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業界動向 2018.09.20

自動車向けAR企業、ポルシェやJVCケンウッドらから8,000万ドル調達

スイスのAR企業WayRayは、フォルクスワーゲン傘下のポルシェなどから8,000万ドル(約88億円)の資金調達を行いました。自動車向けのARプロジェクションシステムの開発を進め、さらに他の業界への進出も計画しています。

過去の累計調達額は2,800万ドル

WayRayは2012年チューリッヒで設立。幅広い産業向けのARグラスを開発する中で、特に自動車業界に注力しています。これまでに累計2,800万ドルの資金調達を行っており、2017年3月には中国のアリババをリードインベスターとして1,800万ドルの資金を調達しました。

過去の資金調達にも中国のSAIC Motorといった自動車メーカーが参加し、アリババも自動運転分野への投資の一環として資金提供を行っているといいます。

今回のシリーズCの資金調達はポルシェがリードインベスターとなり、ヒュンダイ、アリババといった企業やファンドが参加しました。日本からも車載用映像機器などを手掛けるJVCケンウッドが出資しており、将来的にはAR技術領域における開発協業を目指すとしています。WayRayは資金を活用して研究開発を進め、ドイツでの子会社設立も計画中だと明らかにしています。

3年以内に公道利用を目標

運転中にAR機能を活用する場合、ヘッドマウントディスプレイを利用するとドライバーの視野が狭まり、道路への注意も削がれてしまいます。さらに、長時間のドライブ中ずっと装着しているのも快適ではありません。

そこで、車自体にARの表示システムを組み込んでしまうというのがWayRayの発想です。同社はこのシステム組込はどの車種でも可能だとしており、これによってドライバーにヘッドセットをかぶせることなく、AR機能を利用することが出来ます。用途はナビゲーションの他、駐車スポットを探してディスプレイに表示するといったものが考えられます。

ARシステムは現時点で商品化されておらず、ポルシェとパイロットプロジェクトを行うなど試行段階です。WayRayは大手自動車メーカーのカーナビゲーションシステムを、今後1年で自社のARシステムに置き換え、3年以内には公道での利用を目標としています。

他産業への進出も視野に

さらに同社は、自動車以外の分野への進出も視野に入れています。潤沢な資金を活用し、例えばビルの窓に情報を表示する等の応用を検討中です。

CEOのVitaly Ponomarev氏は、「我々は根本からのイノベーションを起こし、ホログラフィックARディスプレイの領域を超えて、新たなインターフェースを創造していきます」と話しています。そして「自動車メーカーとのプロジェクトが増え、多くの投資も受けています。当社の成長は加速し、複雑なイノベーションを起こすことの後押しにもなっています」と自信を見せています。

ARを用いたナビゲーションシステムには、米国のDigiLensが取り組んでいる他、NVIDIAも自動車向けARプラットフォームを発表しています。

(参考)Venture Beat株式会社JVCケンウッドニュースリリース


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