誰もが気軽にVRを使える社会。その実現の妨げとなっているものの1つが、「VR酔い」です。これはVRを体験した際に、乗り物酔いのように気分が悪くなることで、多くのメーカーや研究者が対策を検討しています。
カナダのウォータールー大学の研究者らは、VR酔いにかかりやすいユーザーを特定する手法を発表しました。酔いやすさに合わせて事前にVRの内容を変えることで、全ユーザーが快適なVR体験を出来るようになると期待されます。
ユーザーに合わせてコンテンツを調節可能に
ウォータールー大学の研究者らは、個人がVR体験中の視界の動きに対して、どの程度身体を揺らすかを計測し、VR酔いのしやすさを予測出来ると発表しました。
筆頭著者のSéamas Weech氏は、「VR体験のコストが下がり、メリットも多く見つかっているにもかかわらず、VR酔いのために少しの時間しか体験できないユーザーが多くいます」と問題を投げかけています。そして今回の成果について「我々の研究では、この原因の1つは個人個人がバランスをとるために使う視覚の違いだ、という結論に至りました。予測モデルの精度を上げていけば、それぞれのユーザーのVRに対する耐性を素早く推定し、それに合わせてコンテンツを調節することが可能になります」と説明しています。
バランスコントロール等とVR酔いに明確な相関
具体的な実験内容は次のようなものです。18歳~30歳までの30人の被験者に対してテストを行い、バランスコントロールや自己運動への感度といったデータを収集。そしてVRを体験させ、各被験者のVR酔いのしやすさを調べました。
回帰分析の結果、VR酔いと収集したデータには明確な相関関係が見られ、VR酔いを予測出来ることが分かりました。
研究論文のシニアオーサー、Michael Barnett-Cowan氏は次のように述べています。「VR技術は、ゲーム、デザイン、自動車産業など様々な分野でまさに成長の過程にあります。どのユーザーがVRからマイナスの影響を受けやすいかを理解し、その対策を講じることはとても重要です」
(参考)VRFocus、ウォータールー大学公式
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