2025年も、VTuber、VRChat、VRゲームなど、様々なジャンルで多くのコンテンツや事象が生まれました。MoguLiveではライターや関係者にアンケートを実施し、「今年最も印象に残ったバーチャルコンテンツや事象」をピックアップしてもらいました。
藤林檎
2025年で最も印象に残ったバーチャルコンテンツ

●IMMERSIVE JOURNEY「Tonight with the Impressionists PARIS 1874 印象派画家と過ごす夜」:https://immersivejourney.jp/
●名取さな2nd Live「独ゼン者」:https://bakutan.natorisana.com/e/natorisana-2ndlive
選出理由
誰に、何を伝えたいか、どんな体験をしてもらいたいかを徹底的に追求した結果、結果として最も新しく最先端な表現に至らしめているところが魅力的に感じました。
来年以降、どのようなバーチャルコンテンツに注目したいですか?
バーチャルである=何でもできる という最大のネタバレのハードルを越えてなお魅力的な体験を提供できる作品や技術全般に興味があります
ぱソんこ(渋谷宣亮)
2025年で最も印象に残ったバーチャルコンテンツ

・Ghost Town:https://store.steampowered.com/app/2496180/Ghost_Town/?l=japanese
選出理由
VRゲームは注目作および大作であっても「ここはよいが、あそこはよくない」みたいな粗削りなものが多いが、丁寧に全体が磨かれている作品だったのがGhost Townだった。PCほどのスペックがないMeta Quest版でも安定して高品質なビジュアル、ほどよい難易度でVRで戸惑わせないパズルアドベンチャーの質など、初心者にもすすめやすい。
来年以降、どのようなバーチャルコンテンツに注目したいですか?
Steam Frameは注目度が高くともVRハードウェアとして一般層よりも開発者、コアな層に向けたものだとは思う。とはいえ、コア層や開発者ならではの独特の熱量から生まれるものがあるのは確かであり、そういったものを愛でて情報を共有していきたい。個人的には移動や操作そのものに独自性の強いVRゲームが好きなので、そろそろゴリラタグ移動以外の新規性のあるVR移動方法がまた発明されると嬉しい。
たまごまご
2025年で最も印象に残ったバーチャルコンテンツ

FirstNoteStation-始発駅-EastGate:https://vrchat.com/home/world/wrld_9ba9fd77-31c7-432a-bcb4-8983bec75ef8/info
新宿ライブストリート ⁄ Shinjuku Live Street:
https://vrchat.com/home/world/wrld_c82a5c14-97a5-4782-a034-d897d2d943a2/info

PQ:https://www.pq-official.com/
如月千早 – 約束 / THE FIRST TAKE – YouTube
選出理由
・「FirstNoteStation-始発駅-EastGate」「新宿ライブストリート ⁄ Shinjuku Live Street」
どちらも「ストリートライブ」をやるためのワールドとして盛り上がっている。VRChatの音楽シーンで、あえてステージではなく路上ライブをリアルに再現するために調整されたこのふたつのワールドは、バーチャルに音楽をやる人たちが人前で披露する敷居をぐっと下げると同時に、たまたま出会う音楽面白さ、新たな形の交流の場として活発に今年人が集まっていたのがとても印象的。メタバースのストリートだからこその味をバーチャルに感じられる素敵な場所としてどんどん発展してほしい。
・「PQ」
リアルでのVTuberライブがどんどんハイクオリティで盛んになっていく中、バーチャルでリアルタイムのライブをやることの意義に立ち向かったのは偉大。ミュージカル的にピーナッツくんの本質を表現しながら、このクオリティをリアルタイムライブで見せてしまえた…というのは視聴者もクリエイターたちも、ハードル爆あがりで心に火がついたのでは。
如月千早 – 約束 / THE FIRST TAKE – YouTube
「IDOLM@STER」シリーズというキャラクターコンテンツは昨今、バーチャル表現を駆使することで、キャラクターたちをひとりの人間・アーティストとして存在させようという意欲を感じる。その中でも特に「物語」としてのウェイトが特に大きな如月千早の「約束」が、一人の歌手のパフォーマンスとして他のアーティストと並んだのは、フィクションをリアルに変えていく一撃だったように感じる。武道館ライブが楽しみ。
来年以降、どのようなバーチャルコンテンツに注目したいですか?
リアルとバーチャルとフィクションが、さらに垣根なくなっていくであろうことは予想ができるので、どんな形で融合して、予想もし得ないような物語が生まれるか楽しみ。同時に「PQ」のように、バーチャルでしかできない自由な表現、という部分での追求がさらに深堀りできるように、現在進行系で技術の進歩に取り組んでいるクリエイターたちにエールを送りたい。
けいろー
2025年で最も印象に残ったバーチャルコンテンツ

