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ゲーム・アプリ 2020.07.02

【Oculus Quest】灯りの先は化け物だらけ…VRホラゲー「Lies Beneath」レビュー

引き延ばしていた里帰りを遂に決心した大学生のメイ。父とドライブしながら故郷へ向かう最中、交通事故に巻き込まれる。目覚めると、世界の様子は一変し、周囲は怪物たちであふれかえっていた…。こんなホラー映画のような展開ではじまるのが、VRゲーム「Lies Beneath」です。

「Lies Beneath」は、2020年4月にDrifter®から発売されたタイトルです。VRのFPS作品で、プレイヤーは主人公のメイとなって、銃や近接武器を使いながら、事故現場から消えた父を探します。


(独特のスタイリッシュなグラフィックスタイル)

ライターの灯りと共に…

基本、マップは一本道です。各所に“広場”のような少し散策できる場所もあります。

ストーリー演出も実にユニーク。物語はコミックブック(アメコミ)内のお話として展開されます。セリフ描写などは空中に表示される“コマ”で表現(日本語化されています)。メイの感情の昂る箇所に赤コマが用いられているのが、筆者のお気に入りです。


(“セリフ”の一例)

本作の重要アイテムが「ライター」です。メイが父親から譲り受けたもので、このゲームでは万能アイテムとして重宝します。

普通に着火すると次の進むべき道を示すビーコンになります。リボルバーと併用すると照準用のレーザーポインターとしても利用可能です。セーブポイント(焚火、ランタン)の有効化にも不可欠です。

ストーリーにも大きく関わってくるライターですが、暗いステージで周囲を照らしたときの安心感は格別です。プレイ前は、まさかライターひとつに、ここまで感謝するとは思いもしませんでした。


(左手に持っているのがライター。画面奥にポインターが表示されています)

上質なホラー要素のてんこ盛り

様々な恐怖要素も見どころです。ビックリ系の演出もあれば、陰鬱な雰囲気でジワジワ精神攻撃されるものもあり、ホラーの“方向”自体がバリエーション豊か。予測不能の展開が、プレイヤーのメンタルを(いい意味で)苦しめてきます。


(かなりギョっとする演出も)

いわゆるカートゥーン寄りのグラフィックを採用していますが、これがむしろ恐怖感をうまく増幅しています。プレイ中、演出に負けて何度か飛び上がってしまいました(遊ぶ際には、十分なスペースを確保しましょう…)。

ただ肝が冷え切ってゲームを止めてしまうような演出は無く、“ビビリ”ながらでも進めていける絶妙なバランスです。キツめのホラーセクション後に、派手な戦闘シーンが多く“そこまで引きずらない”構成が徹底されていると感じました。ただし部位欠損といったグロテスク要素はあるので、苦手な人は注意してください。


(謎の人形、ライターで燃やさなけければ…)

難易度はややアンバランス/h2>

筆者が唯一気になったのが、戦闘の難易度です。「イージー」「ノーマル」「ハード」の3段階の難易度がありますが、「ノーマル」でも割と歯ごたえのある難しさを感じます。


(武器は両手に装備可能。アイテムは腰と背中に、それぞれ2つずつ携行できます)

また一般的なVRFPSと比べると、弾薬や回復アイテムの量が少ないのも気になります。高難易度の主な要因が、この弾薬不足と、敵の素早さ、攻撃力です。

序盤に出現するタイプのモンスターは駆け足で襲ってくるので、油断していると肉薄されてボコボコに。遠距離から撃ちたくとも、弾薬不足に悩んでしまいます。


(迫る敵キャラ。途中からは、ほぼ人外のような敵も現れます)

斧などの近接武器は、敵の攻撃力が高めなので使用するのはハイリスク。また相手に刺さって抜けなくなることもあるので、完全に信用はできません。「ノーマル」だと敵の耐久力もそれなりにあるので、部位破壊を狙う必要があります。


(なかなかに強力なショットガン。ただし携行できる弾薬は少なめ)

その後、筆者は難易度を「イージー」に切り替えてみました。しかし今度は簡単すぎるという問題が浮上します。敵がすぐに倒れ、緊張感が薄まってしまいました。「イージー」と「ノーマル」の中間ほどの難易度が欲しかったというのが正直な感想です。

個人的には、序盤は「イージー」でプレイし、慣れてきたあたりで「ノーマル」に切り替えるのがおすすめです。


(要所ではボスも登場)

総評:ユニークな演出とホラー要素が光る作品

「Lies Beneath」は、ユニークなアートスタイルで作り上げられた、高品質なホラーゲームです。恐怖要素も程よい塩梅で、ホラー初心者にもおすすめできる作品と言えるでしょう。

ストーリーに関してはネタバレはできませんが、一気に物語が進展するというよりは、徐々に情報が開示されていくという作り。人によっては、少し展開が遅いと感じるかもしれません。

作中には、いくつかコレクションアイテムも登場し、表示されるテキストが背景を掘り下げてくれます。特定の動作(ライターでの着火)などを行うと、追加のテキストが表示されるというギミックもあるので、ただ集める以上の楽しさがありました。


(森に村など、ロケーションはバリエーション豊か)


(オブジェクトはメニュー画面から確認可能です)

「Lies Beneath」はOculus Storeで2,990円(税込)で販売中。詳細は以下の通りです。

ソフトウェア概要

タイトル

Lies Beneath

開発元

Drifter®

パブリッシャー

Oculus Studios

対応VRヘッドセット

Oculus Quest、Oculus Rift

プレイ人数

1人

価格(税込)

2,990円(Oculus Store(RIft/Quest))

公式サイト

http://www.driftervr.com/

執筆:井文


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