動画配信サイト「Twitch」にて、あるVTuberが大きな注目を集めています。名前は「Neuro-sama（ネゥローサマ）」。一見するとごく普通のVTuberですが、実は会話もゲームプレイも全てAIで制御されている「AI VTuber」です。
Neuro-samaは、Vedalさんが開発したAIによって制御され、「Twitch」にて配信活動を行っているAI VTuberです。配信内容は主にゲーム実況で、ゲームをプレイしながらチャット欄の言葉に反応して人工音声で発話することもでき、発話内容は即座に字幕として表示されます。人工音声もかなり自然な女性の声のように聞こえます。
https://www.twitch.tv/videos/1694125183特筆すべき点は、「Minecraft」や「osu!」といった、人間がプレイするゲームをプレイしていることです。「Minecraft」の配信では、ブロックを掘り進めるだけでなく、作業台を設置してピッケルをクラフトしたり、鉄ブロックを狙って掘ったりするなど、まるで人間が遊んでいるような挙動をしています。
プレイ精度はまだまだ甘く、エネミーが現れても防御をしなかったり、変な場所に作業台を設置したりしていますが、基本的なプレイはおおむねできています。その間もチャット欄と対話し、アバターが自然なアニメーションで動いています。
https://www.twitch.tv/videos/1694901663一方、音楽ゲーム「osu!」のプレイは非常にハイレベルで、プライベートサーバーではスコア1位にランクインしているほど。これはもともとNeuro-samaのAIが、Vedalさんが開発していた「osu!」プレイAIがベースとなっているためです。「osu!」プレイAIとしては2018年に開発・発表されていましたが、2022年12月にアバターと人工音声を備えたVTuber「Neuro-sama」としてリニューアルしたとのことです。
AIで制御されたVTuberは、直近で事例が増えつつあります。日本国内でも、2022年にバンダイナムコエンターテインメントが「プレイBYライブ」というプロジェクトをスタートさせ、ゲーム実況配信を行う「ゴー・ラウンド・ゲーム」などが運営中です。
ただし、「ゴー・ラウンド・ゲーム」はAIのために調整された専用ルールの麻雀をプレイしており、人間がプレイするゲームを動かすNeuro-samaはこの点で特筆すべきでしょう。
海外メディアVICEによれば、Vedalさんは今後Neuro-samaのアバターを、現在使用している「Live2D」のサンプルアバター「桃瀬ひより」からオリジナルアバターへ更新したり、さらに多くのゲームをプレイするようにするためのアップデートも計画しているとのこと。
なお、差別的・攻撃的な言動の模倣を防ぐべく、チャット欄とNeuro-sama自身の監視と調整を行うチームも存在しているとのことです。現在のNeuro-samaは、「Minecraft」のプレイ内容だけでなく、発する言葉自体もときどき不可思議で、支離滅裂なときがあります。
しかし、現時点でここまで独立して配信が行えているのは、十分に驚異的でしょう。Neuro-samaは現在、Twicthにて9.7万人のフォロワーを獲得し、配信も数千人の人が視聴しています。直近の配信では歌も披露しており、進化は続いています。Neuro-samaも含め、2023年はAI VTuberのさらなる発展に注目すべきかもしれません。