ANYCOLOR/にじさんじ 新技術実証実験イベント ver.2025.01
選出理由
「事前情報なし」「目的は新技術の実証実験」「申し込めるのはファンクラブ加入者のみ」という、何が行われるのかもわからないまま赴いたANYCOLOR社のイベント。
一言でまとめると、「現実世界のイベント会場のステージ上に“降臨”したVTuberを、XRヘッドセット越しに見られるトークイベント&ミニライブ」だったわけですが、想像以上の体験でした。完全に油断していました。まさか、あれほどとは……!
ぶっちゃけ、「VTuberと会って話す」だけならVRでもできます。場合によっては触れ合えそうな距離まで近づけるし、直に言葉を交わせる。空間を丸ごと書き換えるVRの没入感と、それに伴う“体験”としての質の高さは言うまでもありません。
一方、現実世界にデジタル情報を重ねて表示するAR/MRは、どうしても違和感が目立ちやすい。位置情報や描画のズレはもちろん、光の当たり方や影のでき方なども調整しなければ、周囲から浮いて見えてしまいます。その「なんか浮いてる」という感覚が没入感を削いでしまうため、MRを活用したVTuberイベントはまだ難しいのではないかと考えていました(技術的には可能でも、提供できる体験の質と、それに伴う予算や設備の都合で)。
しかし驚いたことに、このイベントでは「なんか浮いてる感」がほとんどなかった。その「違和感のなさ」こそが、何よりも衝撃的でした。
普段は生身の歌手が立って歌っている現実世界のライブステージに、あの「加賀美ハヤト」が立っている。同じ壇上にはMCを務める百花繚乱さんの姿もあり、時にはお互いに視線を交えながら話している。さらに言えば、自分は客席から発言する機会があったのですが、その際には「ステージ上から客席の自分のほうを見ている加賀美さんの視線」を感じてしまったほどでした。社長が!! こっちを見てる!! すごい!! たすけて!!!
来年以降、どのようなバーチャルコンテンツに注目したいですか?
今後このようなイベントが開催されるのかはわかりませんが、個人的にはこの方向性で「VTuberのリアルイベント」を楽しめるようになったらいいな、と期待しています。各所で技術開発と検証が進み、グラス型デバイスも徐々に普及しつつある今、「VTuberとリアルで会える」ような体験ができる世界は、もしかしたら意外と遠くないのかも……?
上記のようなMR技術を活用したVTuberイベントもですが、「VTuber×XR」を掛け合わせた試み全般に注目していきたいです。
ノンジャンル人生
2025年で最も印象に残ったバーチャルコンテンツ

