VRChat上に、広島市の世界遺産である原爆ドームを再現した「VR原爆ドーム」が公開されました。撮影データをもとに制作された原爆ドームは非常に再現度が高く、同時に、平和について考えさせられるものとなっていました。今回は本ワールドをレポートします。
被害の大きさを自分で体験する導入パート
明日で広島の被爆から80年ですね。
これを機に「原爆ドームVR」を制作、
たった今ワールドを公開しました。原爆ドームを写実的に再現した空間です。
原爆についても学べる内容になってます。VRの起動は↓つづきから pic.twitter.com/fIhJHwwRxI
— 龍 lilea (@lileaLab) August 5, 2025
VR原爆ドームは、3Dクリエイターの龍 lileaさんが制作したワールドです。龍 lileaさんはこれまでに銭洗弁天VRや首里城デジタル復元プロジェクト、京都・清水寺の参道などを公開しており、どの作品も現地の様子を細部まで再現した実績があります。制作にはフォトグラメトリ(※)と3DGS(3D Gaussian Splatting)を併用しているとのこと。
※現実の建物などをさまざまな方向から撮影して、写真データをもとに3Dモデルに変換する技術。
ワールドに来場すると、何か白い紙のようなものが置かれています。それに触ると、折り紙の鶴へと変化。周囲には色とりどりの折り鶴が浮かび、「VR原爆ドーム」のタイトルが現れました。
白い折り鶴を追い続けると、目の前の数字が少しずつ変化し、「1945.8.6 8:15」、すなわち広島市の原子爆弾投下の時間が現れます。
すると、来場者は上空から広島市へと落下。落下してからの秒数が刻まれながら、地上600mの地点まで迫っていきます。
この地上600mの地点とはすなわち、原子爆弾の爆心地です。さきほど自分が体験してきた落下は、爆弾の落下コースであると知った時、肝が冷えました。
この場所には原子爆弾の3Dモデルも配置。被災状況も把握でき、赤い範囲は全壊全焼。この一発でどれだけ大きな被害となったのかが、否応なしに理解できました。Xの投稿によれば、平和記念資料館で学んだ内容を参考に制作されたものだそう。現実では出来ない体験をVR化することで、伝聞以上の歴史の重みを知ることとなりました。
高い再現度の原爆ドームと、厳かな空気感
導入パート後は、原爆ドームの現地パートへと移動します。この場所は特に大きな仕掛けはなく、周囲を実際の観光地のように散策できます。これまでフォトグラメトリ作品はいくつか体験してきましたが、石碑の文字まで読み取れるなど、細部の造形だけでなく、技術の進歩を感じさせるものとなっていました。
本ワールドの大きな特徴が、本来入れない場所にも入れることです。原爆ドームに近づいて、建物中に入ることも可能です。
当然、現実では中での撮影はできないはずなので、外部に比べて内部の再現度は高くありません。本来入っていけない場所のため、後ろめたさもありますが、その悲惨さを感じ取ることができるため見る価値があります。
余談ですが、この空間にはなんとも言えない不思議な感覚を覚えました。現実の原爆ドームには多くの観光客が訪れていますが、VR上では人の姿は映っておらず、セミが鳴く声が聞こえるだけで、とても静まり返っています。プライベートのインスタンスで入ったので、自分ひとりしかいないはずですが、なぜか誰かに見られているような気がするのです。
本ワールドの大きな特徴は再現度の高さではなく、その空気感にあります。写実性が非常に高い分、その場所の持つ特有の厳かな空気まで再現しており、ずっと身が引き締まる思いになっていました。誰かに見られている錯覚がしたのも、「VRだからといってはしゃぐことはできない」という心理が、そう思わせたのかもしれません。
VR原爆ドームは、以下のURLより体験できます。ワールドとしてはやや重く、モバイル非対応なので、PCユーザーのみ体験できるようになっています。
https://vrchat.com/home/launch?worldId=wrld_07e3a779-0717-4530-9d00-4ec7ddebcabb&instanceId=0














