近年のにじさんじでは、VTuberたち主体で企画したユニット活動が増えており、バラエティ企画のみならず音楽活動などでも注目を集めています。これらは、一時的な活動に留まらず、大型イベントでのお披露目やグッズ展開など、にじさんじ公式の展開にも繋がっており、活動の規模はより大きくなってきています。
今回は、VTuberによる新たな活動スタイルに注目し、代表的なユニットを紹介していきます。
VTuber主体のユニット活動はどのように勢いづいてきたのか?
にじさんじでは、これまでにさまざまなユニットが活動してきました。大まかには、デビュー時期が同じメンバーによるユニット、にじさんじ公式の番組企画で集結したユニット、そして何かの企画きっかけで集まったり、リアル音楽イベントとして集合したりといった公式的なイベントです。特に、にじさんじ公式が企画しているものはグッズや広告展開が組み込まれているケースが多く、にじさんじのメディア露出にも大きく貢献してきました。例えば公式番組企画として無人島サバイバルからスタートした「ROF-MAO」は、にじさんじの人気を後押ししたユニットにまで成長。叶さんと葛葉さんのユニット「ChroNoiR」は、リアルイベントを武道館で実施するまでの規模にまで至っています。
一方で、近年公式企画に並んで目立ってきたのが、仲の良いVTuberたちが自主的に立ち上げたユニットです。もちろん、舞元啓介さんとジョー・力一さんによる「舞元力一」や、魔界ノりりむさんと卯月コウさんのユニット「おりコウ」など、にじさんじの黎明期からも、自主ユニット自体は次々と立ち現れていましたが、そのなかでも、大きな流れを生み出したのが2023年に始動した「七次元生徒会!」の登場でした。自主企画であるにも関わらず、3Dの姿を用いた高クオリティのバラエティ企画や、オリジナル楽曲の発表を行い、大きく注目を集めるようになりました。
七次元生徒会だけでなく、VTuberたちが結成したロックバンド「2時だとか」は、にじさんじの大型イベント「にじさんじフェス」にも、そのユニットのままで出演しており、にじさんじ運営も彼らの活動を本格的に支える体制を築いています。
そして、2026年、VTuberグループ「にじさんじ」で「Cellmates」「あるてぃめっとくりえいたーず」「2時から3時のしぇあはうす。」という3つのチャンネルが相次いで活動を開始。爆発的に人気を獲得しています。
自分たちで作る企画はVTuberたちのモチベーションにも大きな影響を与えているのか、動画の更新頻度も高めです。また、にじさんじの中でもデビューが早めのVTuberたちが多数参加しているケースが多く、後輩VTuberの熱量に影響されているようにも見えます。
なお、「あるてぃめっとくりえいたーず」で活動する卯月コウさんの話によると、「Cellmates」「あるてぃめっとくりえいたーず」「2時から3時のしぇあはうす。」が同時期に動いたのは合わせたのではなく、ただの偶然とのこと。それぞれ以前から企画に向けて動いてはいましたが、当時3Dスタジオの収容人数の問題で、なかなか予約できなかったことから、溜め撮りというかたちで収録していたことを明かしています。
動画企画系ユニット
七次元生徒会!