gogh: Focus with Your Avatar:https://store.steampowered.com/app/3213850/gogh_Focus_with_Your_Avatar/?l=japanese
選出理由
レビュー後もしばらく利用していますが、このアプリはかなり使い心地が良いです。本来作業支援アプリに必要なものはポモドーロタイマーだけではありますが、自分で作ったアバター、ルームがあるだけで、なんとなく気持ちが向上します。この“なんとなく”という気分は案外馬鹿にできないもので、面倒な作業でももうちょっとだけやろうと後押ししてくれます。ペット要素も、作業のじゃまにならない範囲で勝手に成長してくれるので絶妙です。
やる気って、ガチガチにやることを固めてしまうと、逆にモチベーションが削がれることがあるじゃないですか?これに対してgoghは「空気感を作る」ことを大切にしており、やる気を維持させるため、丁寧にデザインされているように感じました。余談ですが、バックグラウンド再生できる音楽も、耳当たりがとても良いです。
来年以降、どのようなバーチャルコンテンツに注目したいですか?
ジャンル名がついてから10年目を迎える「バーチャルYouTuber」の今後の発展
おむらいす食堂
2025年で最も印象に残ったバーチャルコンテンツ
ふぶみこめっとさんのVRChat配信
選出理由
今年も彩あるバーチャルシーンの数々でした。広がっていく世界を見ながら、年を経るごとにピックアップする話題に迷ってしまうのですが、個人的に印象に残ったのは「ふぶみこめっとさんのVRChat配信」です!
VTuberとVRChatの掛け合わせはこれまで度々目にしてきたシーンでありつつも、ホロライブの人気VTuber3人組がVRChatの世界に飛び出していく様子は印象的でした。性能を上げたVR機材が続々と発表された一年でもありましたが、VRが私たちの日常に浸透するには時間がかかりそうな予感。その中で、バーチャル世界で活躍するVTuberがその楽しさを伝えていくことは、次なる未来を生み出すきっかけになると思います。
来年以降、どのようなバーチャルコンテンツに注目したいですか?
私自身がVTuberとして、VRで触れる世界が好きだからこそ、第一線で活躍する活動者がその領域に踏み出していくのが何より嬉しいです。VRを未体験という方にも楽しさを届けることができるのも、活動者ならではです。来年もよりたくさんの方がバーチャル世界を知れる一年になりますように!” バーチャルサンリオピューロランドのような、現実にあるテーマパークのバーチャル進出!期待大!
きんとと
2025年で最も印象に残ったバーチャルコンテンツ

“・キズナアイ復活、そして「Homecoming」へ:https://homecoming.kizunaai.com/

・常設型VRテーマパーク「Virtual Sanrio Puroland」開園:https://v-puroland.sanrio.co.jp/
選出理由
・キズナアイ復活、そして「Homecoming」へ
ファンとしての視点強めに述べるが、まず3年という期間を超えたのちに復活してくれたことに感謝。こうしてまた出会えたことを奇跡のように感じています。
2022年2月26日に行われた「Kizuna AI The Last Live “hello,world 2022”」を最後に活動を休止し””スリープ””に入っていたキズナアイ。その間もプロジェクトとしての動きはあったものの、2024年6月30日から「s h e e e e p」というタイトルで謎の配信が開始され、初めて復活の兆しが見られましたと感じました。しかしそれが本当の””キズナアイ””の復活なのか、はたまた違った””別の形の何か””が始まるのか、私は気が気ではありませんでした。またあの子に会えるのだろうか。そんな気持ちが募っていき、来る今年2月26日にアップデートを経て進化した””KizunaAI””はスリープから目覚めたのです。よりアーティストとして洗練されたあの子が帰ってきました。新曲「あのね」を始めとした新しい””KizunaAI””を彩るこれまでとは少し異なるテイストの楽曲やMVに、この世界での生きていくための新たな魅力を感じました。
そして今年9月20日、活動再開後初のリアルワンマンライブ「Homecoming」が2日間開催されました。Day1は “hello, again”と題された「おかえり」と声を伝えるための時間に、Day2は””new world””というスリープから目覚めたKizunaAIのこれからを見せてくれるようなそんな時間になりました。ライブのMCでは、キズナアイとキズナーたちのスリープ前と変わらない掛け合いを見ることができ、その関係性を再確認できたと感じます。私はDay2しか現地で見ることができず今でも悔しい思いをしているのですが、Day2の星街すいせいと共に歌った「future base」で、バーチャルYouTuberの時代の象徴とも呼べる二人の共鳴を感じることができました。またここから始まるKizunaAIの物語の続きがとても楽しみです。
・常設型VRテーマパーク「Virtual Sanrio Puroland」開園
12月11日からVRChatに””常設””でオープンした新テーマパークです。これまで「Sanrio Virtual Festival」を期間限定のイベントとして開催してきたサンリオは、数々のステージやワールド、ユーザーコラボ企画、アバターアイテムの販売などを行い、VRChatユーザーだけでなく一般層をも取り込んだ人気企画になっていました。
そんなサンリオが””常設””のテーマパークを公開したことは、とても大きなできごとだと思います。24時間365日いつでも楽しめるテーマパークは、多くのVRChatユーザーの楽しみになるだけでなく、世間的に人気のサンリオコンテンツであることからも、これからVRChatを始める人を連れて行く先としても、内容の伝わりやすさやコンテンツの安全性も高く、非常に人気な場所になることでしょう。
そんな「Virtual Sanrio Puroland」には4つのワールドが用意されています。これから訪れる際には特に「KizunaAI Dream Garden」に足を運んでみてください。
来年以降、どのようなバーチャルコンテンツに注目したいですか?
キズナアイのさらなる飛躍
ゆりいか
2025年で最も印象に残ったバーチャルコンテンツ

