人間がいずれは経験することですが、日常では決して体験できない「自分の死」。その瞬間をVRで体験するツアーを、中国の葬儀場が開催しました。
自分が倒れて命を落とし、火葬されるまでを体験
北京で最大の規模を誇る八宝山(Babaoshan)葬儀場は、これまでも葬儀会場や火葬場の見学ツアーを行ってきました。今回新しい試みとして始まったのが、葬儀にまつわる疑問を晴らすために、VRの中で”死の全てのプロセス”を体験するツアーです。
ツアー内の体験は2つに分かれています。1つ目のプログラムでは、体験者は仕事中に倒れ、救助もむなしく心臓が停止してしまいます。そして死後の世界から、親族に別れを告げることになります。2つ目のプログラムは、体験者が葬儀場に運ばれるところから始まります。霊安室に安置され、葬儀を行い、火葬場に送られる……実際には約1時間かかる内容を、およそ5分間で体験します。
人生最後の日をVRで体験するというのは、奇妙に聞こえるかもしれません。しかし八宝山葬儀場によると、遺族がこのバーチャルツアーを通して葬儀について知っておけば、いざというときに準備にかかる時間を減らせるとのこと。より多くの時間を、故人の死を悼むために使うことができます。
先端技術と葬儀業界とのつながり自体は、珍しいものではありません。今回のツアーはVRを活用していますが、八宝山葬儀場では3Dプリンターを使って故人の顔の傷を修正したり、霊安室の消毒にロボットを使ったりしています。
海外だけではなく日本でも、AR機能を利用し、特定の場所にスマートフォンを持っていくと故人からのメッセージ動画が再生される「スマ墓」といったサービスが始まっています。
“自分の死”という究極の非日常。今までにない体験を実現する、VRならではの活用事例と言えそうです。
(参考) VRScout
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