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投資 2017.11.21

VRで人間の動きを学習するロボットAI 700万ドルの資金調達

ロボットの精密作業をプログラミングで制御するのではなく、VRでロボットを「パペット」のように操り、動作を学習させる研究が行われています。

カリフォルニア大学の研究チーム.は、VRを活用した本AIソフトウェアの開発のために700万ドルのシード資金を調達しました。

人間の動きを学習し、模倣するロボット

ものを摘んでお皿に載せる、パズルのピースを穴にはめる……どんなに簡単そうに見えるタスクであっても、ロボットを制御して人間と同じような動作をさせるためには、複雑で面倒なプログラミングを行う必要があります。

カリフォルニア大学・バークレー校の教授Pieter Abbeel氏とその生徒たちが設立したスタートアップEmbodied Intelligence Inc.では、VRを用いてこの制御・学習を容易にさせる研究を行っています。

本研究では、学習するロボットとして作られたBRETT(Berkeley Robot for the Elimination of Tedious Tasks、退屈なタスクを無くすためのバークレーのロボット)を用いて、プログラミングを必要とせずロボットにタスクを学習させることを可能にしています。

VRヘッドセットをつけたオペレーターは、BRETTを操作して正解となる動作を行います。例えば動画では、りんごを掴み上げる、皿に載せて離す、といったタスクを行っています。この時オペレーターに見えている画面は、BRETTのカメラから見える景色と同じものです。

オペレーターが30分ほどこの動作を繰り返し行い、その動作の記録を元にBRETTが試行錯誤をすることで、最終的には人間と同じ動きをすることができるようになります。

アイデアとしては、新入社員に手取り足取り仕事を教える、といったイメージになります。

今後産業ロボットへの応用も視野に

Abbeel氏は、「頭のなかで問題を解決し、実現するためのコードを書くには数カ月かかる可能性があります。一方VRでのロボット訓練では、一日のトレーニングと学習だけで実現できるかもしれません」といいます。

本プロジェクトは、今後世界中の製造工場や倉庫にあるロボットと連携することも視野に入れています。

11月7日、Abbeel氏らが立ち上げたスタートアップEmbodied Intelligence Inc.では、VRを活用して新しく複雑なスキルを教えることができるAIソフトウェア開発を継続するため、シード資金として700万ドル(約7.85億円)を調達したと発表しました。

Abbeel氏は「ロボットに新しい作業を覚えさせるために、VRは適した方法であると考えています。まだ進歩すべき点は残っていますが、実現のステップには到達しています」と述べています。

(参考)
Training Robots Tedious Tasks With VR / VR Scout(英語)
https://vrscout.com/news/training-robots-tedious-tasks-vr/

Mogura VRは、VR Scoutとパートナーシップを結んでいます。


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