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Meta Quest 2021.10.03

フェイスブックの次世代VRデバイス「Oculus Quest Pro」とは? これまでの情報・ウワサまとめ

フェイスブックの一体型VRヘッドセット「Oculus Quest 2」は2020年秋の発売以降、VRヘッドセットとしての売上や稼働率などにおいて最大級のヒットを記録しました。そして2021年現在、Oculus Questシリーズの上位モデル、「Oculus Quest Pro」とでも呼ぶべきVRヘッドセットの影が見え隠れしつつあります。

2021年9月現在、Oculus Quest Proに関する公式な発表は一部を除いてほぼありません。しかしフェイスブックの幹部やCEOからのコメント、さらにファームウェアの記述から、その可能性が示唆されています。VRヘッドセットユーザーや企業、メディアの間でも期待が高まっており、特に10月末に開催されるフェイスブックのカンファレンス「Facebook Connect」に多くの視線が集まっています。

本記事ではこれまでの情報を元に、Oculus Quest Proについて現時点で明かされている情報をまとめ、フェイスブックの新たなデバイス戦略を読み解いていきます。

フェイスブック幹部が「Oculus Quest Pro」に興味を示す

フェイスブックのVR/AR部門Facebook Reality LabsのVP、アンドリュー・ボズワース氏は、Oculus Quest Proというコンセプトに対し「興味深い」とコメントし、その可能性をほのめかしています。

きっかけは2021年3月にインスタグラムで行われたQ&A;セッション。ボズワース氏はかねてより自身のSNSアカウントを通してユーザーとの交流を行っており、過去にはOculus Quest向けアプリを配信できる「App Lab」の登場が近いことを予告。さらに、Oculus Quest 2の120Hz対応については発言せずガッツポーズで答える等、率先して情報公開やほのめかしを行っています。

ボズワース氏はとあるユーザーからの「なぜOculusはQuest Pro 3のような、600ドルで最高スペックのVRヘッドセットを作らないのか?」という質問に対し、「Quest Pro……ふむ、興味深いですね」とコメントし、カメラにウィンクを投げかけました。これが何を意味するかは不明ですが、これまでのアプローチから考えると、水面下で開発が進んでいる可能性が考えられます。

2021年中の発売は実現しない?

その後ボズワース氏はSNSアカウントを通した意見交換の中で、Oculus Quest Proについて更に踏み込んで言及。Oculus Quest Pro的なデバイスが2021年内に発売されることはないと明かしています。理由については、Oculus Quest 2が市場で“長い間”販売され続けるから、と説明しています。

なお、Oculus Quest 2の販売台数は、フェイスクッションのリコール情報から北米で約400万台にのぼることが判明しました(2021年7月27日付)。ハード面では8月にOculus Quest 2の64GBモデルが128GBモデルに差し替えられており、ソフト面ではファームウェアアップデートにより「ハンドトラッキング」、高スペックなPCと接続してよりハイクオリティなゲーム・アプリを楽しめる「Oculus Link」と「Air Link」、そして「120Hzモード」など多岐にわたる新機能を実現。これらの情報からも、Quest 2の長期に渡る販売計画が垣間見えます。

マーク・ザッカーバーグもQuest Proの可能性に言及

フェイスブックのCEOとして知られるマーク・ザッカーバーグ氏も、海外メディアCNETのインタビューにてOculus Quest Proに言及。デバイスの詳細は語らなかったものの、性能自体はよりハイエンドになるとコメント。増加する搭載センサー数に対応するための、演算能力の向上が必要になるとし、それに伴い価格もある程度上昇するとのこと。

さらに同インタビューでは、フェイスブックの今後のVRヘッドセットでは、アイトラッキングやフェイストラッキングが搭載される可能性を示唆しています。他社のデバイスの場合、アイトラッキングは高価、フェイストラッキングはオプションパーツが必要なため、実現すれば両機能を有するデバイスを比較的安価に提供されるのではないかと期待が寄せられています。

「Oculus Quest Pro」関連?最新ファームウェアに記述が発見

そして、Oculus Questの最新(v32)ファームウェアに、Oculus Quest Proに関連すると思われる情報が海外掲示板Redditのユーザーによって発見されました。ハンドトラッキングのセットアップ部分にて、『「Quest Pro」があなたの手のサイズと動きを推定することで、あなたはコントローラーの代わりに、自身の手をVR内で使用することができます』という文言を見つけたとのこと。

他にも、アイトラッキングとフェイストラッキングのキャリブレーション用と思われるテキストや、「デプスボタン」(レンズ深度の調整機能と思われるもの)と呼ばれる機能も発見されています。

新型VR用コントローラー? 海外掲示板でリーク情報

続く9月27日、海外掲示板Redditに新型のVR用コントローラーと思われる写真がリークされ、注目を集めました。写真のハンドコントローラーでは、従来のコントローラーにあるリング状パーツ(トラッキング用の赤外線LED)がなく、代わりに上面に1つ、側面に2つのカメラが搭載されています。


(レンダリングイメージ)

ハンドコントローラーの名称は「Oculus Seacliff Controllers」で、「Seacliff」という名称は2020年夏からOculus Questのファームウェアに記載されているという情報も。ハンドコントローラーには指ポジションを認識する機能が備わっており、指紋センサーも搭載されているそうです。

またVRヘッドセットには「外側には3つ、内部には4つのカメラがそれぞれ搭載」され、外部カメラのひとつは「カラーパススルーとMR機能用の120FPS RGBカメラ」、残る2つは120FPSの近赤外線カメラであり、トラッキング等に使われるものと予想されるレーザー投射機能を備えているという情報も存在します。

これらの情報を公開したのは、RedditユーザーのSamulia-氏。彼の情報が信頼できるものかは現状不明ですが、ドイツのテック系YouTuberであるBasti564氏も、Oculus Questのファームウェア解析で同じセンサー仕様を発見し、「Seacliff」というコードネームを確認した、と述べています。

Facebook Connectで発表される可能性は?

2021年10月28日(現地時間)には、FacebookによるVR/AR開発者向けカンファレンス「Facebook Connect」が開催されます。例年VR/AR関連の新製品発表やハード/ソフト両面での研究発表が行われており、2020年にはOculus Quest 2が発表されました。もし新型VRヘッドセットの情報が発表されるのならば、このタイミングの可能性は十分にあります。

ただし、上述の通りボズワース氏は「2021年中の発売は実現しない」と発言しているため、2020年のOculus Quest 2のような「Facebook Connectで発表、約1ヶ月後(または即座に)に予約/発売開始」といったタイムスケジュールではない、と予測できます。初代Oculus Questが2018年秋に発表、その後2019年初夏に発売されたように、「Oculus Quest ProをFacebook Connectで発表し、翌年の開発者向けカンファレンス等で直後の予約/発売開始を発表」となる可能性は、十分ありえるでしょう。

もちろん、カンファレンスのメインがOculus Questシリーズ以外のVRデバイスやARデバイス、そしてソーシャルVR「Horizon」等であるケースも考えられます。カンファレンス当日までの新情報に期待したいところです。


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