メンバー:叶、樋口楓、三枝明那、緑仙(七次元生徒会では仙河緑名義)、レオス・ヴィンセント、周央サンゴ
生徒会というシチュエーションの中で集まったメンバーがそれぞれの役職に付き、
持ち寄ったさまざまな企画に挑戦していくユニットです。毎週水曜日にコンテンツの投稿を行っており、動画企画だけでなく歌ってみたや漫画が投稿されることも。年に1回企画会議を動画化するなど、生徒会らしい話し合いの場も設けられており、数年の活動の中で一致団結していく過程を見られるのが魅力です。
基本的に、レオス・ヴィンセントさんや周央サンゴさんがハイテンションにコミカルな役回りをこなし、それを叶さんや三枝明那さんが優しく受け止めたり、ときに樋口楓さんや緑仙さんが場の空気全体をかき回したりして、動画にメリハリをもたらすのが特徴。『「美味しいのはグミor輪ゴム」激しいディベート対決』や『スローモーション喧嘩をするぞ【周央サンゴ最強伝説】』などの動画では、それぞれのこだわりの強さが垣間見られ、メンバーそれぞれのことを知るほどに深く楽しめる内容となっています。
音楽に関しては歌ってみた以外にも生徒会オリジナルソングが複数あり、EPもリリースされるなど充実しています。イベントもにじフェスや志摩スペインコラボが反響を呼び、2027年に単独開催のミュージカル「劇場版 七次元生徒会! 〜ずっと一緒大作戦!〜」 の開催が決定するなど、活動はどんどん広がりを見せています。
YouTubeチャンネルはこちら。
https://www.youtube.com/@seitokai_07
Cellmates
メンバー:笹木咲、剣持刀也、月ノ美兎、星導ショウ、椎名唯華、葛葉
にじさんじの中でも活動歴の長い2018年デビュー組に、唯一2023年デビューの後輩である星導ショウさんが加わっているという変則的なメンバーで構成されたユニット。動画は、それぞれが何らかの罪で収容されたメンバーが囚人として刑務所作業(企画)に挑戦していく内容です。
にじさんじの中でも特にバラエティ企画を数多くこなしてきたベテラン勢が多いため、一つひとつの内容がポジティブな意味で“攻めた”内容となっています。『本物のアンチからのコメントを見抜け!『本物のアンチからのコメントを見抜け!【アンチコメント人狼】』や『【ドッキリ】葛葉にだけ都合の悪いシックスボンバー』など、企画の中ではメンバー同士で騙しあいや罵りあいを繰り広げることも。しかし、根柢の部分でしっかりとお互いを信頼していることが分かるため、やり取りにハラハラしながらも安心して笑えるところが魅力です。
中でも注目は星導ショウさん。先述の通り、このメンバーの中では若手に入るにも関わらず、彼自身は先輩たちに対して及び腰になることなく、ズケズケとモノを言ったり失礼な態度をわざととったりと、絶妙なスパイスとして加わっているのが特徴です(実際、先輩たちに物怖じしない若手として声がけされた経緯があります)。
YouTubeチャンネルはこちら。
https://www.youtube.com/@ll_cellmates_ll/
あるてぃめっとくりえいたーず
メンバー:卯月コウ、ましろ爻、魔使マオ、社築、夜見れな、リゼ・ヘルエスタ
2018年~2019年にデビューしたメンバーで結成された、最強の動画クリエイターを目指すユニットです。これまで、どちらかと言えば生配信を主体にして活動してきたメンバーが多く、動画企画にどこか初々しさを感じられるのがポイント。それぞれのメンバーもこれまでライブやコラボ企画などで一緒になることの多かったメンツであるため、仲の良さを動画から感じ取れます。
ましろさんのホラーネタや卯月コウさんのポケモンネタなど各々の得意とするジャンルを武器にしていますが、それらも入門的な内容のため、詳しくない視聴者にも入りやすい動画構成となっています。また「【偏食王】リゼ・ヘルエスタの食べられるものを当てろ!!」では外すと電流を受ける罰ゲームがあったり「【 激辛クイズ 】CoCo壱カレーの限界!狂わず当てろ!!!」では、激辛に挑戦したりと、身体をはった企画にも積極的です。
YouTubeチャンネルはこちら。
https://www.youtube.com/@Ultimate_Creators/
2時から3時のしぇあはうす。
メンバー:壱百満天原サロメ、アンジュ・カトリーナ、魔界ノりりむ
3人のVTuberが初対面という設定で、シェアハウスの住人として2時に集まって動画投稿するといったコンセプトのユニットです。他の動画企画系ユニットと一線を画すのは、「かわいい」というテーマを全面に押し出している点。恋愛や占い、プロフィール帳といった女の子たちが好むものが多い一方で、「たこやき・みかん・いくらなら、無限に食べれる説」や「女3人で寿司100貫!は余裕でしょ!w」など、大食いに挑戦するYouTuberらしいものもあります。
