アーティスト・エンジニアのナカダリオ氏(19歳)が監督・開発を手がける自伝的イマーシブ映画『Nox』が、第83回ヴェネチア国際映画祭「Venice Immersive」コンペティション部門に公式選出されました。
『Nox』は、監督自身の複雑性PTSDや解離性障害の経験を、当事者の視点から描く自伝的イマーシブ映画です。Meta Quest 3のハンドトラッキングを使用し、コントローラーを使わず素手で体験する形式となっています。13のシーンと5種類のインタラクションを通じて、「崩壊」「断片化」「再統合」という3つのフェーズをたどる、約20分間の作品です。
ナカダリオ氏は、小中高を通じて長期にわたる不登校を経験。自宅で過ごす時間のなかでプログラミングや映像制作、コンピュータグラフィックスを独学で学び、テクノロジーと表現への関心を深めてきたとのこと。前身となるインタラクティブアート作品『Tactus』では、芸術科学会NICOGRAPH2024で口頭発表を行い、デモ展示賞を受賞しました。現在は慶應義塾大学環境情報学部に在籍しています。
ヴェネチア国際映画祭は、1895年創設の国際的な総合芸術機関「ヴェネチア・ビエンナーレ」が主催しています。1932年に創設された世界最古の国際映画祭で、カンヌ国際映画祭、ベルリン国際映画祭と並ぶ世界三大映画祭の一角です。「Venice Immersive」は、XRをはじめとするイマーシブ表現に特化した公式部門で、映像作品からインスタレーションまで幅広い形式の作品が選出対象となっています。
ナカダリオ氏はコメントで、Noxが長期にわたるストレスによって深く傷ついた経験から生まれた作品だと述べています。心の傷を抱えるすべての人に捧げる作品だとも語りました。
『Nox』制作チームは、ヴェネチア渡航および現地展示に必要な費用を募るクラウドファンディングを、近日中にCAMPFIRE で開始する予定です。
ヴェネチア・イマーシブ2026 概要
| 開催期間 | 2026年9月2日~12日(プレビューは9月1日午後) |
| 会場 | ラッツァレット・ヴェッキオ島(リド島からヴァポレットで3分) |
| 選出作品数 | 68作品(26カ国) |
| コンペティション部門 | 30作品(世界初上映22本、インターナショナル・プレミア8本) |
| 非コンペティション部門 | 35作品(Best of Experiences 9作品、Best of Worlds 26作品) |
| 審査員長 | ポール・ラファエル氏(Felix & Paul Studios共同創業者) |
| アクレディテーション | 2日券40ユーロ/5日券60ユーロ/11日券100ユーロ(18歳以上対象) |
| 公式サイト | https://www.labiennale.org/en/cinema/2026/venice-immersive-accreditation |
参考
https://www.labiennale.org/en/news/venice-immersive-selection-and-competition-announced-0

