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Meta Quest 2019.06.22

Oculus Questの抜け道「SideQuest」に注目集まる

2019年5月21日にリリースされたFacebookの新型ハイエンド一体型VRヘッドセット、Oculus Quest(以下Quest)用のサイドローディング(※)用アプリ「SideQuest」が、VRユーザーの間で大きな注目を集めています

(※サイドローディング:正規のアプリストア(この場合はOculus Store)以外から、アプリを入手しインストールする行為)

Virtual Desktopの問題で有名に

「SideQuest」の知名度が急激に高まったのは6月上旬。Quest向けアプリ「Virtual Desktop(バーチャル・デスクトップ)」に起こった、Steamを使用してPC向けのVRゲームを起動する機能が削除されるという出来事に関係して高まりました。

「Virtual Desktop」は、VRヘッドセットを着けたまま、普段通りのパソコン操作を可能にするアプリです。Questで各種アプリを遊ぶためには、本来はOculus Storeから専用アプリを購入しプレイする必要がありますが、「Virtual Desktop」の開発者ガイ・ゴーディン氏は、自身のアプリにSteamVRへの対応機能を実装。QuestでもPC向けのVRゲームが遊べるシステムを確立しました。

しかしSteamVRへの対応機能の実装直後、ゴーデン氏の元へ、Oculusから同機能の削除要請が届きます。同氏は海外掲示板RedditやSNSなどで通達を受け取ったことを公表し、遺憾の意を表明。本件を知ったQuestユーザーは削除反対の声を上げたものの、同社の決定は覆らず、2019年6月14日、ゴーデン氏は「Virtual Desktop」からSteamVR対応機能を削除しました。

「Virtual Desktop」からのSteamVR対応機能の削除と当時に、ゴーデン氏は本アプリへのSteamVR対応機能の復活方法を公開しました。その方法とは、必要なAPKファイルを外部からサイドローディング形式で導入するというもの。同氏が当該ファイルの導入方法として推奨されたのが、「SideQuest」です。

なぜSteamVR対応機能が熱望されるのか

Quest版ユーザーがSteamVR対応機能を望む理由の1つが、Quest用コンテンツの数です。本VRヘッドセットの発売時、Oculus Storeでは約50の専用VRゲームがローンチタイトルとして配信されました。

この数は決して少なくはないものの、VRゲームは一般的な(非VRの)ゲームと比較してボリュームが短いこと。また自分が好むジャンルのゲームをもっとプレイしたいと願うQuestユーザーが多く存在しました。

Steamには、同ストアがVRに対応してから配信されている幅広いジャンルの多数のVRゲームが存在します。そのなかには「Skyrim VR」などボリュームのある大作ソフトがあり、Oculus Storeと比較してセールも頻繁に行われています。

ラインナップの豊富さとセールの回数。これらの理由がQuestユーザーをSteamに引き寄せたものと考えられます。

PC向けコンテンツの使用には課題も

QuestでPC向けのVRコンテンツを体験する場合には、複数の問題点が存在します。1つはユーザーのPCのスペックが大きく影響する点です。「Virtual Desktop」はPCをVRヘッドセットからリモートで操作するアプリであり、PCの限界を超えるゲームなどは起動することは出来ません。

またPCのスペックに問題がない場合でも、アプリやVRゲームがQuest向けに設計されていない場合、不具合が生じる可能性があります。UploadVRによると「Google Earth」や「 Blocks」といったアプリをテストしたところ、かなりのラグや遅延が発生したとのこと。

2019年6月現在、Questを使用したPC向けVRコンテンツの体験には、まだまだ課題が存在しているというのが現状です。サイドローディングやSteamへの対応に関するFacebookの方針も含めて、今後の動向を注視していきたいところです。

(参考)UploadVR


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