3人のユニットとしての相性は良く、楽しげなトークが繰り広げられる一方で、それぞれしっかりと意見を言うタイプでもあり、ときには恋愛の議論でマシンガントークでまくしたてたり、本音をがっつりと語り合う場面も見られます。3名それぞれの個性が強く浮き彫りになっているチャンネルです。
YouTubeチャンネルはこちら。
https://www.youtube.com/@2ji3ji_sharehouse
楽器演奏系ユニット
2時だとか
メンバー:不破湊(ギター)、渡会雲雀(ボーカル)、イブラヒム(ギター)、ローレン・イロアス(ベース)
もともとギター経験のあった不破湊さんが渡会雲雀さんをボーカルに据え、イブラヒムさんとローレン・イロアスさんを加えて結成したロックバンドです。にじさんじの音楽ライブイベントではバックバンドの演奏で実施するのが一般的でしたが、2時だとかではギターとベース担当がそれぞれ実際に楽器を演奏し、サポートドラムを加えて編成しています。
それぞれの演奏経験に差があったものの、結成後にプロの音楽プロデューサーがサポートに加わっており、最初のお披露目であるにじさんじフェスに向けて練習を重ねてきました。フェスでの成功後はにじさんじ歌謡祭を経て、2025年に豊洲PITでの初のワンマンライブも実現しています。
活動スタート時には楽器を買いに行く動画などを投稿しており、気合の入ったバンド演奏に比べるとメンバー同士のテンションはだいぶ緩め。はじめてバンドを組んだ高校生かのような青春にも似た空気感が映し出されており、その楽しさを友だちのような視点で熱気を共有していくような魅力があります。
※公式サイトやプレイリストはなし。各メンバーのYouTubeチャンネルで動画公開しています。
楽団V!VO
メンバー: 鈴木勝(ピアノ)、セラフ・ダズルガーデン(ヴァイオリン)、 エリー・コニファー(フルート)、 立伝都々(トロンボーン)、 えま★おうがすと(チェロ)
ピアノ、ヴァイオリン、フルート、トロンボーン、チェロといった編成で立ち上がった楽器演奏ユニットです。鈴木勝さんと エリー・コニファーさんがセラフ・ダズルガーデンさんに声がけし、オーディションでメンバー2人を募集したという経緯があります。自主的な活動のため初期費用がかかるというハードルがありましたが、デビュー前だった立伝都々さんも自腹で楽器を用意するつもりでオーディションに立候補したというエピソードがあります。
ユニットの大きな特徴として、楽器の練習風景を「オンライン練習会」としてリアルタイムに配信していくことが挙げられます。そのため配信回数がかなり多く、毎回課題曲に真剣に挑む姿を覗くことができるのが魅力。また、楽器の弾けるにじさんじVTuberを練習会のゲストとして呼んだり、凸待ちセッションを行ったりすることもありました。
もともとイベント出演がまったく決まっていないところから活動がスタートしましたが、にじさんじ歌謡祭ではメドレー曲の演奏を披露しています。さらに全員が3D化を果たしたことで、フルメンバーでの3D演奏も実現しました。余談ですが、かつてVTuberの楽器演奏を3Dで実現するのは非常に難しい技術だと言われており、楽器の指の動きと音のリンクなど、彼らの演奏からはにじさんじの3D技術の進化が垣間見られます。
公式プレイリストはこちら。
https://www.youtube.com/playlist?list=PLpyGOCCQHvJYclH-gDI577nfXaprrCiuC
まとめ:にじさんじの円熟がVTuberの新たな活動を後押ししている
VTuberたちが新たな自主ユニットを結成する流れは、にじさんじというグループが円熟期に入ったことを示しているのかもしれません。後輩が増え、にじさんじの3D技術が向上した段階で、自分たちが次に何ができるのか、何がしたいのかを考え、試行錯誤する余裕ができたように思えます。
サークル活動のような自由さこそありますが、どのユニットも視聴者を楽しませることを大切にしており、それぞれのVTuberの成長を実感できるものとしてどのチャンネルも見応えがあります。特に2026年発の3ユニットはどのように活動していくかを模索している段階であり、まだまだ伸びしろがあるように思います。活動開始8年目に突入したにじさんじですが、ここに来て全く新しい活動スタイルが芽吹いており、これからさらなる発展が期待できそうで楽しみです。






