機能も実装予定なので、完成を楽しみにしていてください。
――ご自身のジャケットにもあるように、本当に車が好きなんですね。
Delus氏:子どもの頃から車に囲まれて育ちましたし、いつか買いたい憧れの車もたくさんあります。自分の車への情熱をRobloxで表現できるのはとても嬉しいですね。

レディ・プレイヤー1規模のメタバースへ

――数カ月以内にはリリースされるとのことですが、常に新しいプロジェクトに取り組んでいきたいタイプですか?
Delus氏:私は一つのプロジェクトにすぐ飽きてしまう性格なので、いろいろなことに手を出してしまいます。でも、それがゲーム開発の魅力だとも思っています。
朝起きて何か新しいアイデアを思いついたら、すぐにチームにテキストを送って「これどう思う?」と相談し、それが新たなプロジェクトになることもあります。型にハマらず、常に新しい挑戦ができる環境が気に入っています。
――Robloxはいま急速に成長してユーザーが増えています。どのように感じていますか?
Delus氏:私は子どもの頃からずっとRobloxをプレイしてきたので、個人的にとても深い愛着があります。このプラットフォームで友人を作り、自分の人生を築き上げることができました。
今後のRobloxの発展も非常に楽しみにしています。映画『レディ・プレイヤー1』のような規模に到達する最初のプラットフォームになるだろうと信じています。
――本日は貴重なお話をありがとうございました!


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