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イベント情報 2018.04.12

ドバイにオープンした世界最大規模のVR体験施設、その実力やいかに?

2018年3月、ドバイのドバイにある世界最大のショッピングモール「ドバイ・モール」の中に、VR体験施設「VR Park」がオープンしました。7,000平方メートルの広さを誇るこの世界最大規模のVR体験施設を、米国メディアRoad to VRの記者がプレスイベントで訪れており、その様子をレポートしています(以下、記事中の感想は同メディア記者によるもの)。

このVR体験施設では、スウェーデンのゲームスタジオおよびVRヘッドセットメーカーであるStarbreeze社のヘッドセットなどが採用されています。メインは解像度5120×1440ピクセル(片目あたり2560×1440)、視野角210度のVRヘッドセット「StarVR」です。

VR Park体験レポート

入り口ではまず、ドバイを代表する超高層ビルや”PVRY”のロゴの映像に圧倒されます。

入場料はそれぞれのゲームやライドの体験ごとに支払います。ただ、主なアトラクションの利用料金45UAEディルハム(AED、約1,300円)は、わずか数分間のVR体験に対して高く思えます。一番お得に楽しむのであれば、7つのアトラクションが体験できる200AED(約5,800円)のゴールド・パッケージを購入するのが良いでしょう。待ち時間などを考慮すると、普通の人なら1日に7つも体験すれば十分です。

主なアトラクション(非ライド系)

The Walking Dead VR Outbreak

https://www.youtube.com/watch?v=UfOnGccUEeo

テーマ通りの不気味な部屋と通路。座って体験するアトラクションです。スタッフもコンテンツに合った衣装を身に着けており、最も完成度が高いと感じました。

Geminose

https://www.youtube.com/watch?v=d_e_QsoyhQw

サムスンのGear VRで体験します。子供など低年齢層向けの、カラフルなアトラクションです。

The Raft

https://www.youtube.com/watch?v=yfYSEKbH02I

パーク内唯一の、マルチプレーヤー向けシューティングゲームです。ヘッドセットは今後ViveからStarVRに変更するということで、プレイエリアではその準備が進められていました。

Payday: The VR Heist

https://www.youtube.com/watch?v=634zJ9BTKPM

こちらもViveを使うシューティングゲームです。プレイヤーごとに別々の部屋で体験します。パーク内では最も長い、約15分間のアトラクションとなっています。

Ape-X

https://www.youtube.com/watch?v=5BTiObu9sJA

ヘッドセットのほかに金属製のデバイスを腕に装着します。これを使ってシューティングの動作をするため、アトラクションの中では最も没入感が高いと感じました。

Construct

この短編映像作品は、パーク内でVRの”技術”を堪能するには一番です。レンダリング技術によって、精密に再現されたビジュアル体験ができます。

ライド系アトラクション

Dune Bash

https://www.youtube.com/watch?v=3yCz5ZW5X9M

「ドバイの砂漠を4Dで体験」とも銘打っており、荒れた道を車で走るアトラクションです。動きや速度の予測がつかず、かなり酔います。

Dubai Drone

https://www.youtube.com/watch?v=5e_pCaFkIks

ジェットコースターの良さを活かしたアトラクションです。ただあっという間に終わってしまい物足りなさを感じます。また強く引っ張られるため、ヘッドセットのずれが気になりました。

Robocom VR

Starbreeze社製以外のヘッドセットを使った中で、最も印象的でした。スペースシミュレーションですが、モーションコックピットの反応が素晴らしいです。ただVRヘッドセットに問題があるため、そこを修正すればパークで一番のアトラクションかもしれません。

記者はVRには慣れてきたつもりでしたが、ライド系を体験し終わった後は気分が悪くなりました。VRパーク全体を通して、ほとんどの場合良い意味でとてもインパクトの強い体験ができます。ただ、短時間でStarVR、Vive、Gear VRなどの様々なヘッドセットを付け替えるのは、理想的とは思えず、課題に感じました。

ヘッドセットStarVRの感想

解像度5120×1440ピクセルは他のヘッドセットに比べて明らかに改良されていると感じましたが、それでもさらなる改良の余地はありそうです。1つ1つのピクセルを見分けることはできませんでしたが、明るいシーンでは網目が見えることもありました。

また、水平方向210度の視野角はとても自然な見え方で印象に残った一方、逆に垂直方向の視野の狭さが目立って感じました(それでも視野角130度と、一般的なヘッドセットよりは広いですが)。

動きに関しては、StarVRは他社のヘッドセットのようにスムーズではないと感じました。いくつかのシーンでは遅延を感じ、没入感がそがれました。これは、現在のディスプレイ技術が低遅延の対策に追いついていないのかもしれません。しかし体験中にシーンの目立ったぼけはなく、ちらつきも感じなかったことは嬉しい驚きでした。

パーク全体の感想

そのほかパーク自体の改善点としては、動きやすさを実現するために、ワイヤレスのデバイス導入や、ケーブルの取り回し方法を見直すことが挙げられます。常にヘッドセットに繋いだケーブルで引っ張られる感じがしたため、没入感が減りました。

圧倒的な視野角を誇るStarVRに期待していたものの、記者の個人的な感想としては他のヘッドセットより優れていると感じたのはごく数回でした。その良さも、アトラクションのほかの仕掛けによるものか、ヘッドセットによるものかは不明です。

ただ、VRパーク全体を通して、とてもインパクトの強い体験ができました。

https://thumbs.gfycat.com/AcclaimedHeartyGecko-mobile.mp4

今後の展望

Starabreeze社のCEO、Bo Andersson Klint氏は今後5年間の展望についてこう語りました。
「ここをVRテーマパークのフラッグシップとして続けるならば、10人や20人、50人といった大人数で体験するアトラクションを作ろうとしています」「5年の間には、ヘッドセットのケーブルもなくしたいです。軽く、高解像度でワイヤレスのヘッドセットを提供します」

Klint氏は、VR Parkは多くの人へVRの体験を広め、VR産業に「多大な貢献」をすると考えています。

(参考) Road to VR

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