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話題 2022.07.26

漫画家がVRChatで描いたイラストのクオリティに驚きの声! 作者本人に制作の裏側を聞いてみた

7月23日(土)、Twitterに投稿されたイラストが、ネットユーザーから注目を集めました。描いた作品はVRChatのバーチャル空間で制作されており、そのクオリティの高さに驚きの声が上がっています。

製作者は漫画家のホタテユウキさん。少年エースで『恋する寄生虫』のコミカライズで知られ、SNSでも多数のイラスト作品を投稿しています。今回VRChatで作成したのは、油絵的な風景画。Twitterでは「これVRChat内で描かれたものなのか……??」「上手すぎるのですよ…」といったコメントが寄せられていました。

MoguLive編集部では、ホタテユウキさんご本人に制作の経緯を詳しくお聞きしました。

――VRChatでなぜ絵画を描いてみようと思われたのでしょうか?

ホタテユウキ:
私自身が本業で漫画家・イラストレーターをしているのでVRchat上で絵を描くということはとても自然的な行為で、定期的にいくつか実験的に絵を描けるワールドを探したりしています。

それで今回油絵的な画法と相性が良さそうなワールド「The Joy of Painting by Kenoli」を見つけ、絵画的なアプローチで絵を描こうという発想になりました。ですがあくまでVRchat内で深夜に息抜きに落書きをしていたような発想と変わらないものと捉えて下さい。そんな深く考えてません。

――今回、VRChatでイラストを描いた際に使用した機器や環境をお聞かせいただけるでしょうか?

ホタテユウキ:
使用しているVRヘッドセットはHTC VIVE Pro eyeです。特にフルトラッキング等でもなくごく普通に3点のみで使っています。ワールドは「The Joy of Painting by Kenoli」です。

――実際にバーチャル空間で絵を描いてみた際のご感想をお聞かせください

ホタテユウキ:
VRが身体のモーションをそのまま反映する都合上、デジタル絵とは違いどちらかというとアナログ絵に近い形のものだと感じました。

筆圧感知等も存在しないし、絵に特化した補正もないので本当に身体の動きのみがそのまま絵に直結する感じです。当然レイヤー等も存在しないので、一度塗ったら戻せない緊張感のようなものはデジタルでは味わえない楽しさがありますね。

私自身、アナログ漫画作家なのでそこが有利に働いたのでしょう。

――VR内で絵を描くことのメリットや魅力はどういったものでしょうか?

ホタテユウキ:
ストリートアートに近い感覚で絵画的なアートを描けるのも魅力かなと思いました。

私が行ったワールドもそうですが、あまりVRchat内で描いた絵というのは絵としての保存方法がない為写真で撮ったもの等になってしまいがちなのですが、消えてなくなることを前提として描けるので絵の内容的にも消えることを前提にした儚い美しさがある気がします。

保存する絵ではなく、パフォーマンスの部類のようなものですかね。デジタルアートなのに絵を描く動作やできていく行程をユーザーと共有するパフォーマンスそのものの方が完成した絵よりも価値があるように思えます。

そういう点もVRお絵描きならではの魅力かもしれませんね。そもそも、バーチャル空間でアナログな絵を描いているという行為そのものが奇異で面白いパフォーマンスだと思いませんか?

果たしてそれはデジタルアートなのか、アナログアートなのか、そういうところも含めてまだまだ面白くなりそうな予感がしますね。

――VRChatの魅力や面白さはどういったところにあるとお考えでしょうか?

ホタテユウキ:
私は漫画家なので、キャラクターの造形や性格形成をする際はやはり実際に存在する人間を参考にすることが多いです。

VRChatでは年齢、性別、職種も様々な人たちが集まる場なので、本来普通に漫画家として生きていたら出会うはずのない人たちに触れる機会があるので非常に人間観察するうえで役に立っています。

家から出ないで偶然の出会いができ、思いもよらない知識を得たり、ビジネスに繋がったり、漫画家からしたら本当に勉強になる場ですよ。

――ありがとうございました。

ホタテユウキさんが実際にイラストを制作したワールド「The Joy of Painting by Kenoli」はこちら(Meta Quest 2、またはPC接続型VRヘッドセット、高スペックPCが必要です)。
https://vrch.at/vn09dnzg

(参考)ホタテユウキTwitter


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