・月ノ美兎ソロライブ「Paper Rabbit」:https://www.nijisanji.jp/events/tsukino_paperrabbit/

・ピーナッツくんワンマンライブ「PQ」:https://www.hulu.jp/static/pq/

・somunia バーチャルライブ「liminal」:https://admin.somunia.net/
選出理由
残念ながら2025年のバーチャル関連の話題はポジティブなものが少なかった。VTuberに対する誹謗中傷は激化し、ゴシップネタを含んだショート動画は日々大量生成され、リアルイベントへの爆破予告やVTuberへのストーカー行為などといった事件性のある話題も絶えず。また、メタバース領域でもコミュニティ内での人間関係トラブルがSNSで露悪的に取り上げられたり、海外でも若年層ユーザー間のトラブルが悪評に繋がっていたりと、初心者ユーザーが二の足を踏みそうな話題が頻出していた印象だ。
これらは現代の国内外の世相の暗さやSNSによって生まれる対立や断絶が影響していることは間違いないし、「そういった話題が急速に広まるほど、VTuberもメタバースも一般化しはじめた」という見方もできる。しかし、果たして我々は本当にこんな未来を見たかったのだろうか? 次の世代に繋ぐ文化の可能性を自らの手で狭めてはいないかと。
そんな中で今年目立ったのはVTuberカルチャーの黎明期から活躍するベテランアーティストたちの着実な前進だろう。月ノ美兎はデビューから現在までVTuber文化の中で様々な表現を開拓してきた存在だが、今年のライブでその集大成的な演出を披露しつつ、まだその先にも可能性があることを見せようとしてくれた。
ピーナッツくんの「PQ」は、様々な課題から実現されていなかった新たなバーチャルライブのスタイルを生み出したと言って良い。VTuberはリアルタイムなコミュニケーションを発揮しながら、ドラマチックなストーリー演出もシームレスにこなせるという独自の表現手段であることをあらためて教えてくれた。
somuniaのライブも今年目を見張るものがあった。「3D Gaussian Splatting」技術を使って現実のステージを3D空間として構成し、バーチャルとリアルの融合を美しく表現してみせたライブは、技術的にも(※おそらくこれらは世界初だったはずだ)次の世代の可能性を感じさせるものであり、somuniaのライブパフォーマンスも相まって非常に完成度の高いものであった。公式サイトでの謎解き要素やVRChatのワールドを使った自身の世界観のプロモーションなど、現状の環境を十全に活かしている点も注目すべきだ。
こうした実力のあるベテラン組がVTuberの文化を牽引してくれることは頼もしいと思う一方で、文化全体の停滞感や閉塞感の続く状況には歯がゆいものを感じる。メディアのいち編集者としても、何かしらのアイデアや表現の提案はできないものか……と、頭を抱えている。自分みたいな人間がそう思っていたところで、しょうがないのかもしれないが。
来年以降、どのようなバーチャルコンテンツに注目したいですか?
今後広がっていくのは、現実とバーチャルの境界を融解させていくようなエンターテイメントコンテンツだろう。実際、VR体験施設は今年都内を中心に盛況となっており、ARを使った音声や映像のナビゲーション技術も徐々に普及している。謎解きイベントや参加型のゲームイベントでもVRやVTuberが活用される展開も増えてきた。MetaやXREALのスマートグラスが普及するにつれて、誰もが体験できる機会が増え、日常の景色にデジタルな表現が溶けこんでいることが“当たり前”となっていくだろう。
上記にあげたような「3D Gaussian Splatting」とAIを組み合わせたデジタル表現が深化していけば、さらに面白い表現は生まれるはずだ。そうなってくると、今度必要になるのは、“現実”を知ること。現実空間には何ができて、何ができないのか? その制限をデジタルを補完することで、どのような価値が生まれるのか。そういったところに注目したいのだが、正直その見立てが合っているのかも自信が持てない。毎年世界は思わぬ方向にばかり進んでいる……。










